第69話 「領主からの依頼」
女子会が始まり、僕は地獄のような時間を過ごした。
自分たちが話したくないからって、僕にばかり話を振るのはやめてほしいよ……
そんなこんなで僕だけは早々に退散し就寝して、次の日に朝食をとっているのが現在の話だ。
食べ終わるとヴェンリノーブル侯爵は頼みごとをしてきた。
「国家を代表する猛者であるマノワール殿たちに、儂から依頼を出したい! ヴェンリノーブル領の国境地帯要塞線の防衛兼、建設だ!」
願ってもない話を頂く僕たち。
それならばオーエラさんを誘うかな。
受付嬢としての卓越した能力があれば、資材管理とかしてくれるだろう。
それで浮いた時間で、僕がもっと現場作業をできる。
あの後にギルドがどうなったかわからないし、もし仕事がないならこっちに来てもらおう。
旅費も送って馬車も手配しておくか。
色々迷惑かけちゃったし。
「昨日のように儂が襲撃された時のことを一例に、魔物たちの脅威が増している」
「ええ、他の場所でも実感してまいりました」
「正直なところ年単位でかかるだろう。もちろん終わるまで拘束はしない! いてくれれば嬉しいがな! 期間に応じて報酬を払おう!」
太っ腹にも物凄い対価を提示してくれる。
僕たちはその額に驚きながら、承諾に向けて意気込んだ。
「そして明朝、領地を発つことに決めた。急な話だが」
「本当に急ですね!?」
「あのザマーバッカー町は、カース王国の大動脈ともいえる交通地帯。私たちの領に何かあれば、補給や援軍が滞る。あの繁栄した要所に、すぐにでも安定してもらわねば困るのだ」
そういうことか。
国境地帯の領地も大変だな。
そういえば数々の追放から人間付き合いに疲れ始めていたところを、偶然助けた領主にスカウトされ。
加えて建築士としても使いたいと誘ってくれた。
魔物に襲われない強さを持った、冒険者がいるなら好都合であるとのこと。
並べ立てると運命みたいなマッチングだ。
あれ? 憧れていた、スローライフを送るチャンス?
昔からやっていた建設スキルで重宝されるなら、願ったり叶ったりだ。
一杯家をつくって評価されるなら、この身が果てるまででも是非ともやりたい。
「それではサンシータ、マノワールたちのことを頼んだ」
「了解いたしました!」
そして件の国境線に向かい、依頼を受けることになった。
快活そうなイケメン騎士が基地の中から呼び出され、臣下の礼を取る。
彼が担当の貴族様かな?
「それでは儂は本国に再び行く。留守を頼んだぞ」
「はっ!」
「マノワール殿も期待している」
「全力を尽くします」
そう言って暫しの別れとなった。
ヴェンリノーブル侯爵も仕事が大変だな。
僕も頑張ろう。
「―――――あ~~~ダリィ~~~おいお前、見張りやっとけ。お前みたいな冴えないオッサンでもそれくらいはできるだろ。俺たちはサボるから、ミスったら殺す」
「えっ……!?」
急に豹変したサンシータ卿が、口汚く命令してきた。
余りの変貌ぶりに、返す言葉を奪われてしまった。
「わかんねえか? ったく学のない冒険者は」
「は……はぁ……」
「サンシータ! 貴様客人に向かって、何をやっている!?」
「チッうるせーなデカ女がよぉ」
コックロが咎めると、道端に唾を吐いたサンシータ。
彼は心底忌々しそうに、彼女を睨んだ。
これは二人は犬猿の仲であることが、直感的に理解できた。
水と油みたいな性格の相性だろう。
「お前みたいな不良騎士! 今度こそクビにして頂こうか!」
「はっ! 股を開いて護衛騎士になった女は、言う事が違うね。お前に反感覚えてる貴族の方が多いから黙っとけよ」
「きっっっさまぁぁぁ!?!?!? 騎士を侮辱するか!? ならば剣で証明してくれる!!!!!」
「ちょちょちょちょちょ落ち着いてーーーーー!?」
僕は二人の間に割って入る。
一触即発の火花が散る空気。
大変なことが、また目の前で起こってしまった。
なんで僕はいつもこんな目にばっかり……
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