第58話 「恐ろしい女子トーク」
「少し外からギルド内見てたけど、マジでウケるニャ! あいつ周り見れなかったニャ! 周りが話し始める度に、過剰反応して聞き耳たててたニャ!」
「日頃からあんな高圧的な態度を、周りにもとっていたんだろう。若い女はみんな、オツボッネを見て嘲笑ってたぞ。あのギルドのこれからの人間関係は見物してみたいものだ」
「人に信頼されないことをすると、報いを受けるのですね。彼女は仲間と思っていた人たちからそれを教えてもらえるのでしょうから、幸せ者です」
「もうやめてあげてぇ!?」
女の子こわっ!?
女子トークえぐいんですけど!
そういうことを言うのは、しょうもない相手でもダメだよ。
自分の格を下げてしまう。
それとなく注意をしなくては。
「あんな奴らのことばかり気にしていたら駄目だ。これからのことを考えていこうよ。それが幸せになる方法のはずだよ」
「そうだな。もう過ぎたことだ。だが許されないこともある。マノワール」
視線を伏せながら、エルマージは悔やんでいる様子。
彼女は僕に謝罪をした。
「すまないマノワール……私はお前に迷惑をかけてばかりだ……あんなに頑張ってダンジョンボスを倒したお前を、私のせいで」
「エルマージのせいじゃない。悪いのは全部ギルドだ」
責任感が強すぎる彼女は、自身を責める。
でもそれはいけない。
何も悪くない、全力で頑張った方が、認められないなんてあっちゃいけないんだ。
ギルドは僕達を認めてくれなかった。
だったら僕だけでも彼女を認めてあげたい。
「こんなに素敵な君の命を守れてよかった。それだけでいいさ」
「マノワール!」
感極まったのか、彼女は俺の胸に縋りついてきた。
森の賢者と謳われるエルフとは言っても、心が不安定な時もある。
女性にあまり触れるのはよくない。
でも彼女がそうしたいというのなら。
僕の胸でよければ貸してあげたい。
「ありがとうマノワール」
「落ち着いたならいいんだ」
「あの……その……」
言い淀みながら、何度も口を開こうとしては口籠る。
普段は凛々しい彼女だが、可愛いな。
何か言いたいことでもあるのだろうか?
「お前の仕事が見つかるまで、まだついて行ってもいいか? 迷惑はかけないつもりだ」
「仲間だろう。遠慮しないでくれ」
「マノワール!」
仲間なんだから当然のことだ。
そう返答すると、彼女はさらに腕を回して固く抱き着いてきた。
綺麗な彼女も、かわいいところがあるのだな。
やっぱり女性はか弱いところがある。
男としてそれを守れるならば、冥利に尽きるというものなのだろう。
「わ、わたしは……お、お前と……ずっと一緒に居たい」
「いいよ。君の気が済むまで」
エルフ耳が真っ赤になっている。
まだ先ほどの件で怒っているのだろうか?
愚痴くらいは聞いてあげよう。
彼女がいなければ死んでいたかもしれないのだし。
何より大事な仲間なのだから。
「ズルい! わたしもマノワールさんに!」
「私もニャ! ぎゅ~♪」
「動きづらい!? こんなところでやめてよ恥ずかしい! 何よりはしたない!」
ニンメイちゃんとミーニャさんまで抱き着いてきた。
大きさの違う三種類の果実が、僕に押し付けられて形を大きく変えて……
ダメだ紳士としてあるまじき反応をしないように、僕は心臓の鼓動を抑えて血流を男の象徴に集めないように願う。
またオジサンを揶揄っているのか?
そういうことをしていると若い男は勘違いして、ひどい目に遭ってしまいかねない。
人生の先達として、嫌われたとしても注意してあげなければ。
「そんな……エッチなことはまだ早いのにニャ……」
「わたしは大丈夫です! さぁ!」
「周りの視線が痛いの!? 公序良俗には従わないとダメだよ!?」
さぁ!じゃないよニンメイちゃん!?
遠慮がなくなってきたなこの子たちは。
でも気軽に冗談を言えるってことは、距離が近づいたってことだな。
ちょっと嬉しい……!
「本当にオジサンには毒だから、離れてね。それじゃ行こうか」
「どこか行くところでもあるのか?」
そっと腕を外して、話を逸らす。
疑問を呈したエルマージに答えた。
めでたいことがあった時はこれだ。
「祝勝会さ」
「賛成です!」
「美味しいお店に行こうニャ!」
女の子たちは弾けるように元気になり、おしゃれなお店を検討し始める。
若い子はいいな。
僕はエルマージと共に、微笑ましくそれを見る。
「――――――私はマノワールの力に惚れたのではない。力がありながら、心は優しくある、本当の強さに惚れたんだ」
「君にそう言ってもらえれば、僕もそこまで捨てたものではないのかな?」
感極まったのか、不思議なことを言い出すエルマージ。
彼女も不幸な目に遭い続けてきた。
数奇な運命からそれを開放したことになる僕は、彼女は過大評価してしまっているのだろうな。
明日になれば目を覚ますだろう。
これらの女の子たちとの出会いで、僕の人生はいい方向に変わっていくことになる。
対照的にこの時まだオツボッネたち悪徳ギルド職員は、重大過ぎる過失に気づいていなかった。
僕がどれだけこのギルドに貢献してきたことかを。
彼女たちがどのような末路を迎えることになるのかを――――――
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