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第81話 「激戦後 瀕死状態のマノワール」




「ハァ……ハァ……」



 荒い息を吐く。

 体中が汗と血まみれだ。


 とんでもない激戦だった。

 あの技を編み出さなければ負けていた。




 この戦いには反省点しかない。

 冒険者に転職してからは力に胡坐をかいて、自分は仕事に対して適当になっていたのかもしれない。

 命を預ける装備に、自分に見合う金をまったく払っていなかったのだ。




「ぜぇ……ぜぇ……オジサンには堪えるな…………この戦いも……自分の浅はかさも……ゴボッ!?」



 もう体力は限界で、仰向けに寝転がる。

 限界を超えていた。

 腕はもう千切れそうなほどに痙攣している。


 吐血する程に、命が悲鳴を上げていた。

 もうだめだ。

 寝てしまいそうだ。




 みんなは無事だっただろうか?

 彼女たちが無事ならば、それでいい。

 未来ある若い仲間たちが生きてくれただけで、僕は満足だ。






「――――――マノワールさん!? いやぁっっっ!?」



「この崩れかけの家から動かすな! ステータスアップ効果がなければ即死しかねない! ありったけの回復薬を振りかけろ! クソっ! 回復術師はまだ来ないのか!?」



 懐かしいくらいの声がする。

 仲間たちの声だ。


 意識が引き戻される。

 だが夢見心地のようで、まるで自分だけ現実にいないようだ。




「マノワール! 寝るな! 絶対に意識を繋ぎ留めろ!!!」



「止血しないと!? こんなに唇が青くなっています!?」



 ニンメイちゃんとエルマージが必死に叫んでいる。

 夢か現か曖昧で、痛みが段々と引いてきた。


 現実味のない感覚の中で、僕は自身の状態を霞む無意識の中で把握した。

 あぁ、僕は死ぬのか。






「マノワールさん! 口移ししますので、何とか飲んでください! エルマージさんはマノワールさんが飲みやすいように、首を傾けていてください!!!」


「わ、わかった!」


「嫌かもしれないですけど、生きてくださいマノワールさん! お願い……」


 僕の顔にニンメイちゃんの顔が迫る。

 抵抗などできず、そのまま受け入れざるを得なかった。




「ゴホッ」


「どうしよう。飲んでくれない……!? マノワールさんが死んじゃう!? どうしようどうしようどうしよう!?!?!?」


「変わってくれ! 薬師としての経験もある私がやってみる!!!」


 気管支に入り嚥下に失敗し、咳き込んでしまった。

さらに力が抜けて、意識が薄れる。


 でももう苦痛は感じない。

 あんなに苦しかったはずの怪我の感覚も消え失せていた。




 恐慌状態に陥るニンメイちゃん。 

 それに対してエルマージが決意を固めたような面持ちで、僕に顔を近づけてきた。






「マノワール。エルフは結婚する相手としか、こんなことはしない。だがそんなことはお前が受けて入れてくれるまで、決して求めないよ。だから生きてくれ」



 エルマージは僕に口づけをして、生命の水を送り込む。

 僕の口の中に暖かいものと、そして生温い液体が舌を伝っていくのが体内で感じられた。



 何とか呑み込めそうだ。

 半ば反射で体内に吸収した。




「飲んでくれた……! このままいくぞ!」



「よかった……お願い神様……どうかマノワールさんを」



 もう音も聞こえない。

 でも何故かニンメイちゃんの祈る言葉だけは聞こえていた。

 僕の意識は闇へ溶けていった。









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 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 強敵を倒したとはいえマノワールさんはズタボロでしたか(^_^;) 確かにダンジョンコアとかも手に入れたくらいなので、能力に見合う装備をしておくべきでしたよね……。それどころじゃないような状…
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