平安の都 その3
イゾルテは若い奴隷軍人に案内されて別の棟に渡った。後宮である。正妻が一人いるだけのルキウスのなんちゃって後宮ではない。広大な版図から100を越える極上の美女を集めたというドルク皇帝の後宮である!
――父上、母上、草場の影から見ていて下さいますか? 喜んで下さい、私はついにこの場所にやって来ました!
ルキウスは死んでいないし、娘が後宮を(一時的に)手に入れて喜んでいることを知ったら激しく残念に思うことだろう。どうせなら玉座に座って来れば記念になっただろうに。まあ、ゲルトルートは後宮の方が嬉しいかもしれないけど。
大きな扉をくぐるとそこには吹き抜けの大きな空間があり、めくるめく大勢の美女たちが彼女を待ち構えていた。……壁画として。場所が場所だけあってなかなか扇情的な絵が多い。しかしがらんとした空間には誰一人おらず、調度品も何一つ無く、四方にある部屋からも人の気配が全くしなかった。
「……誰も残っていないのですか?」
「誰も居ませんでしたねぇ」
「……女官も?」
「女官もです」
最後の望みを断たれたイゾルテはがっくりと崩れ落ちた。
――くそっ、エフメトめ! 父親の愛人だろ? 何で連れて逃げるんだよ!
イゾルテはドンドンと床を叩いて悔しがった。彼女を女性だと思っている(というか正しく女性なのだが)案内役の奴隷軍人は、彼女がなぜがっかりしたのか分からなかった。
「あ、あの、何か問題でも?」
「……何でありません。何も残っていないことにちょっとガッカリしただけですわ」
だが言葉とは裏腹に、彼女が激しく落ち込んでいることは明らかだった。美人にがっかりされるとなんとか元気を出して貰いたいと思うのが男の性だ。彼は余計なことを口にしてしまった。
「あっ、そういえば一人だけ女性が残ってました!」
「えっ? ほ、ホントに? 美人ですのっ!?」
「えーと、まあ、美人じゃないですかね。それに働き者ですよ」
――メイドにぴったりじゃん!
イゾルテは拳を握り締めると勢い良く立ち上がった。
「で、その方はどちらですのっ!?」
「こちらです」
彼に連れられてある部屋の前まで行くと、彼はノックもせずにガラリと戸を開けた。
「どうぞ」
言葉に従って小さな部屋に入ると、そこには一人の女性が静かに立っていた……便器の隣に。イゾルテはかーっと赤くなるとぺこぺこと頭を下げた。
「ご、ごめんなさい! 使用中だとは知らなくて!」
しかしその女性は許さなかった。というか、それ以前に彼女を責めることすらしなかったのだ。更にはイゾルテがそっと頭を上げても、その女性は何の反応も示さなかったのである。当然だ、何故なら彼女は……等身大木偶人形だったのだから。
「人形? ……何でトイレに? ま、まさか……排泄しているところを見られることに快感を覚える人専用のトイレだったのか!?」
何と言ってもここはドルクの後宮である。あらゆる変態的嗜好も許される究極の治外法権特区なのだ!
「……いや、何で自分が恥ずかしがらなくてはならんのだ? それならむしろ女性が恥ずかしがりながら排泄している所を見るのが筋じゃないのか?」
何れにしても何と背徳的な楽しみ方であろうか。あんまり変態的すぎて生きた女性には頼みにくいお願いである。
「だからこそこの人形の出番なんだな、なるほど~」
イゾルテは一人納得するとその人形を動かそうとした。腰を掴んでぐっと持ち上げようとしたが、ガタガタを揺れるだけで全く動かなかった。もとより彼女はとっても非力だが、押しても引いてもビクともしないところを見ると床に固定されているようである。
「おかしいな、違うのか? じゃあどうやって使うんだよ……」
改めて周りを観察してみると、便器の隣には水鉢があり、その隣に女性の人形が立っていて、その更に隣の壁にはレバーが付いていた。そしてそのすぐ上のプレートにはこう書かれていたのである。
『御使用後はレバーを引いて下さい by アル・ギャザリン』(注1)
「誰? この人形の名前かな? っていうか、そもそもどうやって使用するのかが分からないんだけど……」
使用法の説明もなく、使用後にどうしろという注意書きに何の価値があるのだろうか? 謎である。イゾルテは廊下に出ると、手で耳をふさいで待っていた先ほどの奴隷軍人の肩を叩いた。
「あのー、これってどうやって使うんですか?」
「え? ああ、ドルク語が読めなかったんですね。使用後にレバーを引くんですよ」
「いえ、ですからレバーを引く前にどうやって"使用"するんですの?」
「……え?」
彼は面食らったように目が点になった。
「ちょっと使ってみていただけませんか?」
「ええっ!? ……私がですか?」
「ええ、あなたが」
「……トリスさんの前で?」
「ええ、私の前で」
「……見られながら?」
「ええ、じっくり見させて頂きますわ」
「…………」
彼は何故か頬を赤らめ、少しばかり息を荒くしながら腰のベルトに手をかけた。……が、やっぱり手を離した。が、再びベルトに手をかけて、くねくねと身悶えを始めた。その顔は恥ずかしそうだったり嬉しそうだったり、あるいは悩ましそうに眉根をよせたり、でもやっぱり嬉しそうに顔をほころばせたりしていたのだが、結局彼は恥ずかしそうな顔でペコリと頭を下げた。
「すいません、私には無理です! 見る方だったら喜んでするんですが!」
彼は何故か期待しているかのようにイゾルテを仰ぎ見た。
「いえ、それでは意味がないんですけど……。もう結構ですわ、行って下さい」
「残念です……」
彼は本当に残念そうに去っていった。結局使い方が分からなかったイゾルテも残念である。
「とりあえずレバーだけでも引いてみるか」
イゾルテはトイレに戻ると壁のレバーを引いてみた。するとガコンっという音がして、便器の隣にあった水鉢から水がじゃばぁーっと便器の中に盛大に流れ出たではないか! そして空になった水鉢に、今度は女性像が小脇に抱えた水瓶から水が溢れ出て水鉢の中を満たしたのである。
「水洗トイレだったのか!」(注2)
水洗トイレといえば、普通は普段からちょろちょろと水を垂れ流しているものである。そうやって便器の汚れを防ぐわけだが、はっきり言って水がもったいない。だからと言って水の量を少なくすれば便器が汚れてしまう。なかなかさじ加減が難しい物なのだ。然るにこの水洗便器は、水鉢に貯められた水を勢い良く流して汚物を押し流す一方で、水鉢から減った水を補充するだけで普段は水を止めているのだ。水を無駄にしない素晴らしい仕掛けである。(注3)
「なるほど、これは面白い作りだ。ちょろちょろ流しっぱなしにするより水の使用量が少ないし、一気に流すから勢いがある。そもそも上水道が流しっぱなしなのは水の劣化を防ぐためだという話だが、水洗用の水なんて悪くなってても関係ないからなぁ」
もっともペルセポリスでは、ドルクに水道橋を破壊されてから100年以上水道が使用不能のままだから、イゾルテの知る限りでは後宮のトイレが1つだけ水洗になっているだけだった。それも雨水を利用して流しているだけだから水量も潤沢ではない。だというのに流しっぱなしにしているのは、この水洗便器を見た後では激しく馬鹿馬鹿しかった。
「これは我が国に持ち帰る必要があるな! ふっふっふ、都を襲い後宮から女を拐うとは、私も悪くなったものだ……!」
芝居がかった偽悪的なセリフを口にしながら、彼女は人形のスカートをめくり上げた。残念ながら製作者は見えないところに拘りが無いようで、上半身を支える木の棒と水道管らしき鉛管の二本が床から生えているだけの色気のない作りだったが、床の方には保安用と思われる床扉があった。
「ふむ、仕掛けの半分は床下にあるのかな?」
彼女は床にしゃがみこむと、ぐっと力を入れてその床扉を持ち上げた。その下にぽっかり開いた暗い穴の中には、驚くべき物があった! なんと……男である。
「…………」
「…………」
バタン
イゾルテは無言のまま床扉を閉じた。そして叫んだ!
「ヘンタイでーす! 変態がここにいまーす!」
「まっ、待ってください! 私は変態ではありません!」
男は床下からドンドンと扉を叩いて抗議した。
「じゃあ何ですか? 紳士だとでも言うのですか? それともこの人形を操作する係だとでも言うのですかっ!?」
「ちが……えーと、そういうことでも、いいかも?」
「良くありません! 本当は何者なんですか!? いえ、変態なのは分かってますけど!」
「変態ではありません、紳士です! ちょっとドキドキしましたが、これは不可抗力なんです!
私はコルクト・パシャの部下です。あなたのお役に立つようにと仰せつかっています、トリス様!」
イゾルテはトリスの名を聞いてピタリと騒ぐのを止めた。
――エフメト側の人間にトリスの名を語ったのはさっきの使者が初めてだ。なぜ私がトリスだと分かったのだ?
スエーズ軍が守りを固めているというのにおかしな話である。
「どうして私をトリスだと思うんですか?」
「先ほど一瞬見えたお顔が大変麗しかったからですよ。トリス様は花も恥じらうほどの美しさだとお聞きしておりましたので」
「そ、それは……納得せざるを得ませんね!」
イゾルテは男の正直さに深く同意した。
「納得して頂けて幸いです」
そう言って這い出して来ようとした男を、イゾルテは床扉ごと踏みつけた。
「いたっ! な、何を?」
「コルクト・パシャの使者と会ったのはつい先ほどですわ。後宮の中にいた者と連絡が取れるとは思えません。……1つの可能性を除いては」
「…………」
男はゴクリと唾を飲み込んだ。
「隠し通路でしょう? 宮殿に、特に後宮には隠し通路が付き物ですもの。もうこの宮殿はエフメト皇子の物ではないのですから、隠し通路のありかを洗いざらい吐いて頂きましょうか?」
男は大きく溜息を吐いた。
――コルクト・パシャの使者が偽物で、実はコルクト・パシャ本人だということはバレていないようだ。良かった……
まあ今更バレてほとんど誰も困らないんだけど、彼の口からバレたのだと上司に知られたら給与査定が大変なことになるのだ。特にコルクト・パシャに関する案件では。
「……残念ながら、私もここしか知りません。そもそも皇帝と一部の愛妾しか知らないのです。エフメト殿下とて彼女たちが退去する時に聞き出しただけでして、私はその一つを教えられただけなのです」
説得力のある言葉だった。ドルクとプレセンティナでは事情が違うかもしれないが、イゾルテだって自力で探り当てた物しか知らないし、ミランダにすら教えてもいなかったのだ。……アントニオに教えるかも知れないから。
――まあいいか。私が住む訳じゃないし、必要ならバールが調べるだろうしな。あとでここの通路の存在だけ教えておくか
とはいえトリスの名前だけでは油断できない。この男は実はビルジ派で、あの使者を襲って聞き出しただけかもしれないし、あるいはそれ以前からイゾルテ達を監視していたのかもしれないのだ。
「ホントにパシャの部下なんですか?」
「本当です! 明日の正午、大広間に集まるよう連絡を回しています!」
だがその程度は使者を襲って拷問した可能性は拭えなかった。
――適当にブラフをかけるか
イゾルテは壁のプレートをちらりと盗み見てから男に尋ねた。
「じゃあ、名簿もご覧になってますね? アル=ギャザリンの肩書は何ですか?」
「技師長です」
即座に返って来た返答にイゾルテの方が虚を突かれた。
「え?」
「ですから、技師長です」
「…………」
「街区の代表でも組合の代表でもないので最後のページに載せてあります」
イゾルテは名簿を取り出すと最後のページにその名があるのを見つけ出した。
『宮廷技師長 アル=ギャザリン』
――あれはこの人形の名前じゃなくて、製作者の名前だったのか……
どこに書いてあるかまで暗記していたとなると、さすがにこれ以上疑う事はできなかった。
「……間違いないようですね」
「いやぁ、分かって頂けてありがとうございます」
そう言って再び這い出して来ようとした男を、イゾルテも再び床扉ごと踏みつけた。
「ぐえっ! な、何を?」
「分かったのはあなたがコルクト・パシャの部下だと言うことだけです。女性のトイレを覗こうとした変態でないとは言い切れません」
「居ないです! そもそも女性が居ないです!」
「なぜ居ないと知ってるんですか?」
「まだ居たら、隠し通路なんて教えてもらえませんよ!」
「……確かに」
この男が変態だったら、後宮に女達が残っている間は決して隠し通路なんて教えないだろう。
「いやぁ、分かって頂けてありがとうございます」
そう言って再び這い出して来ようとした男を、イゾルテも再び床扉ごと踏みつけた。
「ぐはっ! な、何を?」
「分かったのはここに女達が残っていないことと、それをあなたが知っていたことだけです。でもあなたは、私の声を聞いても出てきませんでしたよね?」
「…………」
男はゴクリと唾を飲み込んだ。確かに彼は、「きっとトリスなんだろうな」と思いながらも息を潜めてやり過ごそうとしていたのだ。だって万一別人だったらとっ捕まって拷問されるかも知れないし。
「ここに女性が残っていないと知っていて、さらに私のことも聞いていて、その上でタイトン語を話す若い女の声が聞こえて来たのに、何で黙って隠れていたんですか?」
「………本当に、覗こうとはしていませんよ?」
「ああ、音を楽しむ派なんですね。流石はヘンタイですね」
男はもう何を言ってもダメそうな気がしてきた。なぜなら彼は、実際に聞き耳は立てていたから。もちろん別に疚しい理由ではなかったのだが、その背徳感にちょっとドキドキしちゃったのも事実である。今まで自覚がなかっただけで、ひょっとすると本当に変態なのかもしれない。
「へんた~い! へんた~い!」
イゾルテに詰られながらグイグイと踏みつけられた男は、反論も出来ないままひたすらに屈辱に耐えた。拷問に耐える訓練まで行なっている彼にとって、イゾルテの責めなど大したことはない。むしろ気持ちいいくらいである。拷問吏が美少女だということも考えると、むしろご褒美かもしれない。彼の息は次第にハァハァと息が荒くなったが、無情にも彼女は踏みつけるのを止めてしまった。
「えっ……なぜ、止めるんですか?」
男の熱い眼差しを受けて、イゾルテはドン引きした。なぜなら彼女は……ちょっと楽しくなりかけてたから。この男だけでなく、彼女自身にもドン引きしていたのである!
――いかん、このままでは私までヘンタイになってしまう……
需要と供給が一致しているんだから良いんじゃないかとも思うのだが、そこに越えてはならない一線があるような気がしてならなかった。
「と、とにかくあなたがヘンタイで、ついでにエフメトからの遣いだということは分かりました。宦官が隠れていたことにしましょう。監視の兵をつけますので、色んな意味で大人しくしていなさい」
「はぁ……」
信用されたのか信用されていないのか微妙な言葉に、男は明確な返事ができなかった。
「で、わざわざ後宮にまで潜り込んだということは、私の役に立てるということですね? 踏まれること以外で!」
「ええ、資料を持参しました」
「資料?」
「各地の地理や人口、軍事・民間の施設など北部以外の全てです」
イゾルテは小首を傾げた。確かにそれは願ってもないことだが、今更持って来るくらいなら最初から残しておけばいいだけのことではないか。それに……
「……手ぶらですよね?」
「ええ、手ぶらです。資料は全部ここに入ってますから」
彼はコンコンと頭を叩いた。
――なるほど、そういうことか
イゾルテは深く納得した。つまりこの男は非常に優れた記憶力を持っているのだ。
普通ならおいそれと信じられないところだが、アル=ギャザリン氏の名前が名簿の最後のページに載っているという、ほとんどどうでもいい情報まで丸暗記していたことを考えれば十分に納得できる話である。それは密偵に持って来いの特技と言えよう。そして何より……変態にも持って来いの特技だった。
――きっと映像や音声も忠実に記憶できるんだろうな。だから覗きが趣味なのか……
イゾルテにその能力があれば、女湯で記憶した素晴らしい映像をいつでも思い返すことが出来るのだが。そう考えると、ある意味女性にとって最も危険な男である。せめて絵心が無いことを祈るばかりだ。
「じゃあ、いろいろ答えて貰いますよ」
「なんなりと」
「あなたのお名前は?」
「シーテ・ハメーテ・ベネンヘーリと申します」(注4)
イゾルテは嫌そうに顔を顰めた。
「して? 嵌めて? ……名前からして変態ですね」
「変態じゃありません! たぶん! 私のことはベネンヘーリと呼んで下さい」
注1 アル=ギャザリン の元ネタは アル=ジャザリー です。
アル=ジャザリーは揚水機とか水時計とかオートマタとかを作った発明家です。
正確にはそれらを作る過程でクランクやカムなんかの基本的な動力伝達機構を発明した点が評価されています。
ダ・ヴィンチがヘリコプターやフリントロック点火装置のスケッチを残しただけなのに比べて、アル=ジャザリーは実際に作って動かして、更には「こうやって作るんやでー」とDIY本まで書いたという実践派趣味人でした。
日本で言うなら弓曳童子や万年時計なんかを作った田中久重みたいな人でしょうか。
サラディンの主君筋のザンギー朝(の配下の地方政権)に仕えていましたが、後にサラディンに仕えたそうです。
注2 水洗トイレは意外に古い時代から存在します。下水道直結式のもは少なくとも紀元前2200年ころにはあったそうです。
まあ、下水道の歴史とともに発祥してるんでしょうね。そのための下水道ですから。
上下水道には殊更気を配った古代ローマにも、当然水洗トイレがありました。イメージとしては用水路の蓋に穴が開いていてそれが便座になってる感じです。
ボトンと落ちたら水の流れに従ってどんぶらこっこと流れていきます。当然ながら水は流しっぱなしですが、古代ローマでは上水道自体が流しっぱなし(蛇口を付けて流れを止めると水が腐るから)でしたから、そこから排水が流れてくる下水だって流れっぱなしだったのでしょう。
注3 アル=ジャザリーの発明の一つに水洗機構付きの手洗いオートマタという訳の分からないものがあったそうです。
上記の通り彼の発明以前の水洗トイレは水を流しっぱなしにするものでした。というか、流れてるところにトイレを作ったと言う方が正しいかも。
しかし降水量の少ない中東では流しっぱなしというのは資源の無駄遣いです。川の水量自体は豊富ですけど、位置エネルギーが貴重だったんでしょう。彼は揚水機の開発にも力を入れていましたし。
そんな訳で、一旦タンクに水を貯めて水洗をした後に自動的に水を補充する機械を作ったのです。
何でそこに女性形オートマタを使ったのかは激しく謎ですが……
注4 シーテ・ハメーテ・ベネンヘーリ=シーデ・ハメーデ・ベネンヘーリ
セルバンテス著『ドン・キホーテ』の原作者と言うことになっているアラブ人の歴史家です。
ベネンヘーリがアラビア語で書いた本をバイリンガルがスペイン語に訳し、それをセルバンテスがまとめたということになっています。それ自体がフィクションですけど。
架空の人物ですし、ストーリー中の矛盾も彼のせいだと(作中のキャラクター達に)ツッコまれるなんちゃって賢者ですが、名前が(日本語的に)変態チックなので採用しました。




