第95話 「学生たちに人気者になるマノワール」
面倒臭いことになったな。
断ったが、聞いてくれない様子。
周りの子たちも無表情だが、迷惑そうにしていた。
一応は丁寧に接されているが、確実にナルシオは人望がないだろう。
「マノワールさん! 授業に出てくれて嬉しいにゃ!」
「ミーニャ! いやミーニャ先生よろしくお願いします」
「よろしいマノワール君!」
講義で出会ったのは、女獣人のミーニャ。
彼女は近接戦闘の教師だ。
わざとらしく胸を張る僕のパーティ仲間。
以前仲間だった彼女に教わると思うと、なんだか面白い。
つい可笑しくなって笑ってしまう。
「魔法クラスはあまり戦闘授業が少ないから、マノワールさんと会えるだけで嬉しいですニャ♡」
「格闘技術を引き続き教えてください。引き続き師匠を宜しくお願いしますね先生」
「もちろんそれが専門ニャ!」
椅子に着こうとすると、どうやらクラスメイトの注目が集まっていたようだ。
初対面のはずなのに、余りにも親しくしていたからだろう。
そんな時に爆弾発言をしたミーニャ。
誰もが固まって、次のように叫び始める。
「この方はすっごく強いのにゃ! 何と私とダンジョンボスを倒した中心人物ニャ!」
「ちょっとやめて!?」
「「「「「えぇぇぇぇぇ!!!!!」」」」」
みんな驚いて絶叫している。
事情がなければ変に目立ちたくないんだよ……
そして珍しいものを見たからか、続々と集まってきた。
そんな大した冒険者じゃないよ僕は。
「ってことは、その人があのザマーバッカー街ダンジョン攻略パーティの、マノワールさん!」
「すごいすごい! 俺たちに冒険を教えてください!」
「私も話してみたかったの!」
みんな集まって来て、僕の周りは学生だらけになる。
まさか好意的に受け入れられるとは思わなかったな。
他の立派な仲間たちに対応してもらおうと、回避を図った。
しかしすでに僕の個人情報は漏れてしまっていたようだ。
ミーニャさんが可愛らしく舌を出して、ウィンクしてきたのが見えてげんなりする。
「いやいや僕以外のメンバーの活躍あってこそだよ」
「何をご謙遜を! 投石と土魔法、そして素晴らしい威力の剣術は聞いてますよ」
「物凄い実力の大先輩じゃん! 俺卒業したら冒険者になって一旗あげたいんです! 色々教えてください!!!」
色々なタイプの子が、一様に集まって来る。
そんな大層な人間ではないんだけれども、困ったな。
それこそがある人物の癇癪に触れたようだ。
「にゃにを~~~~~!?!?!? 僕より目立つなんて許さないじょ~~~~!!!」
歯軋りしながら気色悪い口調で僕を睨んでいる。
みんなの空気が冷え込んで、これを言った男の子へと呆れた視線を送った。
やっぱり敬遠されているんだな。
友達いなさそうで可哀そうかもしれない。
「勝負を忘れてないかい!? 冒険者だか何だか知らないが、僕に勝てるわけがないだろう! 皆も僕をチヤホヤすべきだよ!」
「「「「「…………」」」」」
そして誰も聞いていないことを、次々と披露してくれるナルシオ。
周りが見えていない彼は、冷たい視線が送られているのにもかかわらず演説を続ける。
もう誰もが彼を嫌っているのだろう。
普通以下の人格でも取り巻きがいるだろうに、凄いことだぞこれ。
「何せ僕はA級冒険者すら倒したんだ!」
「ナルシオ君。それは魔法職相手の話でしょう? いつも言っているけど授業の進行を止めるのはやめて頂戴。私のところに他の先生方から苦情が来ているのよ? そうやって教師にも舐めた態度をとるのはやめなさい。いつも通り親御さんにも報告しますからね」
「おおおお親は関係ないだろう!?!?!?」
冷たい声でミーニャさんが注意する。
ニャって語尾が消えていて、ガチみたいで怖い。
誰にでも丁寧に接する性格の彼女が、ここまでするって相当だぞ?
何をしてきたんだろう……
そして若干大人しくなるナルシオ。
親がそんなに怖いのか?
何かしらの方法で問題児の手綱が取れるならば、そうして欲しいんだが。
「君の鼻っ柱は折ってあげないとね。五分間だけ特別授業をします。初めからマノワールさんの実力を知ってもらうために用意していたのよ。どうせ君がうるさいだろうから」
「ハハハハハ!!! 」
「これはパンチングマシーンという魔道具です」
大きな設備が台車に乗って運ばれてきた。
タイヤを折り曲げて地面に降ろされると、その効能が説明される。
なるほど。人間の攻撃力を測定する魔道具か。
期待には応えなきゃな。
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