第28話 「獣人師匠ミーニャ」
今後の方針をニンメイちゃんと話し、早めに休んで次の日を迎える。
エルマージさんから武具を受け取り、それらの感触を確かめる。
凄い代物だ。防具も寸法を合わせれば、きっと戦力アップになるだろう。
偶然にも彼女の言っていた受付嬢とは、オーエラさんのことだったらしい。
彼女は優れた方を教師に付けてくれたようで、今は早速ギルド所有の修行場にいる。
「この度は依頼いただきありがとうございました。武術指導を担当させて頂きますミーニャです」
「マノワールです。よろしくお願いします」
「ニンメイと申します。本日はよろしくお願いします」
年若い獣人の女性だ。
ニンメイちゃんより数個年上くらいだろう。
淡い水色の腰まで届くツインテール、色素の薄い青い目。
日焼けした肌と露出の多いコーディネート。
猫獣人の目はまん丸なものが多いが、ミーニャさんのそれは若干鋭い。
釣り目というわけではないが、服装も相まって今時のギャルのような気の強そうな印象を受ける。
しかし物腰穏やかで、几帳面な口調も好印象だ。
おへそが出ていて目に毒だ。
ホットパンツから大きく露出された太ももが見える。
獣人の人は皆だいたい、こんな大胆なファッションだから視線の送り方に困るんだよな。
そこまで大柄ではないがスタイルは均整がとれていて、かつ非常に豊満である。
立ち方もしっかりしているように素人目でもわかるし、鍛え上げられた証拠だろう。
「魔法学校に招致されておりますので、それまでの期間となりますが担当させて頂きます」
「これは心強い。頼りになる人に依頼できたね」
「はい!」
「お褒めに与り恐縮です」
彼女は魔法学校教師として迎えられるらしい。
この獣人女性はとても優れた教育者という事なのだろう。
この辺りではお目にかかることができないくらいの、最高峰のエリートだ。
とても丁寧な方だし、好感に値する。
良い方を紹介してくれてよかった。
「早速ですが訓練メニューを作りたく思います。いきなりですがお二人とも、私と組手をお願いできますか?」
「わかりました。胸を借りさせていただきます」
「はい! 頑張ります!」
護身術を教わるためにも、僕たちの実力の把握は必須。
どんなところが弱いか、鍛えなくてはならないか知らなければ。
そんなこんなで実践的な組手を行った。
ド素人の動きだと思うけど、どうだろうか?
「とってもお上手です! この短時間でわかるくらいに凄いですニャ!」
「にゃ?」
「……はっ!? すみません!」
「いえ。かわいらしかったので、つい」
「かわいいって……うぅ……でもでも! マノワールさんは魔法職なのに、ここまで動けるのはすごいです!」
興奮したようにミーニャさんは猫耳を動かしている。
そして語尾に獣人特有の訛りが出ていた。
モジモジしていたが、微笑ましそうに見ていたら話題転換をした。
別に訛りくらい気にしないけど、本人たちにとっては恥ずかしいものなのかな?
丁寧な方だが、素の性格は可愛い感じでもあるらしい。
「マノワールさんはアタッカーよりは、タンクに向いているかと。魔法職の方にはどうかとは思いますが、防御力を上げておくに越したことはございません」
そうなのか。まぁ剣を振るセンスよりは、盾でも持って守る方が向いているかもな。
そして……よし! 体術スキルも身についた。
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【マノワール・オッサツイホ】
職業:自宅警備員
Lv :39
HP :378/479
MP :355/377
攻撃力:801(×3) 実数値267
防御力:1098(×3) 実数値366
魔法力:795(×3) 実数値265
素早さ:744(×3) 実数値248
スキル
数学lv34
科学lv37
社会学lv24
礼法lv26
芸術lv17
舞踏lv15
製作lv35
建築lv42
土魔法lv28
投擲lx19
剣術lv13
体術lv1
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レベルは低いから、本来は大したことはない効果しかない。
でも僕には自宅警備員の職業がある。
倍率から考えて、かなりの戦力アップが見込めるぞ。
「捗っているようだな」
エルフの女性が入って来る。
そしてミーニャさんに視線を向けると、少し意外そうな顔をした。
「想定はしていたが、教師とはお前だったか。彼らは私の新しいパーティメンバーなんだ」
「まさかエルマージとパーティメンバーだったなんて、道理で凄いわけにゃ!」
どうやら知り合いだったようだ。
親しい間柄で砕けた口調となっている。
世間は狭いな。
でも上手く付き合えそうだから、よかった。
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