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第88話 「魔法学園校長の救援」




「知り合いかコックロ!?」



 誰だ?

 ヴェンリノーブル侯爵と瓜二つだが、もしかして親族なのだろうか?

 この眼鏡をかけた壮年の男性は、僕達の味方のような台詞を口走っているが……


 彼は魔法を次々と打ち放ち、兵たちを牽制する。

 だが兵たちは戦意が衰えているようだ。




 という事はこの男性は貴族であり、相当の立場だという事。

 そして彼はその身元を明かした。






「私はヴェンリノーブル侯爵の弟です!!! これが魔法学園校長の証である杖と印章です! 事情は先ほど把握し、ここまで急ぎ参りました! 逃亡をお手伝いしますので、こちらの馬車へ!!!」



 杖から次々と色とりどりの光を発し、部屋を滅茶苦茶にする。

 そして壁を壊して、敵と僕たちを分断してくれた。


 そのまま必死に逃げて、彼は用意していたのだろう馬車に招く。

 それに僕たちは飛び込んだ。


 ヴェンリノーブル侯爵が言っていた、彼の弟であるという魔法学園校長の方か!

 ここにいたとは運がいい!




「恩に着ます!」



「九死に一生を得ました。本当にありがとうございます」



「なにを! 助かったのはこちらの方でございます! 我が故郷を護って下さり、多大なる感謝を! 今はそれよりも早く逃げましょう!!!」



 魔法学校校長は実家であるこの家を守ってくれたことに感謝する。

 どうやら引き離せたようだ。


 ホッと一息ついて、安心感がようやく湧いてきた。

 しかし彼の表情は沈痛なもので、これ以上ないほどに頭を下げてきた。






「しかし……なんたる無礼をしてしまったのか!? あのような仕打ちをしてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした!」



「頭をお上げください」



 後悔しているような口調で、平民である僕に謝罪する貴族男性。

 恐縮した僕は、即座にそれを押しとどめた。




「この補償はいずれまた……今はご安全なところへ、せめてお送りいたします。希望はありますか?」


「あてなど何処にもありませんね……」


「そうでしたか。もしよろしければ、当校へいらっしゃいませんか? 魔法学園は貴族ですら手出しできない中立地帯。政治的にもほぼ確実にお守りできることかと」


「それは願ってもないお話です! 是非お願いいたします!」


 今一番求めているものを、的確に用意してくれた。

 魔法学園か! 興味深いし、楽しそうだな。

 少しの間だけだが離れていたミーニャにも再会できそうだ。






「いえいえ。むしろこんなことしかできなくて、申し訳ないくらいで。マノワール殿の治療は向こうで出来る事かと。優秀な術師が講師として揃っております」



「お気になさらず。ほんとうにありがたいことです。それに何より悪いのはあの者たちです」



「家を出た私には権限がなく……兄者に手紙を送り、現状を説明いたします。彼の貴族たちは、然るべき裁きを受けることになるでしょう」



「コックロの名誉も。よかった」



 懸念していたことも、解決できるようだ。

 コックロが必死に手に入れたものを、手放させたくなかった。

 ヴェンリノーブル侯爵に手を回してもらえるなら、安心できるだろう。


 それにしても魔物たちの襲撃が異常だ。

 ダンジョンボスの異常行動に引き続き、魔王幹部の襲来とは。

 いったい何が起きているんだろうか?




 僕たちは馬車に揺られながら、魔法学校へと向かう。

 鈍痛が響く傷口を抑えながら、なんとか気合を入れて意識を保つ。

 そんな折に、従妹が気落ちした声で謝罪の言葉を告げた。






「みんな……本当にすまなかった。とんでもない事に巻き込んでしまった。私の軽い頭ならば、いくらでも下げる」


「そんな! コックロさんの謝る事じゃないですよ」


「ああ。コックロは全力を尽くしてくれた」


「わたしたちの本当の騎士様です」


 仲間たちは一様に温かい言葉をかけて。

 そしてオーエラさんの言葉にはにかむコックロ。

 しかし彼女の表情はすぐに暗くなる。


 彼女の誇りと夢は、最悪の形で裏切られた。

 その苦痛はどれほどのものか。






「もういいんだ。奴らの暴走を止めきれなかった時点で、私などには重い役目だっただけのこと。みんな。私ももう若くはない。だからこそお前たちについていきたい。もしよければ仲間に入れてほしい」


「まだまだ若いではないか。コックロほどの猛者ならば大歓迎するぞ!」


「わたしもです! よろしくお願いいたします!」


「素敵な騎士さんと一緒に冒険できるなんて、光栄です!」


「エルフと比べれば、そうかもな。3人ともありがとう」


 ニンメイちゃんたちは大歓迎してくれているようだ。

 仲良くできそうでよかった。


 コックロは少し不安そうな視線を、僕に送る。

 答えは一つに決まってる。






「僕の方からお願いしたいくらいだ。これからもよろしくコックロ」



「お兄ちゃん……うん!」











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 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


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[良い点] 助けに来たのはヴェンリノーブル侯爵の弟さんでしたか。これでは兵士たちも逆らえませんね!無事に逃亡できてよかったです。 領地を救った英雄にこんな仕打ちをしてしまっては、申し訳ないですまない…
[良い点] 一難去ってまた一難でしたが、新たな仲間も加わって終わりよければすべてよし……となるのでしょうか? 続きも楽しみです(๑•̀ㅂ•́)و✧
[良い点] 魔法学園編キター! また無自覚ハーレム広がっていくんだろうなぁ(笑)
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