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第66話 「マノワールたちの不運な境遇を知った侯爵の怒り」




「それはまた! 本当に奇遇ですね!」



 そんな事あるものなんだな。

 世間は狭いとは、よく言ったものだ。




「いやこの出会いは運命だ! 是非とも諸君らを召し抱えたい! 儂を救った、何より街の英雄なのだ!」


「私如きが畏れ多いです。もう年ですし、体も動かなくなっております」


「まだまだ若いだろう! 年齢的に一番男として脂がのっている年頃だ! 老いても後進の指導にもあたってほしい! それぐらい私はマノワール殿を買っている」


「貴族社会に出るなど、私のような平民には荷が重くございます」


 本当に上機嫌のヴェンリノーブル侯爵。

 でもすごい偶然ばかりだ。


 気持ちは嬉しいけど、貴族に仕えたくはないんだよね。

 僕はもうあんな経験は嫌だから。




 貴族社会を拒み、騎士として召し抱えられることを拒む冒険者も多い。

 その口だと思ったのか、侯爵は話題を変えてくれた。






「残念だ……気が変わったら、いつでも言ってくれたまえ! 盛大に歓迎すると約束する! しかし何故ダンジョンコアを売りもせずに、持っていたのだ? エルマージ殿が魔法研究者なのか?  エルフの方々は魔法の研究に明け暮れていると聞くが、その話も聞いてみたいものだ」



「いや私は魔法研究には疎い。事情があってのことだ。実は―――――――」



 エルマージは重苦しく、ここに来る前の一件について語る。

 先程まで非常に上機嫌だったヴェンリノーブル侯爵は、次第に無表情に変えていった。

 最後には肩が震えるほどに激怒していた。






「なんだその話は!? 街を救った英雄に何という仕打ち!? 冒険者は国の宝だぞ!? 何の理由があって、そんなことになっているのだ!? そんな噂が広まれば他国に冒険者が流出してしまう!!!」




 テーブルに拳を叩きつける侯爵。

 そして怒りは収まったものの、焦りが浮かんでいる。




「早急に対応しないとマズいな。この話はどのくらいの者が知っていて、周囲に知らされているのだ?」



「ギルド内ではすべて、そして冒険者もある程度は知っているでしょう。ギルド長は私たちが追放される前に、王都に向かったはずです」



 突然の憤怒の現出に、慎重に答える。

 難しい顔で考え込みながら、少し弱ったような声の調子で目の前の貴族は愚痴り出す。




「そうか。情報提供に感謝する。王都にとんぼ返りか。明日からはまた忙しくなるな。とんでもない話だぞこれは……街ギルド長から王家はもう知っているのだろうが、その対策はどれだけの労力を要することやら」



「何も侯爵が動かれなくとも」



「儂は軍務官僚としても、王国に籍を置いておる、とても無関係ではいられないのだ」



 彼は軍事貴族としても働いているとは、相当の重鎮だろうな。

 ヴェンリノーブル侯爵領とは、僕が小さい頃でも聞くくらいの大貴族だし。

 当然冒険者との連携もあるのだろう。


 だから僕たちのような冒険者崩れにも、対応が手馴れていたのだな。

 得心がいった。






「この街のギルドも汚職がないか調べねば。すまないがここで失礼する。明日の準備をしなければならない。ゆっくりと食べてほしい」



「お気遣い頂き誠にありがとうございます。楽しませて頂きます」



 謝辞を述べ、彼の退室を見送る。

 元冒険者のみとしても、あのようなことがないようにと願うばかりだ。




「落ち着いた頃にでも、マノワール殿たちの実力を見せて頂きたい。この屋敷に是非しばらく滞在してほしい」










面白い、または続きが読みたいと思った方は、

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 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


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[良い点]  おお……すっげぇ後ろ盾まで手に入りましたね! ますます冒険者が止められない(笑)
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