第73話 「夢に向かって努力していたコックロ」
「剣の頂はもちろん目指しているさ。それよりも拾って下さった主への恩返しの方が大切になった。強かろうと女騎士など、雇ってくれる貴族はいないんだよ」
「そうだよね。実力だけあっても評価される世界じゃない」
「あぁ……若い頃に散々、思い知ったよ……自分の力だけあれば、どんなところでも認められるだなんて可愛らしい現実は。どこにもなかったんだ……」
寂しそうに笑うコックロ。
言ってはなんだが、人類圏の最前線とはいえ、ここは田舎の領地。
華々しい戦果を挙げても、世界に名が轟くことはない可能性が高い。
上司に功績を奪われることなんてザラだ、
彼女も苦い思いをいくつもして、立派な騎士に。
今のように素敵な女性になったのだろう。
「そうか。今の信念も、素晴らしい志だと思う。大人になったね。素敵だよコックロ」
「~~~~~!? お兄ちゃんはっ! もうっ!」
「えぇっ!? 本心なんだけど!」
昔と同じ仕草で腕を組み、頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。
こうやってよくわからない理由で、いつも拗ねてたんだよな。
でも彼女もワガママを言って、甘えたい時もあるのかも。
大人として受け入れてあげなければ。
「お兄ちゃんはいつもいつも! そうやって女性に甘い言葉を囁いて、誑かすのはやめるんだ! ……まさかエルマージたちも、そうやって毒牙にかけたんじゃ」
「なんでそうなるの!? 深刻な誤解だよ! なんでも男女関係に結び付けるのはやめようよ!」
なんで僕の周りの女性はここまで思い込みが激しいんだ。
さすがに世界中の女性はこんな感じでないと思いたい。
「オツカレッシタ~今日はこの辺で終わりにしておきましょう」
「「「「「オツカレッシター!」」」」」
「むっ! もうこんな時間か。オツカレッシター! 後でじっくり話を聞かせてもらうからな!」
「オツカレッシター! やめようよ……僕は女っ気なんて全くない、惨めなオッサンだよ……」
喋りながらも手は動かしていたが、いつの間にか日が落ちている。
挨拶をしてから、それに気づいた。
まさか独身オッサンを小馬鹿にするために、そうやって根も葉もないことを言ってるんじゃ……
いやそんな性格が悪いことはしない子たちだ。
でも若い女の子の弄りの範疇は、こんなものなのかな……
最近の子は物凄い性経験値を持ってるって話だし、お喋り感覚で口説くことも多いのかも……?
ってことはニンメイちゃん達も裏ではそんなことを!?
なんてことだ……悪い男に捕まらないように守護らねばならない……!
「今日の給金と差し入れです~進捗表もって、こちらに並んでください~」
「「「「「ウス!!!!!」」」」」」
チャラ男への闘志を燃やしていると、報酬などの配布について合図される。
現場監督の元へと作業員が並んでいた。
その時だった。
三下騎士が目を覚ましたのは。
「―――――――貧乏人ども! このサンシータ様が来てやったぞ!」
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