第47話 「ミーニャとの修行とパーティ勧誘」
ギルド所有の訓練場。
オーエラさんに代わる新受付嬢に嫌な顔をされたが、ギルドに所属していれば空きがある時にいつでも使える。
そこでも一悶着あったが、僕達は押し通すことができた。
この場でミーニャさんに会って、いつも通り訓練をする。
もう一つ思惑はあるわけだが……
「今日も訓練とは精が出ますね」
「出来ることはしておきたくて」
「準備万端で挑むことは、冒険者として重要な資質です。だからそこまでの能力をお持ちなのでしょう」
なんだか不相応なまでに非常に評価されている僕。
気恥ずかしいので、鍛錬の師事をお願いした。
「あはは……そんなことはないのですけれども……それでは今日もお願いできますか?」
「またまたご謙遜を! もちろんです。それではアップをしてから型稽古といたしましょうか」
「わかりました」
僕はいつも通り少し走り込んだりしてから、武術共通のパンチやキックを繰り返す。
技のキレはもちろんない。
素人よりはマシだろうが、その辺の冒険者の方がマシだろう。
一方ミーニャさんよりお手本として見せられた流麗な体捌きを見れば、感嘆の一言。
年月を積み重ねたことが伺える。
教師として招致されたのも頷ける練度だ。
「物凄い成長速度です。特に基礎身体能力。マノワールさんのステータスは、とんでもない数値になっているのでは?」
「あはは」
「っと冒険者の秘密を暴こうと、迂闊にしてしまいましたね。失礼いたしました」
「いえいえ」
僕のやる気を増進するためか、非常に褒め殺しを受ける。
ステータスで下手くそを誤魔化しているようなものだから、あまり自慢はできない。
僕じゃ完全に自分の身体を使いこなせていないだろうし、上がった身体能力に振り回されていると自覚できるから。
しかしステータスがここまで短期間に上昇するのは、明らかに異常である。
だからこそ体に技術が追い付かなさすぎるという、他の冒険者にも見られない現象が起きているのだ。
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【マノワール・オッサツイホ】
職業:自宅警備員
Lv :57
HP :567/734
MP :578/631
攻撃力:1341(×3) 実数値447
防御力:1833(×3) 実数値611
魔法力:1434(×3) 実数値478
素早さ:1266(×3) 実数値422
スキル
数学lv34
科学lv37
社会学lv24
礼法lv26
芸術lv17
舞踏lv15
製作lv35
建築lv45
土魔法lv50
投擲lx45
剣術lv28
体術lv20
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それを無意識に探ろうとしたのか、
何もいい返答が思い付かなかったので愛想笑いをして誤魔化せば、ミーニャさんは引き下がってくれた。
しかし沈黙が降りる。
見学していたエルマージに向かい、彼女は問いかけた。
「変な噂を聞きました。大丈夫ですかエルマージ?」
「聞いていたか。面目ない」
「あんな嘘に心を乱されるなんて。エルマージらしくない。私は信じてるニャ」
「ありがとう。救われるよ」
エルマージは久方ぶりに、俺たちパーティ以外の人に笑顔を見せた気がする。
それが引き出せただけで、ここに来てよかった。
彼女たちの過去は知らないが、昔からの信頼関係なのだろう。
「しかしいいのか? 私達と付き合うのは」
「この町を出る私には関係ありませんので。友人と過ごす時間の方が、大切ですよ」
あっけらかんと答えるミーニャさん。
エルマージと親しいのも頷ける、素敵な性格の女性だ。
「このパーティで初めてダンジョンに挑むのだが、前衛がいなくてな。その……よければ私達と行ってみないか?」
「ふむ。興味はありました。せっかくですから一度は行ってみるのもいいかもですね。生徒たちにもダンジョンに行く者は多いでしょう。もうすぐ教職として赴任するのですから、怪我をしないように軽くならば構いませんよ」
「本当か!」
「一稼ぎさせてくださいよ」
「もちろんだとも! ニンメイは凄い実力なのは知っているだろうが、マノワールの実力にきっと驚くぞ!」
「あなたがそこまで言うとは、期待ですニャ♪」
弾む声でミーニャさんとエルマージは、ダンジョン攻略へと意気込む。
受け入れてくれてよかった。
彼女のような実力者が同行してくれるなら、百人力だ。
たまにミーニャさんは語尾がネコみたいに訛るのが、可愛らしい。
しかし自覚したのか頬を赤らめた。
特に僕のことをチラチラと見ているが、頬が緩んでしまったかな。
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