第46話 「ザマ―バッカー町ギルドの現状と策謀」
夕日が沈んでギルドが閉まった途端、その場にいる職員は急いで業務とは関係のない行動をとる。
誰もが必死の形相で、帰宅せずに動き出す。
「クビにされたくないなら、とっとと帰れ!!! こっちは死ぬほど忙しいんだ!!!」
「ひいっ!?」
「お、お先に失礼します!」
真面目そうなギルド職員はたたき出される。
脅しを込めたような言葉が、出っ歯の中年職員が叫んだ。
そして血走った目で、片っ端から書類を点検しているようだ。
それらを1か所に集めている。
おそらくは犯罪の裏付けとなる証の隠蔽行為であり、これらを処分するのであろう。
「ふむ? こんな時間であるのに、熱心ですな」
「これはこれは! 当ギルドの職員は働き者ばかりでして!」
「余計な真似をしたら、罪は増えるだろう。わかっているな?」
「もちろんでございますとも!」
脂汗を掻きながら手もみをしている汚職職員。
ギルド長直下の暗部に腰を低くして、人好きのする笑みで答えていた。
そして警告に対して、焦ったような表情を浮かべ同意する。
冷たい視線のギルド暗部が去ると、その背中を憎たらし気に睨みつけていた。
「ギルド長がいない間に、証拠を全部破棄しなければ! アイツらも消えてもらうしかないわね」
「パラフィリオさんが、どこにもいない。戦闘痕がありましたが、逃げ出せているならいいんですが」
オツボッネはそれに応えもせず、忙しなく罪証隠滅を図る。
マザコンイケメン男のナルシオとの戦いの後、パラフィリオがどうなったか知らされていないようだ。
死に物狂いの表情で、書類などの整理を続ける老若男女のギルド職員たち。
ザマーバッカー町のギルドは、ここまで多くの汚職者がいたのだ。
「マノワールたちはダンジョンに行くようですが?」
「それを狙っていたのよ。アイツらまとめて死ねばいいんだわ。そのための布石はもう打ってある」
その笑みは低劣な欲望に彩られていた。
オツボッネには何か秘策があるようである。
布石とは何か。
マノワールたちはすぐに知ることになる。
「臨時パーティすら組めないだと!?」
「ああ。命が幾つあっても足りん」
エルマージの知り合いという前衛剣士。
そっけなく答えられ、去られた。
この町での人脈が豊富な彼女の誘いを、すべて断られるとは。
絶対におかしい。
僕達も有名になって、その実力は認められているはずだ。
「悪評が出回っているとはいえ、全員が全員組まないなんておかしい!? 臨時で仕事をした、ある程度腕に覚えがある者たちもいるというのに!?」
「エルマージ。もしかしたら……これもギルドに仕組まれたのでは? 他の方々も依頼を受けさせないように脅されたり、あるいは家族を人質に取られたり」
「……ありうる。恐らくはそうだろうな。組織的対抗策を採られては、私たちにできることはない。どんなに私たちが強くても、手勢が足りない」
仲間の家族までは守れない。
俺たちはダンジョンと各家庭に同時存在することはできない。
こういう時に組織に対して、顕著に個人は不利だ。
あんな汚職ギルドには僕たちは負けるしかないのか。
悔しすぎて、何も声に出せない。
「仲間の募集は……諦めるしかないだろう。無理をして攻略をする必要はない。依頼と比べれば小遣い稼ぎだが、ダンジョンへ討伐に赴こう。強くなるに越したことはない」
少し気落ちした感じでエルマージは決める。
僕たちだけでも少しならば戦えるだろう。
でも冒険者の知り合いが少ない自分でも、一人だけ当てがある。
聞くだけ聞いてみようと提案した。
「そこまでガツガツ攻略しないなら、聞いてみないか? ミーニャさんに」
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