第62話 「襲撃される馬車」
緊急事態だ。
この距離では自分たちも襲われてしまう。
こんな街道で襲われるとは、思ってもいなかった。
人里近い場所で襲撃されるとは思ってもいなかったのだろう。
戦況を見るに、防戦一方だ。
いやあれは豪華な馬車を守っているのか?
「貴族の印章だ。あれを守っているから、中々攻勢に出れずにいるのだろう」
「なら加勢して、数で叩こう」
「ああ! アース!」
僕たちは必勝戦法で鉄火場に臨む。
騎士たちは戸惑っているが、応援に来てくれたと悟ったようだ。
「応援感謝する! ある程度引き受けていてくれ! 我らが殲滅す―――――――」
「―――――――倒してしまってもいいんですよね! ハァッ!!!!!」
僕は秒間数発にも及ぶ投石を行う。
それらは見事に魔物たちを貫いた。
単純戦闘だけで、すべて倒せた。
僕たちのパーティなら、もはや取るに足らない。
「なんだあれは!? 投石!?」
「凄まじい強さだ……まさかAランク冒険者か!?」
「マノワールさん! 周囲には敵はいないようです!」
「ありがとうニンメイちゃん。殲滅完了ですね。騎士様方、お怪我はございませんか?」
残敵を掃討するまでもなく、周囲一帯には魔物はいないようだ。
それが普通だけど、よかった。
しかしこんなところに魔物とは、恐ろしいな。
僕がいなければ、この人たちも危なかっただろう。
「助勢感謝する! 貴君の所属と名前をお聞かせ願いたい!」
「マノワールと申します。現在は冒険者は諸事情あって辞めていますが、ラグニアに所属していた元Bランク冒険者もおります」
「元Bランクでしたか! それも有名なラグニア! つまりそちらのエルフの女性が、かの有名な付与術師のエルマージさんですね! それはお強いはずだ!」
「ご歓談中失礼! 少々お待ちいただきたい! 我が主君がお言葉があるとのこと」
騎士たちは敬礼をして、敬意を表した。
エルマージがいることでスムーズに行ってよかった。
やっぱり立場って大事だな。
捨てちゃったけど。
それにしても騎士様たちに、そう丁寧に接されるような人間じゃないんだけどな。
貴族様に会うのも、ぶっちゃけ嫌だけど仕方ないか。
「ニンメイちゃん。エルマージ。勝手に決めちゃってよかったかな?」
「もちろんですよ! マノワールさんのすることですから、間違いないはずです!」
「断れる状況じゃない。挨拶くらい気にするな」
「ありがとう。っと来たようだ」
姿勢を正して馬車から降りてくる人物を待つ。
仲間二人はおずおずと礼をしたので、僕もそれに倣う。
「頭を下げなくてよい。まだ魔物たちがいるかもしれないのだからな。それよりも援軍感謝する!」
「いえ。当然のことです。ご無事で何よりでございます」
頭を上げれば、壮年の偉丈夫が現れた。
上品なビロードのマントを着用し、いかにも高位貴族といった風体である。
「平民に礼儀は求めんよ。楽にしていい……しかしやけに様になっているな。騎士たちに見習わせたいくらいの作法だ」
「恐悦至極にございます。魔物を討伐するくらいしか能のない、しがない平民に過ぎません。もったいなきお言葉にございます」
「その強さ! 人格も気に入った! 我が領に招きたい! この度の礼をしたい」
にこやかに大腕を広げながら、貴族は鷹揚にそう告げた。
余り横暴な貴族ではないようだ。
気に入ってくれているらしい。
竹を割ったような性格であると、この短時間でもわかるから嘘でもなさそうだ。
「自己紹介が遅れたな。儂はヴェンリノーブル領主である! 今回は本当に助かった!」
喜ばしいことに、2023.10.27 日間ハイファンタジー〔ファンタジー〕ランキングで、76位 を獲得しました。
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