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太陽の姫と黄金の魔女  作者: 桶屋惣八
第8章 ムスリカ編
258/354

ボス川の戦い その4

ようやくボス川の決戦が決着します

ハサールvsモンゴーラの戦い全体も(だいたい)決着です

 煙幕を使ってまんまとハサール軍を撒いたパトーだったが、支流を一つ渡って南東の島に入るとまた新たな問題が待っていた。何故か全ての兵が上流部分に(たむろ)していて下流部分の防衛に向かっていなかったのだ。

(カン)! ご無事で何よりです!」

「ああ、危ないところだったがな。だがそれよりどうなっている? 防衛線を築かねばハサール軍や鉄馬車を防げぬぞ!」

「だから防衛線を築いているのです! 下流部分には鉄馬車がいて行けません。南西の支流にも鉄馬車がいて渡河点を(ことごと)(ふさ)いでおります!」

「なにっ!?」

――さっきの鉄馬車に先回りされていたのか! 誰も橋を焼かなかったのか? いや、どちらにせよ例の浮き橋があるのか……!

想定すべき事態だった。だがハサール軍襲撃でそこまで考えが回らなかったのだ。

「それで、どっちに何台いるのだ?」

「対岸も南西も両方100台くらいです」

「……合計でだろ?」

「合計なら200台です!」

「…………!」

 パトーが衝撃を受けたのは数が2倍に増えたからではなかった。それだけの戦力がありながら敢えてその半分を後方に展開させていたことだ。

――並の武将なら最初から我らの陣を襲ったはずだ。だが奴らは最初から我らをここに押し込めるつもりで退路を断っていたのか……!

鉄馬車とハサール騎兵に前後を挟まれ、モンゴーラ軍は見事に包囲されてしまっていた。煙幕でやっと敵を出し抜けたと思ったのに、所詮は最初から敵の手のひらの上だったのだ。勝機などもはやどこにも無かった。


挿絵(By みてみん)


――だが、まだだ! せめてこの者達を生かして故郷に帰らせなければ、ハサールの逆侵攻に耐えられない!

ジョシ・ウルスは草原の民だ。それは大モンゴーラ国イェケ・モンゴーラ・ウルスが拡大とともに忘れ去ろうとしている過去の形骸かもしれない。だがパトーはそれをこそ誇りとしていた。モンゴーラはその誇りを失ってはならないのだ。

――勝機が無いなら……戦わねば良いのだ!

パトーは愛用の弓を高く投げ捨てた。

「武装を捨てよ! 荷を捨てよ!」

兵士たちは降伏するのかと思って愕然としたが、パトーの目はまだ爛々と燃え盛っていた。対岸に待ち構えるのがハサール軍ならどうしようもなかったが、鉄馬車なら出し抜く方法が一つだけある。どれほど強固で恐るべき攻撃力を持とうとも、対岸の鉄馬車は100台しかいないのだから。

「身を軽くして川を泳ぐのだ! 渡河点以外(◆◆◆◆◆)をな!」(注1)

「「「…………!」」」

 馬というのは意外に泳ぎの上手な生き物だ。遠乗りの際に馬ごと川や池に入って泳ぐこともある。だというのに足がつく渡河点に執着しているのは、荷物があると泳げないからだ。

「しかしそれでは、ここを逃げ切ってももう戦えません!」

「戦わんで良い! そのまま本国へ帰るのだ! 川さえ渡ってしまえば騎兵の方が鉄馬車より早い。食料など必要な物は、途中のスラム人の村から奪えば良い」

「……ハサール軍は?」

「ワシが止める! 再び支流を渡り、川の向こう岸でハサール軍を待ち受けるのだ。ワシの首級(くび)を前にして、川を渡ろうとする者はおるまいよ」

「「「…………!」」」

パトーの目は既に覚悟を決めていた。自分の命と引き換えに兵を1人でも多く逃がそうというのである。

 彼は振り返ると、一緒にハサール軍を足止めしていた兵士たちを振り返った。彼らは皆疲れきっていた。傷を負った者も多い。そして何より馬たちが疲れていた。ハサール騎兵振りきって逃げるのは難しいだろう。

「喜べ! お前たちは今から近衛隊ケシクテイの一員だ!」

それは事実上の死刑宣告だった。死にゆくパトーに付き合うことは死を意味していたのだ。兵士たちの方もそれを十分に分かっていたが、パトーの目を見てすぐさま覚悟を決めた。中には元から近衛隊ケシクテイだった者もいたが、彼らについては言わずもがなである。

「……そりゃあいい!」

「どこへでも付いて行きますよ!」

そこに重症を負って先に撤退していた者達もやって来た。

「ズルいですな。命を賭けて戦って怪我まで負った我らを差し置いて」

腕や背中に巻かれた布は血に染まっていて、真っ青な顔で馬の首に縛り付けられている者までいた。彼らもまた長旅に耐えられないだろう。味方の足手まといになるくらいなら、せめて戦いの中で散らせてやるのが彼ら自身のためだろう。一秒でも長く敵を引き止めることが出来れば、その分だけ味方の兵が逃げ延びることが出来るのだから。

――なんと清々しい姿だろうか! 名誉と共同体(ウルス)のために命を捨てることも厭わないこの清々しさこそが、ワシの求めるモンゴーラの姿だ!

パトーは朗らかな笑みを浮かべた。

「良かろう、お前たちも近衛隊ケシクテイに加えてやる!」

「ははっ、ありがたき幸せ!」

パトーは満身創痍の3000騎あまりを連れて再び支流を渡った。この川をもう一度渡れると思う者は誰一人いなかったが、どの顔にも朗らかな笑みが浮かんでいた。



 そのころモンゴーラ軍を待ち受けるキメイラ第二大隊は……やっぱり暇だった。モンゴーラ軍が渡ってこないのだから仕方がない。彼らにはただ待つことしか出来ないのだ。じりじりとした焦燥感に耐えるのは、それはそれで辛いものだ。特に大隊長の乗るキメイラには異様な緊張感が漂っていた。

「あのぅ、大隊長。これを差し上げます。娼館の回数券です。どうぞ!」

「……何でこんなの持ってんだ?」

「出征する時にお土産代わりに買っておいたんです。どんなに苦しくても『必ずペルセポリスに帰ってエッチするぞぉー』って力が湧いてくるでしょう?」

「……そういうもんか?」

「そういうもんです! 大隊長にも是非分かって欲しいんです! なあ、みんな!」

「そうです!」

「女を抱くことは素晴らしいことです!」

「サイコーっす!」

部下たちにはなぜか普段以上に強い連帯感があった。戦いを前にして心強いことだ。

――こいつらひょっとして同じ娼婦を抱いてるのか? まあ、そういう連帯感の作り方もアリと言えばアリか? ここで断るのも無粋だな。

「ふむ、そういうことなら貰っておこうか」

大隊長が素直に受け取ると、部下たちはなぜか気が抜けたように安堵の溜息を吐いた。……一瞬だけ。

「……で、誰を抱けばいいんだ?」

「「「えっ!?」」」

「だから、私は誰を抱けば良いんだ?」

部下たちは一斉に冷や汗をかき始めた。

「ち、違うッス! 抱くのは俺達じゃないッス!」

「だから私が抱くんだろう? 誰を抱けばいいんだ?」

「「「勘弁して下さい!」」」

 彼らが咬み合わないやり取りを続けている間に、対岸ではモンゴーラ軍が動き出していた。ついに渡河を始めたのだ。それを見つけた兵士の一人は歓喜の声を上げた。この際どい(と彼は思っている)会話を続けるよりは戦っていた方がマシである。キメイラの生還率は戦いの度に高まっているのだ。まあ、初戦が全滅だったから当然なんだけど。

「大隊長! 敵が動きました!」

「よーし、迎撃準備だ!」

「「「はっ!」」」

 戦いを目前にして兵士たちは訓練通りキビキビと散弾の発射体勢を整えた。もう大隊長の性的嗜好を気にする者は一人も居ない。気にしたくないから熱心に働いた。だが満を持して待ち構える彼らの前に、モンゴーラ軍は……寄って来なかった。彼らはキメイラを避け、渡河点ではないところを渡っていたのだ。

「どういうことだ! 渡河点の目印はブラフだったのか!?」

「いえ……泳いでいます! 兜も鎧も捨てて、馬と一緒に泳いでいます!」

「なん……だとっ!?」

 そもそも馬の背に乗ったことすらないのが平均的なプレセンティナ人だ。馬を泳がせようとか、それどころか馬の背に乗ったまま一緒に泳ごうなどという発想などイゾルテですら浮かばないだろう。大隊長は一瞬呆然としたが、はっと気づくと遠くと話す箱{無線機}を手に取った。

「デキムス将軍、デキムス将軍、こちら第二大隊! 大変です、敵は泳いでいます! 渡河点はガン無視です! ドウゾ!」

『……こちらデキムス。敵が荷物や武装を捨てているのはこちらからも見えているが、まさか泳いで渡るとは……。ホントにちゃんと泳いでるのか? ドウゾ』

「泳げてるみたいです。恐ろしくゆっくりですけど、横並びに泳いでますから一度にドカっと上陸してきますよ。とても手が足りません! 上陸を完全に防ぐことは不可能ですけど、迎撃と防御とどっちを優先しますか? ドウゾ」

『……防御だ。攻撃は第一大隊が担当する! ドウゾ!』

「え? でも第一大隊が攻撃するのなら第二大隊でもいいのでは? ドウゾ」

『こっちはおっつけハサール軍がやって来る。多少無理をしても大丈夫だ。ドウゾ』

最後の見せ場まで奪われてしまったことは大隊長も不本意だったが、デキムスは10000人の敵を殺すことより味方の犠牲者を1人も出さないことを選んだのだ。その点では大隊長も同意見だった。

「……分かりました。通信終わり、ドウゾ」

『通信終わり』

大隊長は内心では些か拍子抜けしていたが、表情を取り繕って部下たちに向き直った。

「円陣を組め。他の小隊にも防御に徹するよう手旗信号を送れ」

「了解!」

「射撃は引きつけて射てよ? 射程ギリギリで射てばそれ以上近づいてこないからな」

「はっ!」

――とはいえ、果たしてどれほど近づいてくれることやら。やっぱりルキウス陛下について行った方が良かったんじゃないか?

10ミルムあまりに渡ってわずか100両が分散しているのだ。やはり第二大隊には活躍の場は残されていないようである。


 一方渡河を阻止できないと知ったデキムスの方は、封鎖ではなく積極な攻勢に転じることにした。上流部分に押し留めていても、結局第二大隊の防衛線は突破されてしまうのだ。だったら少しでも攻撃しておいた方が良いだろう。

「縦列隊形、我に続け! 前進だ! 川岸に沿って渡河中の敵を叩け!」

「了解!」

 もともと馬の泳ぎは大して速くもない。さすがのモンゴーラもそんな訓練はしていないから個体ごとの得意不得意の差も大きい。苦手な馬は足が深みの前で立ち止まって進むのを嫌がり、その後ろには渋滞が出来ていた。

だから第一大隊が前進を開始した時、岸辺にはまだ1万騎余りが残っていた。

「気をつけろ! 鉄馬車は弓を射て来るぞ!」

「弓を拾え! 応戦しろ!」

「ダメだ! 鉄馬車に弓は効かない! とにかく逃げろ!」

「川だ! 渡河を急げ!」

下手に目端が利くせいで彼らは小部隊ごとにバラバラの行動を取り始めた。

反撃を試みた者達は強弓をも弾き返すキメイラに無力感を感じながら全身に矢を受けて地に倒れ、北へと逃れた者は一時の猶予を得て地獄を目撃することになった。

 ただでさえ混雑していた川の中は、後ろから逃げ込んできた者達も加えて芋洗いの様相となっていた。そして100両のキメイラがその後ろを通り抜けざまに、次々と散弾を放ったのである。降り注ぐ矢の雨は容赦なくモンゴーラ兵の背に突き立った。

「まだかっ! 早く進めぇー! うぐっ!」

「くそっ! こんな所で死ねるか! こんな所で!」

川の水は彼らを守る鎧となったが、生憎彼らは本当の鎧を捨てていた。水が殺しきれなかった勢いのまま、散弾は彼らの肉体に深く突き刺さった。

「撃て撃て撃てぇー!」

「狙うな! そんな暇があったら撃て! 撃てば当たるぞ!」

一射ごとに河の中に血が飛び散り、まるで花が咲くようだった。血の花は咲き誇り、土を含んだ濁った水は鮮やかな赤色に色を変えた。だが川の中で悶え苦しむ者にはそれを楽しむ余裕はなく、第一大隊の射手達は血に酔い、とっさに逃げたモンゴーラ兵達は恐怖に震えていた。戦慄と歓喜に震えながら生と死を分ける血の花を鑑賞出来たのは、最後まで脇役に過ぎなかった第二大隊の面々だけだった。


 だが、モンゴーラ軍の全てが逃げ惑っていた訳ではなかった。第一大隊の後方から1000騎あまりの騎兵が現れ、丸見えになっていた馬に向かって次々に矢を放ったのである。

「馬だ! 馬を殺せば足が止まるぞ!」

「喰らえ!」

 第一大隊は突然の襲撃に混乱した。全ての敵は前方にいると思っていたし、一方的な殺戮に熱狂していたため後方の警戒を怠っていたのだ。矢を浴びた馬が悲鳴を上げて倒れるとキメイラには急ブレーキがかかり、搭乗員は皆つんのめって顔や頭をぶつけた。名誉の負傷である。

「痛たたた……。な、何事だっ!?」

「後方、いや至近に敵騎兵!」

「何だとっ! いったいどこから現れたんだ!?」

 プレセンティナ軍には知る由も無いことだったが、彼らは最初に筏(だと思われていた方舟)を破壊しに向かった1000騎だった。だが海岸線をいくら探しても筏が見つからず、仕方なく戻ろうとしたら浮き橋の騒ぎに遭遇したのだ。キメイラの数が多すぎて手を出しかねて隠れていると、キメイラは"唯一の移動手段"であるはずの筏(=方舟=浮き橋)を放置して南東に移動を始めてしまった。他に移動手段があるのなら潰さなくてはならないと後を追跡したのだが、あっさり別の浮き橋を渡られてしまったので今度は奇襲の機会を伺いつつ距離を取って追跡していたのである。

「はははっ、効いているぞ!」

「反撃があるぞ! もっと肉薄するんだ!」

 縦列になっていたキメイラの隊列に肉薄されてしまうと、散弾の様な命中精度の悪い武器を使うことは出来ない。うっかり射てば味方のキメイラ(の馬)を蜂の巣にしてしまいかねないのだ。

「くそー、巧妙な……!」

しかもその騒ぎは縦列の後ろから始まってどんどん前に広がっていったから、先頭を走っていた車両も同じようにつんのめり、立っていたデキムスは思いっきり壁に鼻をぶつけてひっくり返った。

「痛たたた……。な、何事だっ!?」

恐らくは100回繰り返されたやりとりをした後、デキムスは内心でイゾルテの先見の明を賞賛した。

――陛下がいつも丸兜{ヘルメット}をかぶっていたのはこのためだったのか……。さすがだ!

しかし同時に不満でもあった。

――でも、だったら自分だけじゃなくって標準装備に含めておいて欲しいよなぁ。いっつも自分だけ無事なんだから。

 盛大に鼻血を吹いたからか冷静さを取り戻したデキムスは、死んだ馬を切り離すと集結を命じた。まんまとデキムスを出しぬいたモンゴーラ騎兵達は、キメイラから逃げていた部隊と合流してがら空きになった下流域に駆けていった。第一大隊は攻撃力も防御力も全く失っていなかったが、モンゴーラを相手にする上で最も大切な機動力を失い、彼らをただ見送ることしか出来なかった。事実上戦力を喪失してしまったと言えるだろう。彼らの戦いは事実上終わりを告げた。後は万が一に備えて身を守りつつ、ハサール軍の到着を待つことしか出来なかった。

――そういえば、ハサール軍が遅いなぁ

デキムスは北西の支流に目を向けた。そこでは別の意味で劇的な決戦が行われ、今まさに決着が付こうとしているところだった。



 ハサール軍が支流に到着した時、そこには思いもかけない光景があった。敵がいるはずの対岸には一兵もおらず、一兵もいないはずのこちら側にはモンゴーラ兵が3000騎ほど陣取っていたのだ。バイラムは首を捻った。これがプレセンティナ軍であったら十分に意味のある行動だ。二重三重の防壁を築いて少数でも生き残れる拠点を作っておき、いつでも後方から渡河出来るようにしておくのだ。だが騎兵は突撃してナンボであって、拠点を守るのにはあまりにも向かない兵種だ。4万の騎兵に向かって3千騎でどうしようというのだろうか。

「何のつもりだ?」

「さあ? 破れかぶれで突撃してくるのでは?」

「だったらあの旗は何だ?」

一団の先頭には一際立派な白い旗(注2)がたなびいていた。そしてその旗の下にやはり一際立派な身なりの武将が現れた。

「ワシは偉大なるキルギス(カン)の孫にしてジョシ・ウルスの長、パトーである!」

突然の挨拶にバイラムは戸惑った。

「あれがパトーか……。降伏の申し出にしては上から目線だな」

「それに流暢なハサール語ですね」

「そういえばそうだな」

 シロタクに様々な草原の民の姫を娶らせたように、パトーも多くの姫を娶っていた。だって若い娘が好きだから……ではなく、草原の民の統合を志す彼にとってモンゴーラと他の部族の血を交えることは民族統合の重要な手段であったのだ。彼はハサールから追放され流れて来ていた女を妾とし、子も作っていた。彼がハサール語を話せるのはその女に習ったからである。……ベッドで。

「ハサール人達よ! 見事な戦いぶりであったわ! 褒めて上げるわヨ!」

……だから女言葉も混じって覚えちゃったのである。難儀なことだ。

「……実は女なのか? 年食ったニルファル様みたいなものかな。始終叫んでれば女でもダミ声になるし。どう思う?」

「いやいや、ヒゲ生えてますよ」

「付け髭とか」

「だったら言葉遣いも男っぽくしません?」

「うーむ、謎だ」

折角褒められたというのに、女言葉が気になって全然嬉しくなかった。

「いざ、尋常に勝負せよ! $%#*`+!」

おそらくはモンゴーラ語らしき号令を発すると、モンゴーラ軍は「ふうぅぅらぁああぁ!」と雄叫びを上げながら突撃を開始した。無謀とも思える攻撃にバイラムは一瞬軍を分けて先に行かせようかと思ったが、直ぐ様思い直した。

――敵の大将の最期なら皆が見たいことだろう。この先はルキウス殿とデキムスが封鎖してるはずだから急ぐこともないしな。

そもそも彼自身がその結末を直に目にしたかったのだ。

「憎むべき敵とはいえ、天晴なり! 全軍、敬意を持って全力で迎え撃て!」

「「「ふうぅうぅらぁああぁ!」」」

ハサール軍も一斉に襲いかかっていった。

 両軍の衝突はセオリー通り弓矢の応酬から始まったが、その数はモンゴーラ軍のそれよりハサール軍の方が3倍は上回っていた。ハサール騎兵が100騎倒れる間にモンゴーラ軍は300騎が被害を受けたが、50騎しか倒れなかった。敗北が決まっている以上、ここで倒れても死ぬだけである。とうに死を覚悟している彼らは、即死でもない限り止まるつもりはなかった。矢の刺さった腕でヨロヨロと刀を持ち上げ、雄叫びを上げながらハサール軍に突入したのだ。

「やらせん! 先には進めぬぞ!」(モンゴーラ語)

可汗(かがん)の仇だ!」(ハサール語)

一撃離脱の余地が無いモンゴーラ軍はすぐさま弓を捨て、圧倒的多数で囲むハサール軍も同士討ちを恐れて刀を手に取った。2つの言語が入り乱れ、血で血を洗う獣の饗宴が開始された。

「いい加減に死ね!」(ハサール語)

「まだまだぁ!」(モンゴーラ語)

数は明らかにハサールが圧倒していたが、死を覚悟したモンゴーラ軍はどこまでも踏みとどまった。ハサール兵はモンゴーラ兵を斃すことを目的としていたが、モンゴーラ兵は倒れないことを目的としていた。何度切られても即死しないかぎり倒れようとしないのだ。

 草原の民の刀は切るための物であって、タイトンのように突き刺したりぶん殴ったりする物ではない。物理的な衝撃が少ないから、背中を十回切られても、腕が千切れかけていても、出血多量で意識を失わない限りは馬の背に跨っていられるのだ。

その強い精神力をハサール兵は不気味に思うと同時に不思議な感動を覚えていた。仲間のためにここまで犠牲になれる精神は、共同体として生きる草原の民にとって讃えられるべきものだ。それはハサールもモンゴーラも変わらない。

 バイラムがふと見ると、血まみれのモンゴーラ兵が意識があるのか無いのかよろよろと刀を振り上げるところだった。1人のハサール兵がそれに近づくとその刀を奪い、肩を抱きかかえながら一気に喉元を突いて楽にさせた。そしてゆっくり馬の首に(もた)せ掛けると、刀の峰で馬の尻を叩いてどこかへと走らせたのだ。それを見ていたハサール兵達も2つに分かれ、主を背負った馬が何処かへと走り去るのを見送った。それは恐ろしく血なまぐさい光景だったが、侵略者でしか無かったモンゴーラ人に対してハサール人が初めて払った敬意の表れでもあった。

――見事な最期だ。自ら最前線に出てきたパトーにも敬意を表さないといけないな

バイラムはモンゴーラ兵の遺体を踏まないように注意しながら最前線に近づくと、もはや1000騎以下に減っていたモンゴーラ兵に向かって声を掛けた。

「パトー(カン)! 一騎打ちを所望する!」(注3)

可汗(かがん)の立場で一騎打ちすることは無責任だったが、代理でしか無い彼なら多少の我儘は許されるだろう。勝敗は決まったも同然だし、彼の生死に関わらず平和になったらクリルタイで選ばれた者が可汗(かがん)に即位するのだから。

 バイラムの声を聞いてパトーも最前線に姿を表した。

「一騎打ちだと? 何者とも分からぬ相手と一騎打ちなどするつもりはない!」

まあ、当然のことである。そもそもバイラムには支配者としての貫禄が足りないし。

「ワシがバイラムだ!」

「バイラムだと!? ……誰だ?」

パトーはハサールに敬意を抱いていたが、せっかく派遣した使者を全員殺されちゃったのでバイラムが可汗(かがん)代理になってることを知る由もなかった。しかしノリノリで声を掛けたバイラムの方は面子を潰され(た気がし)て怒鳴った。

可汗(かがん)だ! お前たちの言うところの(カン)だ! (注4) お前は自分と対等だと認めただろうが!」

パトートしてはハサールの支配者に対する位として認めただけであって、バイラム個人のことは名前すら知らなかった。ついでに臨時の代理に過ぎないことももちろん知らないが、彼はバツが悪そうに目を泳がせた。

「あ、ああ、そうか。そういうことなら……受けねばなるまいな!」

両者のやり取りを聞いていた両軍の兵士たちが一騎打ちを邪魔してはならないと二人の間を開けると、パトーは腰の蛮刀を振り上げて馬の腹を蹴った。

「ふぅぅうぅらぁぁあぁ!」

一騎打ちは剣で無くてはならない。矢だと乱戦の中では対戦者の矢か流れ矢かが容易に判断できないからだ。ただし、それはモンゴーラの話だ。一方で"乱戦"になる機会がすっかり途絶えていたハサールでは、決闘としての一騎打ちしか残っていなかった。一対一なら矢でも石(つぶて)でも誰の手による物か一目瞭然だから忌避されていなかったのだ。

「良い覚悟だ!」

バイラムが弓を引き絞りパトーの眉間に狙いを定めると、パトーが怒りを露わにして叫んだ。

「弓を使うか、卑怯者ネ!」

「なにっ!?」

弓を使うことを全く悪いと思っていなかったバイラムは、非難されたことに驚き動揺した。それは僅かなものだったが、放たれた矢は的を外れてパトーのこめかみを掠めるに留まった。

「くそっ! 世迷い言を!」

バイラムは再び矢を手に取ったが、既にパトーは指呼の距離まで近づいていた。彼は慌てて弓を捨て刀を引き抜いたが馬を走らせるのは間に合わず、勢いの乗ったパトーの斬撃をなんとか弾くのが精一杯。馬同士のぶちかましにも当たり負けしてぐらりとフラつき、彼は刀を持ったまま馬から転げ落ちてしまった。

「バイラム様!」

「近づくな! 一騎打ちだ!」

助けようと近づくハサール兵を怒鳴りつけると、バイラムは立ち上がってパトーの攻撃に備えた。彼の不利は明らかだった。彼らの蛮刀は短く、馬上にある者に致命傷を与えることは限りなく難しい。だが馬上からの攻撃も頭と胸くらいにしか届かないから防ぐのは難しくないのだ。問題は勢いの乗った斬撃に打ち負けないかどうかである。

「良い覚悟ネ!」

再び馬を駆けさせながら今度はパトーがそう叫ぶとバイラムは力が抜けそうになった。わざとやってるんだとしたら大した食わせ者である。

「来い!」

「喰らえ!」

パトーは両手で(◆◆◆)手綱をしっかりと掴みながら一直線に(◆◆◆◆)バイラムに馬を走らせた。迫り来るパトー! ……というか、馬。

「どわぁああ!」

バイラムは慌てて横っ飛びに転がった。人間の5倍はある馬の突撃を受けたら良くても相打ちだ。馬と。

「こんの卑怯者がぁ!」

「えっ? 何が?」

モンゴーラ人にとって馬は体の一部であり武器の一種である。馬を武器にしてはいけないというのなら、先ほどの馬同士の体当たりもダメだというのだろうか。パトーは悪びれもせず馬を寄せると、慌てて立ち上がろうとしたバイラムの首に刀を突きつけた。

「もうよせ、勝敗は決した」

「くっ……! 殺せ! だがお前も生きて帰れると思うなよ!」

「分かっているわヨ。お前の勝ちだ!」

「なに?」

此度(こたび)の戦の卓越した戦術……いや、シロタクを封じ込めた戦略も大したものだワ。一騎打ちの勝利などどれほどの意味があろうか。初戦に勝ち切れなかったことが悔やまれるばかりヨ」

自嘲気味にそう言ったパトーは、先程までの鬼気迫る様子が嘘のように穏やかだった。そしてパトーはバイラムだけに聞こえるように声を落とした。

「取引だ。お前の命を助ける代わりに、兵たちの命を助けてもらいたい」

「……降伏すると言うのか?」

「そうだ」

バイラムは命乞いをする気はなかったが、もちろん死にたい訳でもなかった。敵を逃がせというのではなく捕虜にするというだけなら彼の面子も傷つかないだろう。

「……まあ、それくらいなら良いだろう」

「ならば(うなづ)け」

バイラムがしぶしぶ頷くとパトーはニヤリと笑って剣を引き、兵たちに向かって大声で怒鳴った。まずはモンゴーラ語で、そして次にハサール語で。

「取引は成立した! モンゴーラの兵はこの地を去り、ハサール軍はそれを追わない!」

 先ほど言っていたこととはまるで違う言葉を聞いてバイラムは目をひん剥いた。

「なにぃぃっ!? そんなことは一言も……!」

バイラムがパトーに詰め寄ろうとすると、パトーは手綱をぐいっと引いてその場で馬を竿立ちにさせた。

「ヒヒィィィイィィン!」

「うわっ!」

慌ててバイラムが飛び退(すさ)ると、パトーは件の切っ先を胸にあてた。自分の(◆◆◆)胸に。

「その代わりにワシの命をくれてやるわ!」

彼はそう叫ぶとそのままバイラムのすぐ脇に頭から飛び降りた。刀はパトーの胸を貫きその切っ先が勢い余ってその背から飛び出すと、大量の血が高く吹き出し、バイラムはその血を頭から浴びることとなった。

「な……ななな……」

壮絶な死に様にバイラムが呆然としていると、モンゴーラ兵たちは武器を捨てその場に崩れ落ちた。

(カン)! どこまでも付いて行くと誓ったのに……」

(カン)(テングル)に行かれたのなら、俺も(テングル)にお伴します!」

彼らは男泣きに泣き始め、戦意の無いまま再び剣を手に取る者もいた。

「馬鹿者! (カン)のお志を無駄にするのがお前たちの忠義なのか!?」

「しかし……!」

(カン)の御遺骸を故郷にお返しせねばならん。(注5) その後のことはその時考えろ」

「…………」

 何やらドラマチックな会話がモンゴーラ兵の間でなされている間、ハサール兵たちはバイラムに冷たい視線を向けながらヒソヒソと大きな声で(◆◆◆◆◆)囁き合っていた。

「もう勝ったも同然だったのになぁ」

「自分が助かりたい一心で……」

「しかも自分から一騎打ちを挑んで負けたんだぜぇ」

抗議すべき相手を失っていまったバイラムは慌てて兵たちに叫んだ。

「ち、違う! ワシはあんな約束はしていない!」

「ええー? だってさっき頷いてたじゃないですかぁー」

兵士にジト目でツッコまれ、バイラムは返す言葉も無かった。

――パっ、パトーめぇぇぇえ! そのためにワシに頷かせたのか!

 二人の間で交わされた言葉は他の者達には聞こえていなかったが、2人が何事か言葉を交わしバイラムが頷いた事は誰もが見ていた。何事かの取引が成立したことは誰の目にも明らかだ。パトーが自害してしまった今となってはその取引の内容を知っているのはバイラムだけだが、それはつまり誰にもバイラムの言葉の正しさを証明できないということだ。今更パトーの言葉が嘘だと主張してもそれは誰にも証明できない。どう見てもバイラムが小狡(こずる)く言葉を翻したかのようにしか見えないのだ。パトーは最後の最後に見事に敵を出し抜いたのだ。

――ワシが何を言っても助かりたいばかりに敵を逃がすことを承諾したと思われるだろう。この上モンゴーラ人どもを殺すよう命じれば、その約束までも違えたかのように思われてしまう! 何たる悪辣な罠だ!

バイラムは怒りに震えた。勝てば全てを奪い、負ければ全てを失うのが彼らの戦だ。勝利した彼らが何故敵に譲歩しなくてはならないのだろうか? そのような事はハサールの歴史に一度足りとも……

――いや、あったな……

 プレセンティナとの戦は何をどう取り(つくろ)おうとハサールの負けだった。だがその敗北はハサールの不利益となっただろうか? 未曾有の国難に際して、今こうして勝利を得ることが出来たのはプレセンティナのおかげだろう。パトーが賛辞を送った戦略も戦術も、全てプレセンティナあっての事なのだから。

 バイラムはパトーの無残な死に様に目を向けた。腹の立つ男ではあるが、彼が自ら死を選んだのはバイラムの誇り高さを認めてくれた結果とも言える。バイラムがモンゴーラ兵を殺すことよりも自分の名誉を守ることを優先させると見込んだのだ。そうでなければ人質にして撤退に付き合わせようとしただろう。一騎打ちの作法には文化的な差異があったようだが、決して理解できない相手ではなかった。

――だが、お前の思惑になど乗ってやるものか。お前の思惑に乗るくらいなら、ワシはそれを利用してやる!

 バイラムは兵たちに向かって叫んだ。

「皆の者、戦いは終わった! 剣を収めよ! モンゴーラ兵を治療してやれ!」

「ち、治療……ですか?」

憎むべき仇にして侵略者を、しかも自分たちが勝ったというのに治療してやるなどあり得ない話だった。

「そうだ! プレセンティナ軍にも伝令を送れ! (カン)は討ち取った、逃げる者は追うな、とな!」

「し、しかし……!」

「プレセンティナ軍は理解してくれる。これは彼らのやり方だ。そうではないか?」

「「「…………!」」」

 この場にいるハサール軍の中にはペレコーポの戦いで傷を負い、プレセンティナ軍に(有無を言わさず)治療された者たちも多かった。負傷していたからこそドルクには(おもむ)かず、結果として今ここにいるのだ。敗れた敵を治療することは彼らにとっては(ごう)(すす)ぐ行為でもあった。

「……分かりました」

だが兵士たちが馬を降りて治療に向かおうとすると、バイラムはそれを止めた。

「待て、その前にすることがある。勝鬨だ!

 パトーは死んだ! モンゴーラは刀を捨てた! (テングル)に旅だった全ての者達にも聞こえるように、大きな勝鬨を上げるのだ!」

ハサール兵たちははっと息を呑み、万感の思いを込めて勝鬨を上げた。

「「「ふぅぅうぅらぁあぁぁ! ふぅぅうぅらぁあぁぁ! ふぅぅうぅらぁあぁぁ!」」」

そのどこか物悲しい雄叫びは勝者と敗者の耳を等しく打ち、草原に吹き荒れた嵐の終わりを告げた。遠く逃げ去ろうとしていたモンゴーラ兵は、パトーの死を悟ってその涙で馬の背を濡らした。


 10月24日、モンゴーラ軍本隊は死者12000、重軽傷9000の損害を受け、君主であるパトー(カン)までをも失った。逃亡に成功したのはわずかに8000あまり。しかも武装を失って、戦力としての再編成は事実上不可能である。

 対するハサール・プレセンティナ連合軍の死者は800、負傷者は2000あまりに過ぎなかった。ちなみに負傷者のうち800はプレセンティナ軍であり、そのほとんどが戦闘可能な軽傷者(鼻血とか)である。

注1 微妙に知られていないことですが、馬は泳げます。

泳ぎ方はもちろん犬かきです。あの細い足で水を掻いても効率が悪そうですが、それは速度の問題であって浮くかどうかは比重が決め手です。

人間の場合脂肪と筋肉の割合によって個人差が激しい(脂肪は0.9で筋肉は1.1なので)のですが平均で0.985だとか。

それに比べて馬の比重はなんと0.95! あんなに筋肉ムキムキなのに! 

しかも犬と違って水面から背中が出ることもありません。体のほとんどを水中に沈めながらも頭だけ水面から高く突き出すことが出来るのですから浮力を限界まで活用できます。

なので一応、人間が乗ったままでも(人間も首まで水に浸かってれば)泳ぐことが出来るようです。ただし、海水なら。

真水では浮力が弱いのでたぶん無理でしょうね。武装したままなんて言語道断です。


注2 モンゴル帝国は大元ウルス(中国&モンゴル)の他にチャガタイ・ウルス(中央アジア)、フレグ・ウルス(西アジア)、そしてジョチ・ウルス(キプチャク草原)の3つのウルスがありますが、チャガタイ・ウルスとフレグ・ウルスの国旗は■です。

黄地に赤の■がフレグ・ウルス、白地に黄色の■がチャガタイ・ウルス。どんだけ適当やねん!

しかしジョチ・ウルスだけはちょっと複雑で、白地に赤でヘンテコな象形文字みたいなのが書かれています。

赤白反転してぐぐぐっと左スミに寄せたらソビエト国旗に見えなくもない感じです。

何かの影響があるんでしょうか? コサック騎兵は赤軍じゃなくて白軍側だったと記憶してるんですが……


注3 モンゴル帝国というと集団戦法が得意で一騎打ちはしないという印象があります。

印象っていうか、マジでそういう傾向がしょう。そもそもヒット&アウェイが基本戦術なのに一騎打ちのしようがありませんし。

しかしその印象というのは、非モンゴル人から見たモンゴル軍の印象に過ぎません。

そもそも歴史的に見て"一騎打ち"の文化があったのは共通の価値観を持つ人間同士の間ではないでしょうか? 日本しかり、ヨーロッパしかり。

言葉や価値観が違えば相手の社会的なランクも分かりません。一騎打ちにふさわしい相手かどうかも分からないのです。しかし、モンゴル人の中ではどうだったのでしょうか?

例えば近代化した現代の軍隊では一騎打ちなんてバカバカしくて誰もやりませんが、仲間内では一対一の競い合いも喧嘩もします。

一対一で強いことは、仲間内ではそれなりに価値があったんじゃないかなぁと思います。


注4 可汗(カガン)というのは古代における遊牧民族の王の位でしたが、遊牧諸勢力が力を失ったり農耕民族の国を征服して定住しちゃったりした結果、可汗(カガン)と呼ばれなくなっていきました。

で、チンギス・カンが即位した時に復活させたんですが、モンゴル訛りなのかなんなのか「(カン)」になっちゃいます。

つまり、本来どっちも同じものです。日本で言えば昔「大君(おおきみ)」と言ってたのが次第に「(みかど)」になったようなものでしょうか。訛りでもなんでもないけど。

まあ古代に可汗を名乗ってた人たちより、モンゴル帝国の汗の方が遥かに強大だった訳ですけどね。おかげで更に上に「大汗(カァン)」が出来て宗家である大元ウルスの君主(元朝の皇帝)が引き継ぎ、他の3大ウルスの君主が「(カン)」を名乗るようになります。


注5 モンゴルを含む遊牧民の間では天神(テングリ)が信仰されていました。

命は天より来て天に帰るという素朴な自然崇拝だそうで、生地で死ぬことが理想とされていたんだとか

信仰とかなんとか言うより故郷で死にたいっていうのは普通のことのように思えますが、季節ごとに移動してる彼らにとっては生まれた季節に死なないといけないような気もします。難しいですね。

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