第51話 「ダンジョンボス」
子どもの頃だが、物語にて聞いたことがある。
存在は知っていた。
知らない大人はほぼいないだろう。
だが決定的に異なる点が存在する。
この敵は、いるべき所にいないのだ。
いるはずのない浅い階層まで、何故か登りつめている。
「ダンジョンボスって最奥にいるものだと、相場が決まっている物じゃないのか!?」
「わからない!? 私も詳しくないんだ!? ダンジョンには謎が多く、なぜ存在自体があるのかすらわかっていない!?」
今までのスタンピードも、ダンジョンボスが外に出ていたのかもしれない。
その時の激闘で、資料をまとめる余裕もなかったのかもしれない。
でも寝耳に水だった。
僕の攻撃を防げるほどの強さを持っているという事も。
「だが初めて聞いた! 絶対に異常だ!」
「こんなことに遭遇するのは物語の主人公くらいなもんだろっ……!」
本当に間が悪いオッサンだ。
個人じゃなくて、国軍に任せる案件だろう。
そうこうしているうちに、時間が過ぎる。
しかしその時間が命取りとなった。
そうだ。相手はダンジョン内の構造を把握していてもおかしくはない。
僕達より地形優位を生かせても、可笑しくはないんだ。
「まずいっ!? 挟み撃ちにされた!?!?!?」
回り込まれていたのだ。
前方にいる敵よりは少ないが、それでも尋常でない群れが迫ってきている。
それは相手が明確に知性を得ているという事。
そして高位の魔物であることを意味する。
心拍数が上がり、脈動が耳に直接伝わっているみたいだ。
焦るな。考えろ。
何か切り抜ける方法はあるはずだ。
「作戦がある! ダンジョンボスへの攻撃はやめて、周りから対応してくれ! その間に後ろからの魔物たちを殲滅する!」
「時間はそこまで稼げないぞ!」
「必ず成し遂げる! ミーニャさんはエルマージたちを守っていて!」
「はいニャ!」
雄叫びを上げるように、みんなに叫んだ。
エルマージたちは乗ってくれた。
信頼には答えないと。
成功する確率なんてわからない。
でもメイン火力を担う僕がやるしかない。
「まずは前方の敵を足止めしてから……アース!」
「あんなにすごい土魔法!」
ダンジョンボスたちの襲来に、僕は巨岩で防ぐ。
少しは足止めになるだろう。
僕は振り返って、近くに来た魔物たちに石を投げまくる。
次々と弾け飛んで、真っ赤な噴水がいくつも出来上がった。
だが鱗を持つ人型をした敵の首魁には、あまり通じていない。
ならできるところから処理するしかないか。
「まずはこいつらを処理して……万全の態勢でダンジョンボスに立ち向かう!」
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