第55話 「若手OLのお局への逆襲」
「オーエラさ――――――」
マノワールという名前が出された途端、オーエラさんは反応する。
まだこちらには気づいていないようだ。
僕のことなんて、どうだっていい。
そんな自分の立場が悪くなるようなことは、こんな男のためになんてしないでくれ。
そして声をかけようとしたが、言葉は途中で途切れた。
「――――――悪口を言ってばかりで、あなたは本当に最低です!!! 骨の髄から幼稚で、自分のことしか考えていないから、そうやっていい年しても駄々をこね続けているんですよ! それが許される年齢ではないんですから、いい加減に自分を若いと勘違いするのはやめてください! 若くて顔のいい男性職員に猫撫で声で擦り寄るの、本当に気持ち悪いんですよ!!!」
「なっなななななななっ!?!?!?」
オーエラさんの溜まっていた鬱憤が、ついに爆発したからだ。
毎日不満に思っていたからであろう。
怒涛のように繰り出される言葉は、一切の澱みなく発され。
いつも優しく丁寧な彼女は、多大なストレスを受けていたことを感じさせた。
「不愉快なボディタッチやたらと多いしネットリしているし、陰で若手男性職員からセクハラだと思われてますからね! 飲み会でいつも若い女の子でも着ないような、露出多い服装で来て新人の男の子の周りを占拠するし! あと香水と化粧と加齢臭が混じり合って、本当に臭い! 同じ部屋にいるのも不愉快なので、何よりまずデオドラントしてください! そうやって他人の目を気にしないから、人から嫌われるんです!!!」
「この小娘!? 若いからって甘やかされて、調子に乗ってるんじゃないわよ!?」
「結婚できないコンプレックスを若い人にぶつけるのはやめてください! 子どものせいで休まざるを得ない同僚に嫌味言うの、誰からも良く思われておりませんから! いつも人の悪口を告げ愚痴ばかりして、いざ自分のことを言われるとヒステリーを起こす! そんな情緒不安定な性格だから、誰ともお付き合いすらできないんですよ!!! そもそも周りからまともに相手をされていない時点で、まともな人間関係を築けないことに気づいてください!!!!!」
凄まじい暴言に、僕は唖然とする。
そんな酷いお局だったのかという想いと、あの優しいオーエラさんがそこまで言うのかという想いが複雑で……
だがそれは誰もが思っていたことなのかもしれない。
若い美人女性職員を中心に、笑いを堪えているのか肩を震わせている。
推測に過ぎないが、彼女たちもその被害を受けていたようだ。
オツボッネの後ろにいる者たちは、我慢できずに顔をくしゃくしゃに歪めていた。
「私生活がうまくいっていないから、仕事で威張り散らす! あなたはそこそこ能力あっても出世できないのは、そういうところですよ! それを女性蔑視という問題にすり替えて、気に食わない人の愚痴ばかり言っている! 贔屓されて当たり前と思いあがっている貴方なんて、同性でも上司にしたくないです!!!」
自己正当化している卑劣な人格を、粉微塵に粉砕するオーエラさんの口撃。
想像を絶するインパクトを周囲に与えていた。
痛烈なる人格批判が、オツボッネに食らわされる。
もう彼女は激怒しすぎて、顔の化粧が罅割れて妖怪のようになっていた。
「オーエラぁ……あなた潰されたいみたいね――――――」
「――――――テンプレしょうもない女代表お局のオツボッネ。お怒りだとは思うが。今は勤務時間中だぞ? グダグダ喚いてないで、これを見てみろ」
面白い、または続きが読みたいと思った方は、
広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価、またはレビューしていただけると、執筆の励みになります!!!!!!!!!!




