第87話 「絶体絶命 決死行動」
「…………っは? ……ふざけるなよお前たち!? 命を賭けて領を救った恩人に対して、何という仕打ち! お前たちは貴族ではない!!!」
幼馴染の女騎士は、いよいよ激怒する。
彼女の逆鱗に触れたんだ。
嬉しかったが、でもそれが悲しかった。
しかしその言葉を放った瞬間、僕たちを兵士たちが囲んできた。
コックロは黙って剣の柄を握った。
その瞳には覚悟が宿っていた。
僕のために、彼女は怒って立ち向かってくれるんだ。
それが目に留まり、貴族たちは一様に汚い笑みを浮かべた。
彼は誘い込んだようだ。
罠だ――――――
「――――――剣を抜こうとしているぞ! このままではお前たち兵士まで殺されてしまう! 殺せ!」
「きっさまぁぁぁぁぁっっっっっ!?!?!?」
余りにも汚いやり口。
最初からこうして口封じをしようとしていたのだ。
それは何故かという思考をする前に、この場を切り抜けねばならない。
止まっていれば、待つのは死だ。
「なんて卑劣な!? あなたたちは地獄行です!!!」
「斬り捨てられたいようだな女。まったく女が本分を果たさず、騎士ごっこに興じおって。兵士どもの褒美に生かしたままお前たちの体をくれてやった後、豚のエサにしてやろう」
「こいつらぁっ!? ……ダメですマノワールさん!? 本当に死んじゃう!?!?!?」
女として最悪の凌辱をすると言い放った、貴族どころか人間の風上にも置けない輩。
オーエラさんは体を覆い隠し、震えながら怯える。
抵抗できない非戦闘員の彼女には、相当の恐怖だろう。
最悪の事態になってしまった。
応戦しようと力んだが、僕は痛む腹を抑える。
ニンメイちゃんは動き出した僕を引き留めつつ支えるが、非力なので倒れてしまいそうだ。
肩から腹にかけての裂傷から、血が噴き出た。
血の気が引いて頭の中が揺れるようだが、何とか意識を繋ぎとめる。
「逃げようお兄ちゃん!!! 今度こそ私がお兄ちゃんを護る!」
「何言ってるんだ!? せっかく君は騎士になったのに!」
「大切な人を守りたいから騎士になったんだ!!!」
彼女の叫びは眩しいほどに尊い。
信念を貫き通そうとする姿は、誠の騎士だった。
「立場じゃない。心が騎士として在りたいんだ!!! 正しいことを貫ける、悪い奴らに負けない、そんな人に!!!!!」
「コックロ」
「何をゴチャゴチャと下らん猿芝居を! 臭くて鼻が曲がるんだよ!」
同じ人間とは思えぬ残酷非道な台詞。
僕達は憎しみの視線を向け、それでも逃げざるを得ない。
果ての見えない逃亡生活になり得る。
走ってこの領地をつっきる事は、非常に困難だ。
僕はいい。
でもこの子たちも死ぬのか?
それだけは嫌だ。
僕は死を覚悟して、兵士たちに立ち向かおうと―――――
「―――――コックロ卿! こっちです! 手をお貸しします!」
「あなたは!」
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