表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/241

第89話 「パワハラ悪徳貴族たちの末路」




 マノワールが出ていってから数日が経った頃。

 ヴェンリノーブル侯爵は急遽帰投していた。


 般若の如き怒りを、その面貌に宿し。

 そして縛られた貴族たちを見据え、厳しい折檻を加える。






「きっっさまらぁぁぁぁっっっ!?!?!? ヴェンリノーブル領の恩人に何という仕打ちを!?!?!? 愚か者共がぁぁぁっっっ!?!?!?」



「ひぃぃぃぃ!?!?!? どうかお許しください!?」



 縛られて転がされた汚職貴族の胸ぐらをつかんで、彼は執拗に殴る。

 ボコボコに腫れ上がった悪徳貴族たちの顔は、原形を留めておらず。


 血や歯が転がっている。

 それでも怒りは収まらぬようで、ヴェンリノーブル侯爵は怒りを呈した。




「我らが領地は子孫累々に至るまで、恩知らずの汚名を被ることになったのだぞ!?!?!? いくら謝ってもマノワール殿に申し訳が立たん!!!」




 何度も身を救われた形になるヴェンリノーブルは、恩人を裏切ったことになる。

 マノワールという戦力に愛想をつかされ、恨まれることだけでは済まないと考えるのが普通だ。

 それに恩知らずと名が広まってしまえば、もうヴェンリノーブル家に恩を売ろうとする者はいなくなる。


 余りの痛撃になる、想像もしていなかったレベルの愚行。

 しかも部下からそれを受けたのだから、憤激冷めやらぬのが当然だろう。






「もういい。貴様は死ね。後ほど処刑を執り行う。民衆の前で裁かれ、最後の奉公をすることを許そう」



「なんでぇぇぇぇぇ! へぎょ」



 最初から主犯格は殺すつもりだったのだろう。

 この期に及んでなにも理解していないようだ。




「お前たちは鉱山奴隷となる。逃亡の可能性がある戦争奴隷すら許さん。確実に息の根を止める。だが働くならば、その日だけは生きることを許してやろう。触書きを出す」



「それだけはぁぁぁぁ!?」



 戻ってきた領主により首謀者は斬首。

 そして残る貴族たちも、奴隷に堕とされるという罰を受けた。


 鉱山では有害物質中毒になる者も多い。

 その環境内の最底辺として働く者は、憂さ晴らしとしてこき使われるだけでは済まないだろう。


 最悪な苦しみ方をして、その身は果てることになる未来が確定した。

 マノワールたちをギルドから追放していたオツボッネたちも、そのような責め苦を現在受けている。

 もう死んでいる者もいるだろう。






「サンシータ。長きにわたる忠勤への褒美に、お前だけは治療してやろう」


「ありがとうございますヴェンリノーブル侯爵様!」


 一人だけ折檻されなかったサンシータは、土下座しながら感謝を述べる。

 彼は上司にはいい顔をする人物。

 自分の身を弁えた態度をとり、少しでも反感を買わない術に長けているのだ。


 だが彼の期待は裏切られることになる。

 サンシータにとっての最悪の形で。






「お前は国境線にて、永遠に魔物を狩る人生を送っているがいい」


「え?」


「ハンバーガーも女性ともお別れだ。今まで搾取した分を労働にて領民に返すことで、罪を洗い流すがいい」


「なんでぇぇぇぇぇ俺のハンバーガァァァァァ」


 絶望的な表情を浮かべて、ハンバーガーと一生会えないことを悲嘆するサンシータ。

 彼は戦争奴隷と同じだ。

 クビに起爆装置を取り付けられて、戦うしかない一生を送ることになる。


 逆らったら死。

 サンシータは自分が虐めていた奴隷たちと同じ境遇になることを想像し、絶叫した。






「貴族の風上にも置けぬ。なぜこのような者たちのおかげで不利益を被り、足りない時間を取られなければならんのだ」




 愚痴りながら、拷問部屋を後にするヴェンリノーブル侯爵。

 それも仕方ないことだ。


 王国各地では魔物の大侵攻が立て続けに起こっていた。

 それを考えれば、マノワールと決裂してしまう事は愚策である。

 彼は領の安定のために、国家の安泰のために身を粉にしているのだから、嘆き余る事だろう。






「何かが起こっている。今まで起きたことのない、恐ろしい何かが」





 厳しい視線で窓の外を見る。

 雄大な大地の国境線が広がっている。

 その先には魔王の支配する、人類が生きるには厳しすぎる世界が存在した。




「だが痛快なこともあった。今日はそれを肴に、晩酌としようか」



 ワインを開けると芳香な匂いが、部屋に広がった。

 グラスを傾けながら、機嫌がよさそうにヴェンリノーブルは虚空へと語り掛ける。


 優秀な騎士を失ったことになる彼。

 それでも何故だか笑みを浮かべている。






「コックロ。真の騎士になったようだな」




 その成長を祝っていたからだ。

 この渋い男性は、空に向かって祝杯を挙げた。


 その前途に思いを馳せ、芳香な香りの液体を口にする。

 理想の騎士コックロにして、この主君ありということである。






「あの小娘が立派になって、感慨深いわい。広い世界を見てこい。コックロ」










第4章終了となります。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

引き続き毎日更新で、気分がのった分だけ投稿してまいります。




面白い、または続きが読みたいと思った方は、


広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価


またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


一日一回投票いただけると励みになります!(クリックだけでOK)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] ヴェンリノーブル侯爵がいないタイミングでこれだけのことが起きてしまう、やっぱりマノワールさんは間が悪いんですかね(^_^;) 悪徳貴族たちはボコボコにされて奴隷落ちですか。いやはや、貴族…
[良い点] ヴェンリノーブル卿、カッコイイ……! 前半と後半のギャップもまたいいですね(๑•̀ㅂ•́)و✧
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ