第37話 「ギルド長の作戦」
僕たちは秘密裏に準備をして、ザマーバッカ町ギルド長に面会を希望した。
エルマージさんとは面識があったようで、スムーズに動いた。
流石はこの街唯一の、Bランクパーティのメンバーだ。
このダンディな髭が特徴の男性は、事態を重く見ているようだ。
魔物が多く出現している状況下で、高ランク冒険者の殺害未遂疑惑は看過できないとのこと。
「状況は理解した。エルマージからもっと早く、話を聞いておくべきだったな。お前の情報が上がってこなかったところを見ると、ギルド内部も腐っているらしい。お前の冒険を邪魔しまいと連絡を控えていたことが仇となったか」
「今話していて思ったが、パラフィリオが私をパーティに入れたのも。出世してギルド長となったお前と、私が知り合いだったからかもしれん。連日冒険続きで、お前と話す余裕などなかったからな」
「エルフらしい口ぶりだ。数か月も話していない状態も、そう疑問に思わないのだから……となるとますます計画的犯行である疑いが強まった。マノワール殿たちが受けた数々の性的暴行も、絶対に捨て置けない。今の時代でそれを放置することは、ギルド全体の信用問題につながる」
彼らの言葉を聞くに、二人が会う事も意図的に阻害されていたらしい。
本当に用意周到な奴だ。
だから街をここまで腐らせることができたのだろう。
ギルド長は国家から各ギルドへ派遣される存在。
過去にも別の場所でこのようなことがあったのかもしれない。
「パラフィリオを衆人監視の場で詰問しよう。言い逃れができなくなるはずだ。馬脚を現した時に捕まえられるように、警備体制を万全にし。魔物の対策会議をするとでも名目を立てようか」
「流石の奴もマノワールが生きて帰ったなどとは思わん。のこのこ出てきて罠に嵌ってくれるだろうよ。私たちは今まで通り生活する。後は頼んだ」
「ああ。任せたまえ。マノワール君も気を付けてくれ」
「は、はい!」
エルマージさんはにこやかに策謀を練り上げている。
鬱憤を晴らせる機会がやってきたのだから、
そうしてXデーがやってきた。
パーティのリーダーとして戦闘員最強格の男は、一人でやってきた。
ここで冒険者人生が終わるかもしれないというのに、余裕を見せている。
そこまでコイツの計画は順調なのだろう。
だが俺という存在は計算に入っていないようだ。
「おうギルド長! ちゃっちゃと終わらせて稼がせてくれよ!」
「うむ。時間が惜しい。掛けたまえ」
「失礼するぜ」
大股を開いて腕組みしながら座る。
それだけの権威と実力があるから、許される行動だ。
誰も咎めたりなどしない。
それどころか媚びを売る始末。
「話は簡潔にしていこう。事故で行方不明となっていたマノワール君だ。彼は事故ではなく、君によって突き落とされたと証言している。何か申し開きはあるかねパラフィリオ?」
「ご紹介にあずかりました、パラフィリオとパーティを組んでいたマノワールです」
「なっ!? マノワール! お前生きて……!?」
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