第45話 「エルマージの提案 ダンジョン攻略」
それはギルド内で推奨された、僕達への扱い。
パラフィリオが捕まったことで利権を失った奴らが、僕たちに逆恨みしたのだ。
アイツの親族も大勢いるらしい。
あのワルカンもその一人という事らしい。
道理で顔が似ていた。
「私の悪評が広まっている。パラフィリオたちとパーティだったからだ。加えて被疑者でもあるマノワールとの付き合いとも両面で、私の信用を落としているんだ。こんな紙まで作ってな」
「エルフ1の裏切者に、パラフィリオと付き合っていた……なんて酷い!? 絶対あのギルドの人達が書いたことでしょう!!!」
「ああ。だが立証する手立てもないだろうし、僕達がこれをどうにかしようにも手立てがない……」
ニンメイちゃんに手渡された2枚の紙には、とんでもない風評被害が。
ザマーバッカー町での犯罪行為に加担していたという疑惑。
そして犯罪者かもしれないという僕の側について、仲間を裏切った女と記述されていた。
どう転んでもエルマージには、悪評が付きまとうようにしているのか!
この町のギルドは、なんて姑息な真似をするんだ。
ギルド暗部はこちらの味方だとは思うが、汚職隠蔽への監視に手一杯だろう。
少数精鋭部隊だし、ギルド長の護衛についていってしまった者もいる。
僕達の悪評対策までは、手が回るはずがない。
大事な仲間であるエルフの女性は、憔悴している。
気高い彼女には、このような仕打ちは堪えたのだ。
許せない……!
「お前たちまで巻き込むわけにはいかない。信用商売の冒険者が、こんな噂をばら撒かれたらもう終わりだ。私をパーティから追放して、転職先を探してくれ。もう私には金もないし、迷惑料も渡せずすまない」
「なに気弱なことを言ってるんだ君らしくもない。僕までここまで言われているんだ。今更の話だよ。協力し合って潔白を晴らそう」
「マノワール……」
力なく微笑むが、すぐに視線を落とした、
罪のない人なのに、何より彼女はこの町のために働いていたのに……!
なんて醜いことをするのだと、自分のどこにこんな義憤があったのかと驚いた。
それよりもこんなことは止めなくちゃ。
助け合うのが仲間のはずだ!
「わたしはエルマージさんにたくさんお世話になって、申し訳ないからって、お金までたくさん頂いてしまいました! わたしだってエルマージさんを助けてあげたいんです! もうお友達だと思っているんで!」
「本当に嬉しいよニンメイ。だがここまでの悪評を何とか出来る方法なんて……はっ……!」
「何か思いついたのかエルマージ?」
ニンメイちゃんも同じ気持ちでいてくれているらしい。
本当にいい子だ。
エルマージの長い耳は数度動き、そして椅子から立ち上がる。
何かを思いついたようだ。
彼女の声が弾んでいる。
「ダンジョン攻略をすれば、皆文句は言えないだろう!!! Bランクパーティ。それもかなり上澄みのラグニアでも、攻略途中だったダンジョン! それを攻略してダンジョンコアを手に入れればいい! 国からだってお褒めの言葉を頂けると聞く!!!」
「なるほど! その名声があれば、多少の悪評なんて打ち消せる!」
魔物が湧いてくるダンジョンという謎の構造物。
それを破壊すれば、英雄となれるだろう。
その一員となればエルマージの声望は高まり、悪い噂話はなくなるはずだ。
「探索すればレベルは上がるし素材も手に入る。依頼が受けられないなら、ダンジョン内で一定数の魔物たちを間引きして、マノワールの伝手から売って金銭を手に入れられる! 攻略達成できればザマ―バッカー町ギルドの汚職に対しても、口を挟めるようになるだろう! そうすればオーエラも助けることができる!!!」
地道に魔物を狩っていけば、平和を守っている彼女の噂は口コミで広がり、
ダンジョンを踏破すれば、王宮にまで届くようになるだろう。
僕の知り合いの商人に魔物の素材は卸せばいいし、多くの得がある。
これはやるしかないな。
エルマージを助けるためにも頑張るぞ!
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