第50話 「スタンピード」
特級の災厄。
いくつもの町が壊滅したとまで言い伝えられる、魔物の洪水だ。
「スタンピードだなんてマズすぎる!?!?!?」
「このままじゃ街に溢れだすぞ!?」
「街にはDランク冒険者も碌にいないのニャ!?」
「そんな……お父さんたちが」
ニンメイちゃんの家族はここにいる。
僕の元同僚たちや知り合いもたくさんいるんだ。
ミーニャさんの言う通り、対抗できないだろう。
そして僕たちも逃げ続けても、いずれは追いつかれてしまうかもしれない。
家族友人を守りながら迎撃するなんて、とても無理だ。
ならばやるべきことは一つしかない。
死を幻視させる眼前の災害に、身一つで立ち向かう事。
「ここで食い止めるしかない! ストレングス! ハードニング!」
「やっぱりそうなるか……!」
熟練の冒険者である、エルマージの迅速な判断。
加護魔法がかけられて、戦う事を促される。
怒りを目前に迫った魔物たちにぶつける。
だが次から次へと、湧いてくるみたいだ。
一体どこに隠れ潜んでいたのか。
「すまないミーニャ! こんなことになるなんて!?」
「こんなの誰も予想つかないにゃ! それよりも対応しないと死んじゃうニャ!?」
叫んでいないと、声が聞こえないほどの現状。
そうしないと魔物たちが進む際の地響きで、聞こえない。
ミーニャまで加勢しないと食い止めきれなくなるかもしれない。
僕が食い止めないと……!
「グォォォォオォォォッッッッッ!!!!!」
耳をつんざくような大音量の咆哮。
それと共に僕の投げた石を、腕を振って逸らした。
いや盾だ。手の甲から両腕にかけて、巨大な盾を装備している。
相手は武具を駆使して、戦闘するのだ。
技術を持って、僕の攻撃を妨害したということになる。
相手も無傷ではないが、的確に防御されて生き延びたのだ。
攻撃を防がれたのは、今まで一度もなかった事。
「マノワールさんの攻撃を逸らすニャんて!?」
「なんだこいつ!? 魔物のトカゲか!? 強すぎる!?」
「リザードマンはCランクのはずだが……体躯や身体能力を見てもBランク上位、ワイバーン並はある! それが戦闘技術を駆使する知性をもつなら……!?」
初めての経験に動揺する僕とミーニャさん。
勝てないか疑うレベルの強敵に遭遇したことなんて、ニンメイちゃんと冒険を始めてから一度もなかった。
魔物は自らの血液が流れ落ちる腕を観察して、進撃を停止した。
それに伴い、他の魔物たちも足を止める。
「それに統率しているみたいだ! 何かを企んでいるみたいに突然停止しただと!?」
「知性がある! 効果的に戦闘行動を模索している!?」
僕とエルマージさんは、観察結果を異口同音に叫ぶ。
そして彼女は正体を看破したようだ。
「こいつは……ダンジョンボス!?!?!?」
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