第53話 「激闘の後に」
「…………」
「…………勝った」
数秒の沈黙。
砂煙が立ち込める。
空間に広がった砂塵が地面に舞い降りるとともに、ダンジョンボスは倒れた。
夥しい血が地面に広がる。
僕は半ば無意識のうちに勝利を宣言した。
「…………はぁ……はぁ……」
僕は剣を杖代わりにして、寄りかかる。
凄まじい死闘だった。
「マノワール!」
「大丈夫ですかマノワールさん!」
パーティの二人が駈け寄って来る。
心配そうな顔をさせてしまった。
でも彼女たちを守れたことを嬉しく思う。
「勝ったんですね……マノワールさんが倒してくれたんですね!」
「凄いよお前は……本物の英雄だ!」
「ありがとう。皆のおかげだよ」
手放しに賞賛してくれる女の子たち。
でも僕だけの力じゃない。
この子たちのおかげで、僕は勝てたんだ。
「本当に無茶ばかり……心配したんですよ」
「控えめな性格のお前が、ここまでやるとは。怖かっただろうに、よくもやってくれた」
「無我夢中で……自分でも信じられないよ……あはは」
自分がこんなに頑張れる性格だとは思えなかった。
大人になる頃に一度折れてしまった心。
まだこんな闘志が残っていたなんて、でも誇らしかった。
そんな時だった。
横から何か柔らかい2つの弾力のある何かが押し付けられる。
そして首元には猫のように可愛らしい顔が摺り寄せられた。
突然のことに僕たちパーティの3人は、とても驚いた。
言葉を失い、何が起きたのか把握するべく振り向く。
「マノワールさん……カッコイイにゃあ~~~♡」
「ちょっ!? ダメですよミーニャさん! そんなことダメです!?」
健康的な肢体が余すことなく押し付けられる。
とてもハリのある若々しく豊かすぎる双丘が、僕に擦り付けられ……
煩悩退散を願うも、奮闘虚しく視覚と触覚を研ぎ澄ませてしまう。
でもいつも冷静沈着に見えるミーニャさんが、無邪気に喜んでいる姿を見ると。
死闘で荒んだ心が和んだ。
「わ、私ったらごめんなさいニャ……お嫌でしたかニャ!?」
「いえとんでもない!!! とても気持ちよかったです!!! ってセクハラじゃないです口が滑りましたごめんなさい!!!!!」
「き、キモチイイ……!? にゃあぁ……みぃ……♡」
両手で顔を覆い隠してしまったミーニャさん。
しかし顔は真っ赤にさせているのが見て取れる。
今のは我ながらヤバいキモかった。
完全に信頼関係を壊してしまったと、呆然とする。
「あんな風に……『ミーニャは絶対に僕が守ってみせる!』なんて情熱的に求婚されたら……照れちゃうにゃぁ~~~!!!」
「えぇっ!? キューコン!? 球根!? 求婚!?」
みんなは絶対に僕が守ってみせる!って言ったんじゃなかったっけ!?
あれ言い間違えた!?
肝心の決め台詞を噛んでしまった!?
白熱していた戦いに没頭していたから、記憶の彼方だなぁ!?
でも聞き間違いだったなんて言ったら、最悪過ぎる断り方だし!
女性を傷つけないように、訂正しなければ!
どうしよう全然思いつかない!?
「ズルいですよ! あれは『ニンメイは絶対に僕が守ってみせる!』って言ったんです!」
「いやマノワールは『エルマージは絶対に僕が守ってみせる!』って言ったんだ」
「あれそうだっけぇ!?!?!?」
なんか出てきてしまった二人。
悪乗りしないでよ収拾がつかないじゃん!
あれ?
ひょっとしてみんなは冗談を言っている?
なんだ。おじさんを揶揄わないでくれよ。
そういう冗談はあまり褒められたことじゃない。
若い子たちとはいえ、注意してあげなければ。
「むぅぅ……! マノワールさん鼻の下伸びてる……! やっぱりおっぱいが…………あっ! あれはなんでしょうか!」
「ミーニャはスタイルがいいからな……あれはダンジョンコアだ!」
「みゃうぅ……そういう話をされるのは恥ずかしいのですにゃぁ……マノワールさんにエッチな目で見られると、ドキドキしちゃって頭が変になっちゃうにゃ……」
確かに健康的な肌には、凄い大きさの2つの逸品が……
僕のことを見つめながらミーニャさんがモジモジしていると、つられて彼女のお山もゆさゆさと……
って駄目だ僕はみっともないセクハラオッサンにはならない!!!
あれ話が流された。
なんだか残念な気も……
って彼女たちが見ている物は何だろうか?
「ってダンジョンコア!?!?!?!?!?」
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