表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/242

第九十八話

「あれれー? 出来ないの? じゃあ俺が殺すか」

そう黒騎士は机に指を置いて立ち上がる。

「いやいや冗談きついっすよ。まさか最初からそういう目的で来たってわけじゃないですよね?」


そうクルスさんが訊く。彼の眼は笑ってなかった。

「そうだよ。裏切り者かわからない魔法使いを殺して帰ろうかなって」

彼は胸元から煙草を取り出しながら答える。


「一本で十分かな?」

「おいおい舐めるなよ。ゴーディさんよお」

そうクルスさんが言う。


「昔の俺達とは違っ」

そう彼の顔に黒騎士の拳が入る。

彼が煉瓦細工の地面に吹っ飛ぶ。


そのまま彼は呆然としていたジャンの腹にも強烈な蹴りを入れた。

「ぐぼっ!」

「クルス。ジャン。お前ら俺相手になに余裕見せてんだ? 俺が剣を抜いてたらお前らもう死んでたぞ?」


「良いんだぞ」

彼は煙草を吸いながら二人に声をかける。

「お前らは剣を抜いても。俺は素手で良い」


その挑発にクルスさんが剣を抜く。

「ああ。そうさせてもらうよ。あんた馬鹿だぜ」

そう彼がいつかの様に速度を増して黒騎士に跳ぶ。


その速度さえ完全に動きが見切られたのか彼の顔には黒騎士の掌が押しつけられていた。

「お前じゃ俺には勝てないよクルス」

そう彼は石畳に後頭部を叩きつけられた。


石畳が壊れた音なのか鈍い音がした。

赤い髪から血が流れている。

「おいおい。お前ら飲んでなかったんだろ?」


彼がゆっくりと歩いてくる。

「油断してるふりしてたんだろ」

彼の顔は赤ら顔だった。


「折角よお。後輩達との再会を楽しもうと思ったのに……」

彼は身体の骨を鳴らしながら近づいてくる。

「先輩の酒も飲めねえなんて無粋な奴らだぜ」


彼はジャンを睨む。

「お前は何で抜いてないんだ?」

黒騎士の拳と彼の頭蓋骨の骨がぶつかる音が響いた。


ジャンが悲鳴をあげる。

「ったく。吸い終わっちまったじゃねえか」

私が一番強いと思ってた男二人が地面に転がって震えている。


正直見たくない光景だった。強すぎる。

黒騎士は私の方を見て剣を抜く。銀色の刀身が鈍く光っていた。

「お前は一瞬で殺してやるから安心しろ。きっと痛みも感じない」


そう彼の剣が振り抜かれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ