第83話 「裏切られた努力 断ち切ってしまった縁 折れた心」
「バカにするなバカにするな!?!?!? 誰よりも頑張っているのにバカにするな!!! お前なんかよりも僕はずっと頑張っているんだ! 誰よりも才能がなくたって、ステータスが低くたって、誰よりも頑張っているんだ! 僕は偉いんだぞ!?!?!?」
「ご、ごめんお兄様。そんなつもりじゃ」
「ならどういうつもりだったんだ!? 言って見ろよ!!!」
泣き叫びながら、感情をぶつける。
二人の少女は初めて見る僕に、著しく動揺を見せた。
この時までは辛うじて年上としての自尊心が、こんなことをギリギリ制止していた。
きっかけは些細なことだった。
今となってはなんと愚かなことで、こんな決断をしてしまったのだと自分が嫌になる。
でも限界だった。
生来10数年も親からも期待されなかった僕は、若さゆえの過ちを。
一生取り返しのつかない、とんでもない失態を犯してしまったのだ。
目の前の少女は涙を流しながら、謝っているのに。
それを攻撃材料として、愚かにも糾弾したのだ。
「どうせ僕のことを陰で嘲笑っていたんだろう!?」
「そんなことしてない!? 絶対にしてない!!!」
「さっきカッコ悪いって言ったくせにか!? お前の本心なんて、すぐにわかるんだ! 子どもの癖に! 大人をバカにするな!?!?!?」
「二人ともやめてよぉっ!?!?!?」
割って入るコックロ。
でも僕は追い詰められていたのもあるが、きっと頭がおかしくなっていた。
幼児のように駄々をこねる。
自分だってわかっていた。
こんなことをしても何もならないと。
でも我慢のきかない坊やだったのだ。
「お前なんて最低だ!!! コックロだっていいよな!? 剣が得意で、皆に褒められて! 何をやっても認められない僕とは大違いだ! 羨ましいよ! どうやってズルをしたんだ! 他の奴らみたいに家の力だけでやったのか!!!」
「最低なのは今のお兄様だろう! そんなの大人なんかじゃない! コックロに謝ってくれ!!!」
「僕を最低って言ったな!? 最低なのはお前たちだ!? 僕を裏切ったんだ!?!?!?」
思い込みを妹分たちにぶつける、全く大人でないガキは。
みっともなく年下の子どもに癇癪を起こす。
この光景を夢に見ると、いつも本当に情けなくなる。
女の子二人は呆然としながら、涙を溢れさせた。
コックロは袖で目を拭うばかりで、何も言えていない。
そして僕の従妹は怒りに肩を震わせて、涙声の罵声を飛ばした。
「もう出ていけ最低野郎!!!」
「ああ出ていくさ! もう二度と会う事はないだろう!!!」
売り言葉に買い言葉。
アクレイに部屋から追い出され、僕はその足で荷物をまとめた。
根拠のない自信があった。
そうして20年以上、色々なことに挑戦した。
でも何も成せなかった。
世間知らずの10代のガキが、厳しい世界に一人で耐えきれるはずもなく。
すぐにどん底に落とされて、這いつくばるように生きていた。
飢え死にしそうなこともたくさんあった。
可哀そうな子どもだからと、手を差し伸べてくれる人もいた。
あてもない旅の中で一緒について来てくれて、守ってくれた人もいた。
でも僕はその手を振り払ってきた。
軟弱なプライドがそうさせた。
そして20歳になった頃には、もう心が折れていた。
身の丈に合った生活を送ることが一番だと、やっと認識して挫折したのだ。
僕は従妹たちに合わせる顔もなく、惨めな気持ちを抱えながら生気が抜け落ちながら生きていた。
「ここは―――――――」
本当に絶望的な気分で目覚めた。
こんな時には死にたくなる。
いや本当に死にかけていたらしい。
体を苦痛が支配していた。
本当に死んでしまいたかった。
こんな時に聞きたくない女性の声がしたから、尚更だった。
「――――――お兄ちゃん!!! よかった! 目が覚めたんだ」
「コックロ。今までゴメン」
自分如きが流してはいけない涙が溢れた。
もっと早く言っておくべきだった言葉が、僕の口から漏れた。
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