斬り込み
レーダーを破壊され、艦橋に徹甲弾をぶち込まれたアムロイ軍の大型空母は、自艦への攻撃が左舷飛行甲板からであると判断したようで。俺達を排除するために陸戦隊を繰り出すのか、左舷飛行甲板の艦載機格納庫のハッチが開き始めた。
艦橋クルーは第1分隊が撃ち込んだ徹甲弾の跳弾で壊滅状態だろうに、意外と早い動きだと思う。
第2分隊は既に左舷飛行甲板の内側で全機が多機能ライフル銃を構えて迎撃態勢を取っている。俺が率いる第1分隊もすかさず銃を構え両分隊とも俺の下命ですぐさま攻撃が可能だ。
艦載機格納庫が開いで姿を現したのはアムロイ軍の陸戦隊ではなく、陸戦兵器である戦闘用ロボット(バトルロイド)だ。
大きさは2mくらいか体格は細くて、まぁ、何て言うか小銃を持ったスケルトンといった感じかな。そんか骸骨バトルロイドが続々と飛行甲板上で展開を始める。こちらにすぐさま攻撃を仕掛けてこないのは、俺達が再びカメレオン機能とステルス機能を使用して姿を消しているからだろう。キョロキョロと辺りを窺うような仕草?をしている。
アムロイ軍の骸骨バトルロイド、なかなかどうして理に適った作りだ。人間でいうところの"肉“が無くて骨格だけの細長くいボディは銃弾や爆発によって飛散する破片も当たり難く衝撃にも強い。そんな連中が数で勝り飛行甲板上で展開して俺達を包囲しつつある。
俺達が携行している多機能ライフル銃は徹甲弾と小型ミサイルを撃てるけど、徹甲弾は連射は出来ず、小型ミサイルでは爆発した直近のバトルロイドは撃破出来ても爆発で倒れた奴等は立ち上がって再び戦闘に加わるだろう。要は多機能ライフル銃と敵バトルロイドとは相性が悪い。そういう場合は飛び道具ではなく接近戦に限る。
「御剣より第2分隊長」
「こちら第2分隊長朝比奈」
「"斬り込み"を俺とそっちの斉藤軍曹でやる。敵バトルロイド撃破後は第2分隊長指揮で格納庫に突入し核爆弾をセットしろ」
「第2分隊長了解」
ここで言う"斬り込み"とはキャスパリーグを待っていた一ヶ月の間でやる事無かったから遊び半分で生み出した戦法だ。
新型パワードスーツは新型の試作機だけに携行する武器も様々な試作品があった。超高周波振動ブレード(通称"野太刀")もその一つで、長さ1mの刀身に超高周波振動が組み込まれ、発生する超高周波振動がどんな硬質な金属やセラミックでも切断してしまう武器である。
野太刀は試作品だから今回の火星での実験でも二振りだけが実験用に供され、特務隊で剣術の有段者である俺と剣道六段の斉藤軍曹が携行する事となっていた。その斉藤軍曹と考えて編み出したのが"斬り込み"である。
これがどういうものであるか。反重力飛行ユニットと野太刀を使って敵中に斬り込んで乱戦に持ち込む単純なものなんだけど、これらの装備が揃わないと出来ない。それに反重力飛行ユニットで地表面を加速して滑走するのがなかなか難しい。
俺は野太刀を下段に構えてカメレオン機能を解くと(互いに見えないと危ないからね)、反重力飛行ユニットで地上を加速して滑走(縮地?)、まだ展開しきれていないバトルロイドの群れに突入。
先ずはすれ違い様に3体のバトルロイドの体幹を斬って分断、振り返り様に八相構えから2体の首を刎ねた。斉藤軍曹も同じくバトルロイド相手に無双状態だ。
アムロイはバトルロイドのこうした接近戦を想定していなかったようで、俺と斉藤軍曹の斬り込みに対応出来ず添え物のように一方的に斬られてその数を減らす。まぁアム公共もどうせロボットなんだから同士討ち上等で俺と斉藤軍曹を包囲して撃てば良かったのだけどね。
俺と斉藤軍曹はバトルロイドの群れに斬り込みながら徐々に艦載機格納庫に近付いて行き、こちらの数が上回るタイミングで朝比奈少尉が第1分隊ど第2分隊を格納庫内に突入させた。




