帰省
そのころタイトン諸国では……アプルン編
そのころ、アプルンの王都バリスを一人の男が訪れていた。1人と言っても体重は3人分で、乗合馬車の右端に乗れば知らず知らず右に曲がってしまうという巨漢である。だが太っている訳ではなく、その体に付いているのはほぼ全てが筋肉だった。きっと頭の中身も筋肉なのだろう、と思わせるほどのマッチョなのだが、今日はちょっとばかり上品な着こなしをしていたので、自慢の上腕二頭筋も長い袖の下に隠していた。
「えーと、ここってカステルモール伯爵のお屋敷ですよね?」
いくら言葉遣いが温厚だろうと、こんな怪しげな(肉体をした)男が貴人の屋敷を訪ねて来れば、門番としては警戒せざるを得ない。
「そ、そうですが、あなたは……どなたですか?」
警戒していても言葉遣いが丁寧なのは高い職業意識の現れであり、同時に職業病だった。確かに異様に似合っていなかったが、その来訪者の服装はそこそこ上品なものである。靴の仕立屋の一張羅だったとしても不思議ではないのだ。ひょっとしたら伯爵のお気に入りの職人かもしれない。こんなマッチョが靴職人だったらそれはそれで不審だけど。そしてもちろん、彼は靴職人ではなかった。
「俺はベルトラン・ド・ヴィルパン、兄のアトモスを訪ねて来ました」
ベルトランはなぜかアプルンにいた。当初は本人も望んでいた訳ではないのだが、バインでディオニソスとのヘメタル同盟が締結された後、イゾルテが思い出したようにこう言ったのだ。
「ここまで来たんだ、最後に実家に帰ってみてはどうだ?」
――最後? ああ、もうこの遠征も終わりだから、"遠征の最後"に帰省したらどうだということかな?
ベルトランは当然そう解釈し、イゾルテの心配りに意外の念を禁じ得なかった。でも彼が一刻も早く帰りたいのはアプルンの父母のもとではなかった。
「ありがとうございます、でも結構ですよ。どうせこれから平和になるんでしょう? その気になればいつでも実家に……」
「ダメだ! お前にはちゃんとペルセポリスにいて貰わないと困る!」
イゾルテは意外にも強い口調でそう主張した。
彼女はかつて彼がテオドーラの宮殿に日参している所を目撃し、2人が恋人同士であると誤解して、彼をハサール便準備委員会委員長などという訳の分からない職に就けてペルセポリスから追い出していた。その上、名目上とはいえ勝手にベルマー子爵と戦いを始めたことの罰として宮廷への出入り禁止を言い渡してもいた。全て愛しいテオドーラから彼を引き離すためであった。
だがペルディナント王が(一騎打ちでボロ負けした言い訳として)彼を持ち上げ始めたため、ディオニソス王国との和解のために彼女もそれに追従すると、今度はベルトランが「自分の功績に免じて、2人の関係を発展させること許可して欲しい」という主旨の嘆願をしてきたのだ。
実のところ彼は大したことをしていないと分かっている彼女は、その厚かましい嘆願に内心で激怒したが、同時に自分が嫉妬に狂っていることも理解していた。ベルトランのどこが良いのかは皆目見当がつかなかったが、本当にテオドーラの幸せを願うのなら二人の結婚を認めるべきだと考え、彼女は泣く泣くその嘆願を受入たのだ。だから彼女はせめてテオドーラが結婚してもペルセポリスに住んでいて欲しいと願っており、その予防線を張ろうと思ってこんなことを言い出したのである。
だが実際は、ベルトランは毎朝イゾルテ似の大理石の神像を持ち上げて移動させるためにテオドーラの宮殿に通っていただけだった。ベルトランにとってテオドーラは憧れの女神だったが、テオドーラにとってベルトランは亡き夫の友人でしかなかったのだ。しかも彼は(今のところ)その関係に満足していたので、イゾルテに言い渡された「出入り禁止」を解除して欲しいと嘆願したつもりだった。そしてそれが許可されたので、彼はさっさとペルセポリスに帰ってテオドーラの宮殿でまた神像を上げ下げしたいと思っていたのだ。だから彼はイゾルテの言葉を聞いて、「あれ? もしかして陛下って俺のことを好きなの?」と思う……にはイゾルテの目が憎々しげだったので、「うーん、また俺に何かさせるつもりなのかなぁ。ここで機嫌を損ねるとまた出入り禁止にされそうだなぁ」と考えた。
「……分かりました。お言葉に甘えて帰省してきます」
「よし! 家族は大切にしろよ、もう二度と会えないかもしれないんだしな……」
そう言ったイゾルテの寂しげな顔は、先日生まれて初めて会いながらもすぐに別れることとなった祖父と従兄弟を懐かしんでいるかのようだった。……が、実際には「ちょっと時間が稼げたけど、コイツが帰ってきたら姉上はまた結婚しちゃうのか……」と失恋の痛手に沈んでいただけだった。
そんな訳で彼は遥々アプルンはガストーニャ地方にまで足を伸ばし、街道を外れ山道を歩いて実家に辿り着き、家族や近所の村人たちから大歓迎を受けた。彼の体を見てムルス騎士団にいることだけは納得して貰えたが、攻め寄せるドルクがどれほどの大軍だったかとか、ペルセポリスが如何に壮大な都市なのかとか、イゾルテとコルネリオが如何にしてドルク軍を打ち破ったのかとかは全然信じて貰えなかった。
「いや、ホントなんだってば!」
「もうやだよこの子ってば、冗談ばっかり!」
だがそれでも歓迎されたことには変わりはなく、皆もベルトランも始終笑顔だった。居心地が良い上に親類縁者が訪ねて来たり、あるいは父親に連れられて遠方まで挨拶に行ったりと何ヶ月も居座る羽目になってしまったが、ようやくペルセポリスに向かおうという段になって王都バリスにいる兄に今年のワインを届けて来いと言われたのだった。なぜか母がニヤニヤしていたのが妙に気になったのだが、これを逃せば一生会えないかもしれないと思い、彼はワインを受け取ってバリスへとやって来たのだった。
「アトモス・ド・ヴィルパンはこちらでお世話になってると聞いたんですけど……」
目を白黒させていた門番は、はっと我に返った。
「ド・ヴィルパン卿の弟君であられましたか、失礼しました!」
門番がびっくりするのも仕方がない、何がビックリって兄弟なのに全然似てなかったのだ。もっともこんな巨漢は家族に一人で十分だろう。2人もいたらその家はきっと傾いてしまうだろうから……物理的に。だがその反応にベルトラン方もビックリした。
――卿って呼ばれてるのか、兄貴も立派になったもんだなぁ
ペルセポリスでは自分もそう呼ばれてるのに呑気なものである。だがハサール便準備委員会の委員長としてペルセポリスを出発してから、彼はイゾルテ以外の誰にも「卿」などとは呼ばれていないのも事実だった。元老院付きの文官達は「委員長」と呼んでいたが、ハサール人たちは呼び捨てだったし、彼らと気さくに飲み交わしているのを見たプレセンティナ兵もせいぜい「さん」付けにする程度だったのだ。なぜなら彼は……脳筋だと思われてたから。
「主人がお待ちかねです、こちらへどうぞ!」
「え? いや、俺は兄貴に会いに来ただけで……」
ベルトランは困惑したが、門番は譲らなかった。彼は予めキツく言い含められていたのだ。ベルトランがアトモスの弟に見えなかっただけで!
「どうぞ! こちらです!」
「……はぁ」
ポリポリと頭を掻きながらも彼はそれ以上抵抗はしなかった。彼とてペルセポリスでは貴人の相手もそれなりにしてきたのだ。伯爵やら将軍やらの知り合いだって5ダースはいる。もっともその中に壮大な屋敷を持つ者は1人もいなかったけど。そういうのは寧ろ商人の方に多いのだが、彼はとんと縁がなかった。
――まあいいか、イゾルテ陛下じゃないんだから無茶を言われることもないだろうしな。むしろ兄貴の方が無茶ぶりしそうだ……
一番歳の離れた兄のアトモスは生真面目で堅苦しい勉強家で、自分だけでなく弟達にまで厳しく勉強を教えようとする傍迷惑な性格だった。今思えば、彼のお陰で読み書きが出来るようになった訳だし、そのおかげでムルス騎士団の存在を知ることも出来たのだし、さらにはそのおかげで結局マッチョの道を選ぶことになった訳だが。
彼が案内されるがままのこのことついていくと、そこは中庭だった。だがキョロキョロと辺りを見回してみても下働きの女性が花の世話をしているだけで伯爵らしい人物は居なかった。
「ここなの?」
「はい、少々お待ちください」
ベルトランは、「なんだよ、伯爵待ってないじゃん」と思ったが肩を竦めただけで門番が去っていくのを見送った。彼は伯爵だからといってビビったりしなかったが、庭付きの大邸宅にはビビっていたのだ。貧乏人の悲しさである。
「あら? あなたはどなた?」
女性の声に振り返ると、花の世話をしていた女性がこちらに顔を向けていた。よくよく見れば手袋とエプロンドレスが汚いだけで、胸には高そうな宝石の付いたペンダントを付け、耳にもイヤリングが付いていた。土いじりなんかしていたからてっきり下働きだと思ったが、きっと趣味でやっていたのだろう。
――あれ? まさかこの女性が伯爵だったのかな? じゃあ、彼女の作業が一段落するのを待てってことだったのかな?
彼は慌てて居住まいを正した。彼女のペンダントやイヤリングが高そうだったからではない、彼女が若くて美人だったからである。年は18歳くらいだろうか。イゾルテとは同じ年頃とは思えない成熟した体つきでもあり、ベルトラン的には彼女の方が遥かにタイプだった。まあ、テオドーラには遠く及ばないんだけど。
「失礼しました。私はベルトラン・ド・ヴィルパン、こちらでお世話になっているアトモス・ド・ヴィルパンの弟です」
「まあ、あなたが! アトモス兄様とは全然似ていないのね」
「にい……さま?」
ベルトランは首を傾げた。
「あらやだわ、私ったら。私が子供の頃にアトモスさんが家庭教師をしていたのよ。その時からのクセね」
「ああ、なるほど……」
彼は昔のことを思い出して、家庭教師は兄の天職かもしれないと思った。きっと生真面目な性格によって抑圧された鬱憤が、子供を絶対服従させて無理難題を押し付けることで解消されるのだ。合法的な虐めであり、サド性癖の発露であった。本人にとっては天職だろう。
「それは……大変でしたね」
「あら、アトモス兄様のお勉強は大変面白かったわよ? 特に保険体育の実習は役に立ったわ」
「……は?」
ベルトランは一瞬彼女の言う意味が分からなかった。
――ま、まさかあのクソ真面目だった兄貴が、家庭教師という立場を利用してこんな高貴な美少女に? なんという羨ま……恥知らずな!
何という悪! 何という恥知らず! 彼は全てを悟り、その怒りを拳に込めた。ちょっと顔が赤らんでいるのも怒りのせいである。……たぶん。
「ほら、バラの世話なんかをしてると細かいケガをしてしまうでしょう? だから治療法の勉強をしたのよ」
「……なるほど」
大変役立つ実学だった。流石は生真面目なアトモスである。彼の最大の失敗は、弟に全然信じて貰えていないことだった。
少しばかり気まずくなったので、ベルトランは話を逸らせて彼女の髪を指さした。
「ところで、それは流行ってるんですか?」
「え?」
「髪に生花を刺すのは見たことがありますけど、葉っぱ付きというのは初めて見ました」
「あらやだ! どこ? どこなのかしら?」
慌てて髪をくしゃくしゃにしそうになる彼女の腕を優しく押しとどめると、彼は彼女の髪から慎ましくも鮮やかな赤い花を抜き取った。
「アカバナルリハコベね。さっき花壇を弄っていた時に付いたのね」
「はぁ」
全然花に興味のないベルトランは、花の名前が分かっても気の利いたことは何も言えなかった。
「ゴホンっ、えーと、そうだ! この花言葉は何なのかご存じですか?」
「えっ!?」
彼女はぽっと頬を赤らめると若干顔を伏せながらも上目遣いに彼を見つめた。
「恋の……出会いですわ」
その言葉と彼女の照れ具合が、無音の衝撃となってベルトランを襲った。確かにテオドーラは美人だしすこぶる肉感的な体をしていたが、その魅力がベルトラン1人に向けられたことはなかった。だが目の前の少女は他の誰でもなくベルトランの目の前で、ベルトランを見つめていた。テオドーラが手の届かぬ月のような存在だとしたら、この少女はまさしくこのルリハコベのようにすぐ足元に咲く可愛らしい一輪の花のようではないか。ちょっと手を伸ばせば簡単に手折ることができるがだからこそ守ってあげたいという、そんな気持ちにさせるのである。とはいえ、所詮は一期一会の関係である。
「この花を……頂いてもよろしいですか?」
「はい、もちろんですわ」
ベルトランは後で押し花にでもしてこのささやかな出会いの記念にしようと、ハンカチで挟んでそっと懐に入れた。熊のような巨体でありながらその優しげな様はなんとなくユーモラスで、少女もクスリと笑みをこぼした。
だがこの何となくいい感じの雰囲気をぶち壊しにやって来たのは、ちょっと髪の薄い細身の中年男だった。
「おお、ベルトランか? デカくなったなぁ!」
覚えのない人物を見て、ベルトランは慎重に切り出した。
「……はじめまして?」
「いやいや、分からないか? アトモスだ」
「えっ、兄さん? 兄さんも…………見違えたよ?」
彼の視線が頭頂部に注がれているのを見て、アトモスは渋い顔をした。
「俺もそろそろ40だ、お前もきっとこうなる。オヤジも、爺さんも、叔父さんたちも皆こうだったからな……」
「…………」
なんとも悲しい予言であった。せめて知り合ったばかりのかわいい女の子の前では遠慮して欲しい言葉であった。
「そんなことより、話が弾んでいたようだな? どうだ、彼女は気に入ったか?」
「は?」
正直この少女のことはかなり気に入ってはいたのだが、本人の前ではYesもNoも言いにくいではないか。相変わらずの無茶ぶりではあったが、生真面目だったはずのアトモスが、今では男女のことに随分とあけすけになったようだ。
「アトモス兄さん、やめてくれよ、見合いじゃあるまいし!」
「バカを言うな、正真正銘の見合いだ。親父も承諾済みだぞ?」
「……へ?」
彼は実家を発つ時の母親のニヤニヤ笑いを思い出した。両親はベルトランを騙して見合いに送り出したのだ!
――ええっ! 親父が仕組んでたのっ!? しかも見合いってなんだよ! ペルセポリスではテオドーラ様が俺を……待っててくれるのかなぁ?
例え待っていたとしても、神像の上げ下ろしの人足としてだろう。それにプレセンティナ帝国のことだから、部屋の中に起重機{クレーン}を備え付けちゃってても全然不思議ではなかった。そしたら彼はお役御免だ。
――だったらこの娘と結婚しちゃうのもアリか? タイトンも平和になっちゃうようだし、イゾルテ陛下が居る限りテオドーラ様も安泰だろうし……
そう思うと一段と目の前の少女が魅力的に見えてきた。見た目だけでなく、温厚で花が好きだなどといういかにも少女らしい性格は、きっと結婚生活を楽しい物にしてくれるだろう。少なくとも油断のならないイゾルテなんかより、結婚相手としてはこの少女の方が遥かに魅力的だった。もちろんテオドーラは愛おしかったが、彼女は女神であって決して手を触れられない存在なのだ。しかし目の前の美少女はすっかり外堀が埋められていて、彼が首を縦に振るだけでこの美少女とこの大邸宅と、そしてどこかにあると思われる広大な所領が手に入るのである! 心が揺れないと言えば、それは明らかに嘘だった。
「しかしすっかり話が進んでいたようじゃないか」
「いやだわ、アトモス兄様ったら! まだ紹介もしていないのよ?」
「そ、そうだよ兄さん! ま、まだ会ったばかりだし……」
勝手に話が進みつつあることに困惑しつつも、ベルトランはドキドキしていた。するとますます彼女が可愛く見えてくるではないか!
「それに、順番からして兄さんの方が先だろ!」
だがアトモスは平然と切り返した。
「俺は既にした」
「え? そんな話はお袋から聞いてないけど……」
すると少女がくすくすと笑った。
「アトモス兄様ったら、堅物すぎるからミランディーさんに逃げられちゃったのよねー♪」
アトモスをからかう彼女も可愛かったが、当のアトモスは嫌そうな顔をしていた。
「その話は弟の前では止めてください、奥様」
「へ?」
――奥様? どういうこと? すっかり結婚がまとまったという前提で話しているのかな……?
ベルトランは奇妙な違和感に居心地の悪さを感じていた。もっとも兄が知らないうちに結婚していて、しかも知らないうちにバツイチになってたことも十分に気まずかったが。だがその気まずさを打ち破ってまた1人の男が現れた。
「そうだぞコンスタンティナ、アトモスが困ってるじゃないかぁー」
ベルトをガチャガチャと弄りながらやって来たのは、20歳を幾らか越えたくらいの若者だった。なんだか妙に軽薄な感じである。
「もう、タルタルニャンったらどこに行っていたの?」
「ごめんよハニー、ちょっとトイレに行ってたんだぁー」
ベルトランが「ちゃんとベルトを締めてから出てこいよ」と呆れていると、2人は目の前で……キスをした。人前だというのにちゅぱちゅぱという音が聞こえるような濃厚なやつである! 陶然とする少女の顔が可愛いだけでなくて妙に艶っぽく、2人の関係がキスどころじゃないことを明白に物語っていた。そもそも何でキスをするのだろうか? ひょっとして謝罪のキスなのだろうか? だったらトイレに行ったくらいでなんと丁重な謝罪だろうか!
――な、なんで? 俺と見合いしてるんじゃなかったのっ!?
呆然としたベルトランは兄に向かって問いかけた。
「……アノ、コノフタリハ?」
当然聞いていると思っていたアトモスの方も不思議な顔をした。
「うん? 先代伯爵の令嬢のコンスタンティナ様と、その婿で当主のタルタルニャンだが?」
彼がなんで当主の方には様を付けないのか不思議だったが、ベルトランにはそんな瑣末なことにツッコむ余裕はなかった。うっかり惚れちゃいそうになってた美少女とこの大邸宅とどこかの所領を全部まとめて手に入れたチャラ男が、目の前でその美少女とイチャイチャしているのだ! 彼は不思議な力が右拳に湧いてくるのを感じていた。だがその不思議な力の宿った拳を誰かにぶつける前に、彼は重要な事に気づいた。
「あれ? じゃあ……俺の見合い相手って誰なのさっ!?」
「マリアンネだ」
即座に答えた兄の言葉に、ベルトランは絶句した。
「マリアンネ……って、誰だよっ!?」
バリスに来たのも初めてなのに、名前だけ言われたって分かる訳がなかった。
注1 ガストーニャ地方=ガストーニュ地方
フランスの南西部、スペイン国境あたりの地方です。
ついでにガストーニュ人のステレオタイプは血気さかんで意地っぱりだとか
今回の元ネタはアレクサンドル・デュマの三銃士です。……今のところは。
タルタルニャンの元ネタのダルタニアンの更に元ネタの人の本名はシャルル・ド・バツ=カステルモールだそうですが、母方の祖父が有名だったので名前を勝手に使ってシャルル・ダルタニアンと名乗っていたそうです。
なんと、苗字だったんですね! すっかり名前の方だと思ってました。
ついでに爵位も持ってなかったのにダルタニアン伯爵とも名乗ってたそうです。
まあ、ヨーロッパの爵位なんて色んな国が勝ってに与えてるから訳わかんないですしね。
領地を持ってなきゃほとんど意味無いですし、ダルタニアンの親父が村一個を買い取ってたので一応領主だったみたいですし。
領主というか、せいぜい庄屋か名主な気がしますが。
タルタルニャンと同様に、アトモスの元ネタは三銃士のアトスですし、コンスタンティナはコンスタンスですし、ミランディーはミレディーです。
コンスタンティナが毒殺されずにタルタルニャンとくっついてるので、ミランディーもアトモスに処刑されていないと良いんですけどネ……




