第64話 「コミュ障判明マノワール」
「いや完璧なまでのスタートだと思う。町に着いてからも依頼も貰えそうだ。私はこんな性格だから、貴族に嫌われることが多くてな。エルフだから傲慢とか言われていたから、マノワールに対外交渉を任せられて助かったよ。お前には助けられてばかりだ」
「それがエルマージのいいところさ! みんなに平等に接することができる、素晴らしい女性だよ。君がいるからパーティは調和を保てるんだ。冒険者としての能力も非常に高いし、助けられているのは僕の方だよ」
「お前という奴は……!? このっ……もうっ……!」
顔を赤らめたエルマージ。
怒ったように僕から顔を背けて、腕組みした。
なんでぇ!?
励ましただけなのに、なんで怒り出すの!?
昔からそうかなとは薄々感じてたけど、僕ってコミュ障だったのか……
特に女の子を怒らせてばかりで……
それって女心がわからないとかいうレベルの話ではないよね。
コミュ力は少しはある方だと思ったけど、それは組内の話だったんだ。
失礼な人ばかりだったから、世間一般とは程遠かったんだな。
僕は粉々に砕け散った自尊心で、馬車での時間を過ごした。
「マノワール様、そろそろ到着いたしますので、お支度をお願いいたします」
「わかりました。ありがとうございます」
「ありがとうございます! わぁ! ついに着きますね!」
何とか表情を引き締めて、使用人の方に返答した。
とりあえず外面だけは取り繕えたはず。
でも深く付き合うほどに、他人に嫌われてしまう性質なのかもしれない。
こんなんじゃ結婚どころか、お付き合いなんて一生……
僕は絶望しながら、馬車を降りる。
多分目は死んでいるが、ビジネスに携わってきた経験から何とか外面を取り繕う。
「マノワール君たち。屋敷に案内しよう。今晩は是非泊まってくれたまえ」
「お気遣いに深く感謝申し上げます。失礼いたします」
ヴェンリノーブル侯爵の案内の元、屋敷内に入る。
外から見ても立派だったが、内装は殊更に見事だ。
品がよくコーディネートされており、洗練されている。
そこには使用人たちが立ち並んでいた。
「お帰りなさいませ当主様。襲撃があったと聞きましたが、お体の方は?」
「うむ。大事はない。それと助けて下さった方々を歓待したい。用意をせよ」
「かしこまりました」
執事長らしき燕尾服の初老男性と、ヴェンリノーブル侯爵は話し込んでいる。
そして歓迎するように準備を指示してくれた。
そんな中で控えていた騎士の一人が、射抜くような視線を僕に送ってきた。
燃えるような赤髪を腰まで伸ばした、とても身長の高い女性騎士。
はて、どこかで面識があっただろうか?
「――――――マノワールお兄ちゃん!?!?!?」
「……はい? えっと貴女はどなたでしょうか……? ……ん? コックロ?」
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