第44話 「反社会勢力扱いされるマノワールたち」
「追放!? どういうことだ!」
「業務命令違反と、冒険者への恣意的な利益供与が問題だとかで……私も何が何だか……」
「なんだそれは!? 誰に対しての話だ! それは私たちのことか!? おい! 誰がそれを判断した! お前!!!」
「なんでしょうか?」
受付嬢のオーエラさんは、僕たちとの関係性から閑職に回されたようだ。
間違いなく仲がいい僕たちを、不利にするように仕向けたもの。
余りにも卑劣で我欲に満ちた人事異動。
公明正大な気質であるから、当然エルマージは怒りを呈する。
ニンメイの一番近くにいた、神経質そうな若い男性ギルド職員。
しかしとぼけた反応しか示さず、面倒くさそうに視線だけこちらに向けてくる。
「冒険者への恣意的な利益供与とはどういうことだ! オーエラに謂れなき罪をなすり付けて! まさか私達のことではあるまいな!?」
「それについては業務機密かつ所管外です」
「とぼけるな!」
「業務機密かつ所管外です」
一点張りで話にならない。
お役所仕事はこれだから!
「もういい! 依頼を処理してから、詳しく聞く!」
「何が起こっているんだ……なぜこれだけの騒ぎに、ギルド職員は誰も反応しない? 他の冒険者たちも」
「マノワールさん。これってもしかして」
ニンメイちゃんは何かを考えたようだ。
この左遷騒動について、誰も反応しないとは絶対に可怪しい。
その瞬間、更なる怒声が響いた。
耳を抑える僕たち二人。
エルマージの声だ。
「どういうことだ! ちゃんと魔物たちは討伐し、素材を持って来たはずだぞ!」
「あなた方の依頼は受理しないことになりました。その依頼は期限切れです。ごめんあそばせ?」
「なぜだっ!」
「規則ですので」
オツボッネだ。
討伐依頼をこなしても、報酬を渡さないらしい。
規則の一言で追い返される。
何が起こっている?
「何の規則だ!? それがわからないことにはお前の上に直接問いただす!」
「はぁ……マノワールさんの嫌疑は晴れておりませんので。それに仮にパラフィリオさんが罪を犯しているならば、エルマージさんも共謀の疑いがありますよね? 反社会勢力には今後も一切の取引はできませんので、お引き取り下さい」
「なにっ!? 私たちは潔白だ! だからこそギルド長に密告したんだ! 何よりマノワールは完全に被害者で、それに何の嫌疑をかけるというんだ! すでに私たちの身の自由はギルド長から保証されているというのに!?」
にやつきながら舐るような口調で、僕達を犯罪者扱いする年配のギルド受付嬢。
オツボッネはここまでの策謀を弄するまでに、僕達を排除しようとしているのだ。
「その報告嘘よね? 口では何とでもいえます。あと、そうそう。勝手に依頼に行っても、ギルドは報酬を払えませんよ。我々は公的機関であり、国家に仇成す可能性が高い人物には関わる事すらできませんので」
「ふざけるな! そんな暴論が通るものか!」
「規則は我々が定めます! そんなわけで依頼は没収です! 残念でしたね!」
厭らしい口調で背を向けたオツボッネ。
エルマージはそれを睨みつけるしかなかった。
これを止めることが出来るギルド長は不在。
なんて間が悪いんだ。
「どどどどどうしましょう! マノワールさん達まで」
「君のせいじゃない。とりあえずギルド幹部に面会を申し込んで、それでも駄目なら直談判するしかないか。」
「そうするしかなさそうか。直談判しかなさそうだけど」
他の受付の人に願うも、先ほどの騒動を聞いていたからか。
ギルド幹部への面会など、あの手この手で許してくれない。
それどころかまともに相手すらされなかった。
「たかが一パーティにそんな便宜を図れるわけないじゃない。帰った帰った」
「元とは言えBランクパーティだぞ!? その報告以上に重要な業務がどこにある!?」
「何だねその口のきき方は? このゴミは返すから、散ってくれ。仕事の邪魔だ」
書類をわざとグシャグシャにして渡す。
眼鏡姿の受付の男は、ほくそ笑んだ。
余りの仕打ちに烈火のごとく怒るエルマージ。
Bランク冒険者までにこんな仕打ちをするとは、普通じゃない。
なぜこのようなことを嫌がらせでする?
やはりこのギルドはパラフィリオ関係もあって、腐っていたのだろう。
「全く何の騒ぎだ? 大方そのエルフが小煩く喚いているのだろうが」
「これは支局長。お疲れ様です」
「ワルカン! オツボッネというギルド職員は知っているな! ギルド幹部として、あの乱行を何とかしろ!」
「なるほど。私たちは忙しくてね。そこのマノワールとやらの調査のため、すべてのギルド幹部は、面会を謝絶しているんだ。話は終わりなら、帰ってくれたまえ」
エルマージがワルカンと呼んだ、禿げ頭のギルド幹部らしき中年男。
見覚えがあるような顔立ちで、意地悪く僕たちを追い出そうとする。
「ギルド長がこれを聞いたらどうなるか、お前はわかっているのだろうな!?」
「勘違いするなよ。お前たちのような社会のクズは、いくらでも代えはいる」
「この国に魔物たちが溢れかえっていることを知っての言葉か! どこまでこのギルドは腐っている!?」
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