第80話 「装備の差、新技発動」
土魔法を連打するが、たちまち距離を詰められる。
今まで戦ってきたどの敵よりも、圧倒的な速度のラッシュ。
近接戦闘の心得には明るくない。
戦闘勘もないし、経験だってない。
だが何よりも不利なのは―――――――
「―――――――装備の差っ!? くぅっ!?!?!?」
「なまくらを使っていたことが敗因だ。それすらわからなかった愚か者は死ね」
剣が折れた。
エルマージが用立ててくれた代物だが、魔王軍幹部との戦いにはついていけなかったらしい。
甲高い音を立てて、どこか彼方へと飛んでいく。
その隙に僕に至近距離で攻撃してくる。
斧は何とか回避した。
しかしすかさず打たれた鉄拳が僕の頬を掠め、薄皮がはがれた。
僕も拳で応戦する。
しかし格闘の方が慣れていない。
子どものころ以来、喧嘩すらしたことがないのだ。
「リーチの差が……大きすぎる!?!?!?」
「どうしたどうした! 突然動きが鈍くなったぞ!」
家が吹き飛ばされる。
ステータスが激減した。
ミノタウロスはここぞとばかりに暴虐的破壊力の攻撃を押し込んでくる。
今保っているのは、エルマージの加護魔法による恩恵のおかげだ。
それがなければすでに死んでいた。
防戦一方となる。
全身は血まみれで、痛すぎてろくに感覚がない。
「拍子抜けだ。もういい。殺す」
「アース!」
「最後に何をするのかと思えば、気でも狂ったか。自ら晩節を汚すとは、興ざめだ」
呆れたような、失望したような口調で、魔法軍幹部は殺意を強めた。
幸い僕の能力に気づいてはいない。
リーチが足りないなら、剣を作ればよかったんだ。
家が吹き飛ばされたなら、再建すればよかったのだ。
片方だけやる時間がないなら、両方同時に行えばいいのだ。
僕の頭上に形成された、巨大な家。
天高く聳え立つ、尖塔のような剣を形成した。
僕は天井にある柄を握り、全力で振り下ろした。
「スティープルソード!!!!!!!!!!」
「な…………に―――――――」
数十mにも及ぶ、剣の形を模した巨大建造物。
質量はそのまま攻撃力に。
土中から集めた鉱物は、武器として異常なほどの硬度に。
重力加速度はその下にあるものすべてを引き潰す。
そして僕の職業によるステータスアップが加算され。
破滅的な威力を、視界全てに惨禍をもたらした。
「ハァァァァァァッッッッッ!!!!!!!!!!」
「ぐぉぉぉぉおぉぉぉっっっっっ!?!?!?!?!?」
手応えありだ。
こいつはもう逃れられない。
「これで終わりだぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!!」
「この俺がぁぁぁぁぁっっっっっ!?!?!?!?!?」
巨剣は振り下ろされた。
魔王幹部が潰れる感触がした。
僕は膝をつく。
魔物たちはすべてが、余波で粉々に土に吹き飛ばされていた。
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