第54話 「オツボッネの嫌味」
光り輝く球に近く見える、両手でやっと抱えられるくらいの大きさの物体、
しかしそれはかなり整然とした多面体だからだ。
100面くらいありそうな、近未来的フォルムの存在。
エルマージはそれを拾い上げ、両手で抱える。
大きさに反してかなり軽いみたいだ。
「私たちにとってはトロフィーみたいなものだが、売るところに売れば宮殿が建つと言われている」
「これが……! 不思議な見た目ですね」
「初めて見たニャ!」
「ダンジョンボスを倒した証か……! 本当に僕たちにできたんだ!」
嬉しくなる。
宮殿ともなれば、働かなくても済む。
でも仕事は好きなんだよな。
金銭問題がなくなれば、嫌なことはしなくて済むだろう。
スローライフとか興味あるから、やってみたいな。
趣味レベルでも体は動かしていたいから、遊び心満載で建築とかして……!
「さて。まだ危険が残っていないわけじゃない。魔物たちも狩り残しもいるだろうし、もう今日はここを出よう。明日からも残党狩りで忙しくなるはずだ」
「そうだね。疲れたし帰ろうか」
「はい! 偵察はお任せを!」
「凄いことになっちゃったニャ!」
妄想もそこそこに、帰るまでが冒険だ。
俺たちは上機嫌で帰路に就いた。
そういえばダンジョンボスみたいな魔物を、ダンジョンで彷徨っていた時に出会って攻撃したような気がするが……
まぁ気のせいだな!
全然倒せなくて執拗に攻撃したら怒って追いかけ回されたけど、この異常事態とは関係ないはずだ!
それを報告しに行った矢先のことである。
祝勝会を挙げようとしていた気分は、落ち込んでしまった。
人間の腐ったような女が、軽蔑すべき言葉を放っていたのを目撃したからだ。
「あのオーエラって女は、冒険者たちに股を開いて小遣いをもらっているのよ。それで得た化粧品で、さらに男を釣って漁っているわけ」
「クスクス」
「…………」
オーエラさんの目の前で、彼女の悪口を言っているオツボッネ。
同じくらいの年頃の女性たちが、同調して嘲笑っていた。
オーエラさんは黙って仕事をこなしているが、その表情は暗い。
恐らく常日頃から、こうやって陰湿な嫌がらせを受け我慢していたのだ。
自分の頭の血管が千切れるような錯覚がするほどに、僕は激怒していた。
「マノワールとか言うあんな小汚いオッサンにまで、尻を振っているのだから相当売ってるわよ。最近ではパパ活って言うのかしら? まぁただの淫売よね。くだらないお為ごかしで、誤魔化すって情けないわよねぇ~負い目があることを自覚しているから、そう表現するのよ」
「――――――マノワールさんはそんな人じゃない!? 撤回してください!?!?!?」
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