第52話 「守る覚悟 人生最大の一撃」
半数近くは倒せたが、魔物たちは止まる気配がない。
もう遠距離攻撃をできる余裕も無くなり、剣を抜いた。
技術もへったくれもない剣の振り方で、滅多打ちにする。
後ろからは破砕音が聞こえる。
きっとあの巨岩を破壊しようとしているんだ。
何という膂力。
「でも僕たちの方が先だ! エルマージ! 魔法を!」
「ああ! ストレングス!」
付与魔法を補充してもらい、僕は粉砕されそうになった巨岩に向かって突貫する。
そして巨岩へと攻撃を加え、大きく押し返した。
手応えあり。
何かが引き潰された感触がした。
このまま押し出すが、向こうからも大きく押し返されてついに岩は弾け飛ぶ。
爆砕された大岩の破片は、散弾銃のように魔物たちに降り注ぐ。
断末魔の悲鳴が鳴り響き、赤黒い花が咲き乱れた。
「ダンジョンボスへの攻撃を避け、周りから攻撃する。そうすればお前は僕たちに直接攻撃せざるを得なくなる!」
恐ろしいトカゲの風貌をしたダンジョンボスは、完全に激憤している。
取り巻きの仇が僕となり。意図通りに攻撃先を集中させてきた。
種族は違っても、僕を殺そうとしていることが見て取れた。
だが勝つのは僕だ。
仲間を、町のみんなを守る。
きっとこのために、力を得たんだ。
「魔法だって強化されているんだ!!! アース!!!」
さらに魔法を放つ。
それは槍のような形状の代物。
修行によって、僕の土魔法も練度が上がっているのだ。
凄まじい速度で射出され、ダンジョンボスへと突き刺さった。
腹部を若干抉ったが、しかし両腕で受け止められる。
僕はその間に助走をつけて、最高速度までに達した。
「おぉぉぉぉぉっっっ!!!」
走った先には魔法で放った大槍が。
後ろから蹴飛ばして押し込んだ!
「グォォォォオォォォッッッッッ!!!!!」
「みんなは絶対に僕が守ってみせる!!!!!」
腹部を刺し貫いても、まだ生きている。
粉砕された両腕に装着されていたはずの盾を見れば、これで防がれたのだとわかる。
武具が消失しても、己の体一つで僕を殺そうと向かって来るのだ。
凄まじい生命力と執念。
土魔法で作った岩の塊を、こいつは殴りつけて粉砕した。
超至近距離へ。
これも最悪の可能性として読んでいた。
ならば剣を大きく振りかぶるだけ。
「これで決まれぇぇぇぇぇ!!!!!」
限界突破して振り下ろした。
同時にダンジョンボスも鋭い爪をもって、僕を引き裂きにかかって来る。
全力全開の渾身の一振り。
これまでの人生で一番の会心の一撃。
お互いの攻撃が交差し、僕達はお互いに背を向け合って止まった。
僕は剣に付着した血糊を振り払う。
脳天から両断されたダンジョンボスは、叫び声すらあげず倒れ込んだ。
勝利は無音の世界と共に訪れた。
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