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太陽の姫と黄金の魔女  作者: 桶屋惣八
第8章 ムスリカ編
256/354

ボス川の戦い その2

遅くなりました、すみません

アルファポリスの大賞の件、ご協力ありがとうございました。


今回の話でボス川の戦いが終わる……はずだったんですけど、終わりませんでした

勝負は決まりますけど

 謎の鉄馬車の目を盗んで川を渡るため、パトーは燃え盛る橋の(たもと)から下流方向へと馬を走らせていた。その先の渡河点を押し渡り、敵の占領下にある島の海岸にあるはずの大きな()を破壊するためである。

――速度が騎兵に及ばぬのなら、草原では我らの敵ではない。いや、川を渡れぬ以上この島で干殺(ひごろ)しにも出来るはずだ。筏さえ破壊してしまえば!

船に対しては火矢を撃ちこむのがセオリーだろうが、水に浸かった丸太がそう簡単に燃えそうにないことはパトーにも想像がついた。丸太を束ねる縄を切って海に流してしまうのが一番確実だろう。

「よし、ここを渡るぞ! 松明を消せ! 明かりを持てば敵に気づかれる!」

彼は持っていた松明を川に投げ捨てるとそのまま川の中に馬を進めようとしたが、千戸長の1人が両手を広げて彼を押し留めた。

「お待ち下さい! 敵と交戦する訳でないのなら大人数は必要ありません。(かん)はここにお残り下さい!」

当たり前のことだ。敵中に突入するような危険な戦いを総大将であるパトー自身がする必要はない。彼は自分が頭に血が昇っていたことに気づいて顔をしかめた。

――ワシは怒っているのか? そうだな、だがそれはワシが恐れているからだ。安心しては何度も覆されてきた上に、今度はあのバケモノだ。自分の手で無力化しないと安心できないのだ……

だが事実上一国の王たる身である彼には、そのようなことは贅沢と言えよう。これまでだって多くのことを部下に任せてきたのだ。彼の手で看取ったあの百戸長のおかげでせっかく勝ち目の見えてきたというのに、ここで彼が討たれれば全ては水泡に帰してしまう。

「……そうだな。お前に任せよう。必ずや筏を破壊してこい!」

「はっ!」

 千戸長に従って次々に川に飛び込む兵士たちを見ながら、パトーは後方を振り返った。ハサール軍は当然動き出しているはずだが、耳を済ましても未だに鬨の声一つ聞こえてこないし伝令もやって来ない。おかしな話だった。興奮していた彼はそのおかしな話にようやく気付いたのだ。

――タイミングを読み違えたのか? いや、あの火柱はハサール軍からも見えたはずだ。ならばなぜグズグズしているのだ……?

不安と疑問は尽きなかったが、パトーには確かめる術がなかった。


(カン)! 敵が!」

部下の指差す方を見ると、先ほど兵たちが渡ったばかりの対岸を橋にいた鉄馬車たちが南に駆け下って行く様子が見えた。パトーは思わず舌打ちした。

「ちっ! 察知されたか!」

筏に向かった兵士たちは既に先に進んでいたが、この調子では筏を破壊するだけの時間があるかどうか微妙だった。まさに時間との勝負である。

――とはいえ、ワシにはどうすることも出来ん。何か出来ればいいのだが……

彼の願いを聞き届けたのかどうか、入れ替わりに南から伝令がやって来た。

(カン)、南西です! 川から敵が現れました!」

「川からだと? まさかまた別の鉄馬車かっ!?」

「えっ? ええーと、馬車かどうかは分かりませんが、確かに陸上にも箱状の何かが幾つかありましたが……」

伝令は首を傾げた。彼は発見と同時に報告に来たため、暗闇にシルエットを見ただけだったのだ。その馬車がどんなに恐ろしい物なのかは知らない。それに彼はそれとは別に明らかにまずい物を見ていた。

「しかしそれよりも、敵はそこに浮き橋(注1)を作っているのです!」

「浮き橋だとっ!?」

パトーは愕然とした。せいぜい筏で海を経由してやって来るものと思っていたが、浮き橋があれば数時間かかることが5分で済んでしまう。浮き橋が完成して渡り始めれば、もはや鉄馬車を押し留める手立ては無いだろう。

――クソッ! ワザと橋に固執して見せたのは我らの目を引き付けるためだったのか!?

まんまと騙されていたことを悟って彼はギリギリと歯ぎしりをした。だが彼はすぐにはっと気付いた。

――先ほど対岸を下っていった敵は、筏に向かった兵を追っていったのではなくて浮き橋に向かったのではないか?

パトーは蒼白になった。このままではあっさりと川を渡られてしまうではないか!

「今いる鉄馬車の数は少ないのだな!?」

「定かではありませんが、多くても10台くらいだったかと」

完全に別働隊なら鉄馬車を満載しているはずだ。そうでないということは、対岸に居る鉄馬車部隊が乗ってきた筏で浮き橋を作っているのだろう。 浮き橋という物は普通は小舟を連ねて浮力を確保し、その上に板を渡して作るものだ。だが鉄馬車を運んだほどの筏なら、当然ながら十分な浮力があるのだろう。まして筏なら板を渡すまでもない。ただ端と端を繋げるだけで十分に浮き橋として機能するではないか!

――まずい、対岸の鉄馬車が渡り始める前に何としても浮き橋を破壊しなくては!

パトーはまだ夜が明けていないことを天に感謝した。血の気を失った顔も松明の灯りの下では赤く見えるのだから。

「皆の者! 筏の方からこちらに来てくれたようだ! 鉄馬車より先に筏を破壊し尽くすのだ!」

パトーは再び下流に向かって馬を駆けさせた。



 浮き橋が架けられようとしていたのは、第一大隊が上陸した島とモンゴーラ軍が(ひし)めく北西の島の間の支流、その河口付近だった。これが湖ならなんということもないのだが、緩やかと言っても流れがある。(いかり)を沈めて慎重に位置を合わせる必要があるのだ。そうしないと全体が崩壊しかねない。しかも1隻1隻が全長50mもあるような巨大な船なのだ。10以上の錨を沈めてその長さを調整しながら位置を合わせるのは大変な作業だった。まあ、そのおかげでたったの5隻で足りるのだけど。

「もう敵に発見された以上は灯りを点けてもいいぞ! その代わりに急げ!」

「「「宜候(ようそろ)!」」」

だが一番大変なのは既に川岸に着岸した一隻だった。連結作業よりも敵の攻撃に備える必要があったのだ。

「敵は必ず火矢を射てくる! 海水だ! 船べりにも甲板にも海水をぶっかけとけ!」

海戦に慣れたプレセンティナの海兵も、武装一つ付いていない方舟の上でハサール軍に匹敵するモンゴーラ軍と戦わなくてはいけないことに緊張していた。怖気づいても仕方がない状況だ。しかし彼らのもとには10両のキメイラという心の支えがあった。第一大隊から護衛として付けられた2個小隊である。

 恐らくは最も激しい戦いを繰り広げることになるこの場にたったの2個小隊しか投入していないのは、一隻の方舟に10両のキメイラしか載せられないからだ。北側の島に着岸した一隻以外は連結作業のために空荷だった。仮にキメイラを載せていたとしても連結しないかぎり動けないのだから同じことだが。

 だがだからこそデキムスは残り90両全てを使ってモンゴーラ軍の目をこの浮き橋から引き離していたのだ。しかしモンゴーラ軍の斥候は任務を続行していた。別の場所で明らかに大騒動が起こっていると分かっていても地味な任務を続けたのだ。下手をしたら味方が撤退して置いてきぼりにされるかもしれないのに剛毅(ごうき)なことだ。自分の役割の意義と重要性をしっかりと把握していないとなかなかこうはいかないものである。

「敵だ! モンゴーラ軍が来たぞ!」

「方舟に戻れ! 渡り板を戻して盾にするんだ! 後は我々に任せろ!」

キメイラからの警告を聞いて方舟に水をかけていた水兵たちは慌てて船に戻り、渡り板をもとに戻して文字通り方舟になった。

「散弾を装填! 合図の後は自由に射撃を開始しろ! ただし、各車前部と後部投石機は同時に放つなよ? 間断なく射ち続けることが一番だ!」



 パトーたちが浮き橋に辿り着いた時、10台あまりのキメイラが浮き橋の袂を塞ぐようにずらりと並んでいた。だが斥候が見た時のように目立たない姿ではなく、その鼻先から突き出した筒先にちょろちょろと鬼火が吹き出していて、その黒い鉄の装甲を不気味に照らし出していた。だが異様だったのはそれだけではない。浮き橋になりつつある()の方も異様だった。

――何だあの真四角の船は? 本当に筏なのか? まるで箱のような形だが……。そうか、『箱の中に箱』というのはこのことか!

上陸を迎え撃った百戸長の今際の際の言葉が頭をかすめたが、箱だろうが袋だろうが、とにかく破壊することには変わりはない。彼は即座に攻撃を命じた。

「火矢だ! 火矢を放て! 鉄馬車ではなく浮き橋を狙うのだ!」

彼の指示に従って100本以上の火矢が次々と放たれると、それら狙いあまたず浮き橋の壁に、中にと突き刺さった。

 方舟の中に篭っていた水兵たちは、方舟の中に火矢が降り注ぐと慌てて濡れた布を火矢に叩きつけた。(注2) だが側面の板の外側に突き立った火矢はどうにもならない。だが水をかけた効果もあって、火矢の炎は方舟になかなか燃え広がらなかった。

 しかしパトーの方も炎が燃え広がるのを待つつもりは(はな)からなかった。彼は突撃を命じた。ただし自分自身は足を止めたが。

「突撃しろ! 何としても浮き橋を破壊するのだ!」

対岸の鉄馬車が到着するまでに破壊するには、燃え広がるのを待つ時間的余裕はない。物理的に破壊するしかないのだ。モンゴーラ軍は鉄馬車の間をすり抜けようと横に横にと広がっていき、遠巻きにぐるっと半包囲するようになってから突入を開始した。

「「「ふぅぅうぅらぁあぁぁ!」」」

橋の袂で見た巨大な火柱の再現を覚悟したモンゴーラ軍だったが、彼らを迎え撃ったのはもっと地味なものだった。

「射てぇー!」

一斉に放たれた1000本の矢が、先頭を駆けていたモンゴーラ騎兵たちを空中に縫い止めるように一斉に突き刺さった。30騎ほどが一斉に落馬したことにパトーは目を剥いたが、彼は大声で怒鳴って兵たちの動揺を無理やり押さえつけた。

「突っ込めー! 今が好機だ! 敵の間を走りぬけろ! 火を噴き出しても突っ切ってしまえ!」

「「「ふぅぅうぅらぁあぁぁ!」」」

モンゴーラ兵は馬の腹を蹴飛ばすとますます速度を上げて鉄馬車へと迫った。各車の後部投石機は慌てて散弾を放ったが、いかんせん後部投石機は前部投石機に当たらないように仰角を付けて放たなければならない。彼らの放った矢が80m程先に到達した時には、モンゴーラ軍の先頭はあと30mにまで迫っていた。自分たちに矢が降り注がなかったことに、彼らは突撃の成功を確信した。

「よし、敵を抜け……」

 ボワッ!

 ヒヒヒィーーーン!

 鉄馬車から突き出た筒が突然炎を吹き出したことに、モンゴーラ兵というより馬の方が驚いて棹立ちになった。人間の方はそうなることを予測し覚悟していたのだが、馬の方は本能的な恐怖に耐え切れなかったのだ。なんとか通り抜けられたのは10騎にも満たなかった。

「ええーい、先に川に飛び込め! びっしょり濡れていれば馬も多少は鈍くなるはずだ!」

パトーはすぐ脇を流れるボス川の支流の方に目を向け、そして固まった。5時を過ぎてほのかに明るくなり始めた東の空を背景に、後方から鉄馬車の大軍が近づいてくるのが見えたのだ! 時間切れは目前である。

――くそっ! ここまでか! もはや全軍を撤退させて防衛線を下げるしか……うん?

絶望と希望は得てして同時にやって来るものだ。明るい東の空を背景に浮かび上がったのは禍々しい鉄馬車だけではなかった。一本のどこにでもありそうな杭である。

――あの杭は……渡河点の印! ここは渡河点だったのか!? 

パトーはその一縷の希望に全てを託し、自ら大音声を発した。

「鉄馬車は捨て置け! ここは渡河点だ! 川に入って浮き橋を直接叩くのだ!」

はっと動きを止めたモンゴーラ兵は喜々として川に向かい始めた。

 最初に戸惑ったのはキメイラの搭乗員達だった。最初はモンゴーラ軍が撤退を始めたのかと思ったのだ。だが躊躇なく川に入っていくのを見て背筋を冷たい汗が流れ落ちた。キメイラは川の中まで追って行けないのだ。

「う、射て! 行かせるな! 先頭の方舟以外は戦闘に備えていない!」

だが今度は彼らの足元が危うくなっていた。キメイラの間をすり抜けたわずかなモンゴーラ兵たちが、どうやら自分たちが方舟を攻撃する必要がないのだと気づき、しかもキメイラの後ろに馬が丸見えになっていることにも気がついて、その馬を攻撃し始めたのだ。馬に斬りかかっているモンゴーラ兵を見てさすがに放っておくことも出来ず、後部投石機の射手はその対応に追われることになった。だが川に分け入ったモンゴーラ騎兵は草原を駆けるよりも遥かに遅く、そこに後ろから無数の矢が定期的に降り注いだ。彼らは次々に矢を受けて倒れたが、それでも突き進んだ。

 明るくなってきたせいか浮き橋の連結もピッチを増し、もはや外観は完全に一本の浮き橋になっていた。更には対岸の鉄馬車も遂に浮き橋の袂にたどり着き、ゆっくりと浮き橋に乗り上げようとしていた。今からモンゴーラ兵が浮き橋の側面の板を乗り越え、箱船同士を繋ぐ縄だか金具だかを破壊する時間は、もうどこにもないだろう。

――やはり、間に合わなかったか! ここが渡河点だともう少し前に気づいていれば……!

パトーが悔しさのあまり目を閉じた時、それは起こった。先頭を進んでいた騎兵が川の中で突然立ち止まったのだ。

「縄だ! 海中に縄があるぞ!」

彼が刀を振り上げてその縄を切断すると、川岸に乗り上げていた方舟が目に見えてぐらりと揺れた。

「……そうか、川の流れに逆らうために、錨を投げ入れているのだ! 錨の縄を切れ! 他のもだ!」

 方舟に乗っていた水兵たちもこれはマズイと悟り、身を乗り出して弩を放ち始めた。しかし焼け石に水だ。キメイラも全力で散弾を放ったが、いくら損害が酷くともすぐさま全滅するほどではない。バタバタと仲間が倒れていく中でもモンゴーラ兵は着実に前進し、次々に錨に繋がった縄を断ち切っていった。そして最後の錨を切り離した時、ついに耐え切れなくなった方舟はぐらりと向きを変えて岸辺を離れ始めた。

「まだだ! 次の船も押し流せ!」

モンゴーラ兵は次の方舟の錨も切り離し始め、浮き橋は完全に流れに負け始めた。このままでは無理な連結が返って船体を破壊してしまう。連結のために結わえていた縄を水兵たちが止むを得ず切り離すと、浮き橋は完全に解体された。

「「「ふぅぅうぅらぁあぁぁ!」」」

勝利を目前に奪われたプレセンティナ軍は、川の中で鬨の声を上げるモンゴーラ兵を呆然と見つめることしか出来なかった。



「なんてこった……」

その様を目前で見ていたデキムスは頭を抱えていた。だが彼には落ち込んでいる暇はない。

「第一方舟艦隊、第一方舟艦隊、こちらデキムス。航行は可能か? ドウゾ」

『こちら第一方舟艦隊旗艦。船体自体には大きな損傷はありません、大丈夫です。でも錨が無いので固定は出来なくなりました。浮き橋の修復は不可能です! クソっ! ドウゾ!』

「なら護衛小隊を回収してこちら側に戻って来い。お前たちは十分によくやった。ドウゾ」

『……はい、分かりました。通信終了、ドウゾ』

何とも悔しそうな声だったが、それはデキムスとて同じである。ルキウスがいればルキウスのせいに出来たかもしれないが、残念ながらこの失敗は歴史的には彼一人の責任にされてしまうだろう。

「通信終了!」

彼はギリっと歯を噛みしめると、川の向こうを睨んだ。彼が失敗者として名を刻む一方で、成功者として名を刻むであろう男がいるその方向を。

「クソっ! おれが酒を奢らされる分、お前には羊肉でも奢ってもらうからな、バイラム(◆◆◆◆)!」

彼は浮き橋から後退するように合図を出すと、後退時特有のゴロゴロという振動を感じながら再び|遠くと話す箱{無線機}を掴んだ。

「第()方舟艦隊、第()方舟艦隊、こちらデキムス。渡河に失敗した。そちらはどうだ? ドウゾ」

『こ・ら第ニ方ぶ艦・い! じゃあ殊・んしょ・は我々で・ね! 一杯・は納・くでき・せん・! ド・ゾ!』

それほど遠い訳でもないのにドドドッという凄まじい雑音で相手の声がはっきり聞こえなかった。

「聞こえない! 成功したのか、失敗したのか、まだなのか、はっきり答えろ! ドウゾ!」

『この馬蹄・と・ろきを聞け・分か・で・ょう? 成・うです! ドウゾ!』

「そうか……。ご苦労、通信終わり。ドウゾ」

『通信・わり!』

デキムスは一気に気が抜けて肩を落とした。もう彼は主戦場には行けない。もう一本(◆◆◆◆)の浮き橋を使ってモンゴーラ軍が雪崩れ込んでいる対岸の島には。勝敗は彼の手で既に決したも同然だったが、彼はそれに立ち会えないのだ。

「……仕方ないか、もともと手伝い戦だしな」

 彼は主力であるハサール軍を浮き橋によって渡河させるために、わざとモンゴーラ軍のいる島に上陸しなかった。本当にモンゴーラ軍の注意を引きたくなかったのはこの第一の浮き橋ではなく、第二の浮き橋だったのである。ハサール軍に対峙するモンゴーラ軍の兵力が少なくなれば、その戦力が渡河点に集まるのは当然のことだ。一方でキメイラがわざわざハサール軍を警戒している前線を選んで上陸してくるはずもないのだから。

 だがハサール軍は暗闇の中に松明を焚いたまま、一旦下がってから河口付近に移動していた。浮き橋が出来次第一気に渡河するためである。そしてモンゴーラ軍の注意が渡河点とキメイラに向いている間にまんまと浮き橋を構築することにせいこうしたのである。まあ、出来れば第一の浮き橋にも成功して欲しかったんだけど。

「とにかく次だ、第二大隊の応援に行くぞ!」

彼らは川岸を離れ、南東へと向かっていった。モンゴーラ軍の退路を断つためである。

注1 浮き橋とは、文字通り浮いている橋です。48手の1つではありません。

本来は船を並べて板を渡した仮設橋のことです。なので別名は船橋(ふなばし)、まさしく船橋市の船橋です。

そもそも船橋市の名前は、ヤマトタケルが軍隊を率いて来た時に川を渡るために船で橋を作ったのが由来なんだそうです。

大軍勢の場合はいちいちピストン輸送するより安全で早いですからね。

他には江戸時代に献上された象が多摩川を渡る時にも浮き橋を作ったそうです。

1艘の小舟では耐え切れない重さも、連結することで負荷が分散するのでしょう。

船橋は現代ではめったに見ることはありませんが、フロートを使ったタイプの浮き橋なら湿原の遊歩道みたいに流れもなく交通量も少ないところにあったりします。

親戚筋(?)に当たる浮桟橋なんかは港で広く使われていますね。


注2 濡れた布をかぶせることは油火災の時にも有効だと言われています。

火に濡れた布をかぶせることは、布に含まれる水分を蒸発させることで冷却効果が発揮されるだけでなく、水を含んだことによって通気性の悪くなった布で酸素の供給を阻害する効果もあります。

仰向けに寝てる人の顔に濡れタオルを置いて窒息させるようなものですね。

このW効果で火を消して発火点以下の温度まで下げる訳です。

高熱を出して寝込んでいる人にやっても驚くほど体温が下がりますよ。……死んじゃうので



#ファンタジー大賞

前書きにも書きましたが、アルファポリスのファンタジー大賞の集計期間が終わりました

ご協力ありがとうございます

最後に見た時は30位くらいでした


スタート直後に不正があったとかでトップ順位が激しく入れ替わってましたけど、調べてみたら小説と関係ないところで組織投票があったようです

有名なYouTuberが投票を呼びかけたそうで、一応規約違反じゃないようなきもするのですが、誰か複数アカウント作ってまで投票したのかもしれません。

ポイントでトップになっても賞金しか貰えないのに……

書籍になった時に買ってくれるのならポイントでも良いような気もしますけど、YouTuberではファンも無料を期待してそうです

それに内容の方も、まあ、なんというか、「なんというか」としか言えない内容のようですし……


発表は10/末だそうです。

このお話はそれまでに完結するのでしょうか……

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