第29話 「パーティ追放処分という脅し」
「――――――ったく足を引っ張りやがってオッサン野郎が」
「面目ない」
毒づいてくるパラフィリオ。
今回の冒険で僕は、あまり魔物を倒せなかったからだ。
動き回って自宅警備員としての真価を発揮できていないし。
少しは強くなったが、まだまだ彼らとは差がある。
自宅外でもCランク並にはなったと、ミーニャさんから太鼓判を押されたのに……
「よさないか。大体魔法職もできる人に、前衛までやらせるのは酷だろう」
「土魔法みたいなトロい魔法なんぞ、前衛もしなきゃ割に合わないだろうがっ! しかも大したことないスキルレベルでよぉ! ちっとは数少ない長所ってもんを、生かそうとしろよ無能が!!!」
罵詈雑言を浴びせかけるパラフィリオに、エルマージさんは怒ってくれている。
僕は自分が悪いことを理解しているし、無言で聞くだけだ。
だがもう慣れてきた。
無視すればいい無視。
しかしニンメイちゃんは人殺しの目で睨んでいる。
「彼らは冒険者として活動したばかりの有望株で、まだ成長中だ。ここで育てないと、大きな魚を取り逃すぞ」
確かにニンメイちゃんの成長は目を見張るものだ。
斥候としてさらなる進化を、今までの冒険で遂げた。
忍者という職業にクラスアップしたのだ。
これはとても珍しいもののようで、ますますパラフィリオは執着を強めてしまった様子だ。
物凄い感知性能と、戦闘もこなせる強職業だからな。
「はっ! エルフ様は気長でいいねぇ! 俺がジジイになる頃にこいつらは見込みがあるくらいになるってか? その時にゃそのオッサンはくたばってるっての!」
「お前―――――――」
ニンメイちゃんが据わった目で、腰に装備した暗器に手を伸ばした。
彼女は堪忍袋の緒が切れると、豹変するように性格が冷徹になることが最近分かった。
ここで同士討ちになるのはマズい。
そこにエルマージさんが割って入る。
危なかった。
この子は意外とかなり気が短いから、助かった。
「いい加減にしろパラフィリオ! なんでいつも喧嘩っ早いんだ! だから私達と組んでくれる人たちがいないんだろう!」
「うるせぇっ! 無能は要らないんだよ!」
「その結果、誰も着いてくる者がいなくなったんだろう! 恥を知れ!」
二人の口論がヒートアップする。
僕如きでは口を挟められない。
何かを思いついていたのか、パラフィリオは厭らしい笑みを浮かべた。
そして僕に指を突きつけて、宣言する。
「ならこうしてやるよ! 次に行くダンジョン攻略でこいつが結果を残さなかったら追放だ!」
「ダンジョン攻略ですか?」
僕は聞き返す。
存在の概略くらいは聞いたことはあるけど……
そこにエルマージさんの抗議の声が上げられた。
「なっ!? そんなものは無謀だ!? Bランクはないと結果を出すことなど不可能!?」
「だーかーら。俺らはBランクだって言ってんだろ? そんなステータスが低い弱者オッサンは戦力に要らねぇんだよ。仕事の話で、肉便器なら別だがな」
そう言ってニンメイちゃんの肩を強引に組む。
パラフィリオは厭らしい笑みを浮かべて、嫌がる彼女に最低なことをした。
「安心しやがれ。ニンメイはタップリ可愛がってやるからよぉ。死ぬほど気持ちよく甚振り合おうぜぇ……」
下劣な発言と共に、ニンメイちゃんの胸部を摘まむように抓った。
とても痛そうに身を捩るメイド服の忍者の女の子。
「いやっ! 痛い! おっぱい千切れちゃう!?」
「へへへ……小娘の未成熟な肌も、偶にはいいぜぇ……腐りかけの方が好みだが、育ちかけも乙なもんだぁ……」
「やめろぉぉぉぉぉっっっっっ!!!」
「うるせぇぞオッサンが! コレでお前を背後から刺し犯すぞ! くたびれたオッサンオナホの刑だ!!!!!」
「ヒィッッッ!?」
僕のことを見ると、彼の下半身はたちまち盛り上がり……
止めようとして駆けだした脚は竦みあがって停止し、思わず尻を抑えて悲鳴を上げてしまう。
何という男だパラフィリオは。
「ぼ、僕にも後で貸してほしいんだな! できれば両方! フヒヒ!」
「ニンメイを離せ下衆が! 実力行使も辞さないぞ!」
「おいおいムキになんなよ。ジョークだろ仲間同士のよぉ」
エルマージさんは激怒して、剣を抜いてパラフィリオに突き付けた。
女性として許せないのだろう。
パーティの太った男は、気色悪い視線を僕たちに送ってくる。
可哀そうにニンメイちゃんは涙目でこちらに駆けて、抱き着いてきた。
最低な男に狙われた被害者同士、恐怖と嫌悪からお互いを守るように抱きしめ合う。
こんな目にあっては男が怖くなってもおかしくないだろうに、彼女は僕しか信用できる人間がいないのだ。
「あなたみたいな下衆、こっちからお断りです! あなたみたいなのが町の筆頭パーティだなんて信じられない!」
ニンメイちゃんに粉を掛けるが袖にされるパラフィリオ。
だが余裕を持った笑みで、むしろ面白がっているようだ。
それはニンメイちゃんが僕の後ろに隠れて、涙声混じりに強がったからだ。
余程に怖かったのだろう。
僕も怖かった。
許せない。
何を企んでいるのかパラフィリオは、やけにニマニマとしていたのが印象的だった。
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