第240話 「捕食」
飢えていた時、幼い頃に行き倒れていた時に助けてくれた、変なお姉さん。
あの頃のままの美しい笑みを浮かべていた。
「自宅警備員なんて空前のゴミステ人間を助けたのは、気まぐれだったけど。運命とは数奇なもの」
「そういえば僕が魔王様を守ったことにもなりますか。なんだか面白いです」
あの頃は守られるだけだった僕。
でも守れるようになったのか。
僕一人じゃ絶対に勝てなかったけど。
でもみんなの力で勝てたんだ。
「私より強いオスなんて見たことなかった。守ってもらったのは初めて」
「守れたなら光栄でございます」
わざとらしく優雅に腰を折る。
少しでも恩返しができただろうか?
彼女は僕のことをじっと見ていた。
何だろうか?
顔に何か着いているかな?
その時、彼女は唐突に口にしたのだ。
妻がいる身に、投げかけてこないと思った言葉を。
「マノワール。私の番になれ」
「はい?」
耳を疑った。
僕に夫になってほしいという事か?
何故いきなり? なんで僕?
そして彼女は僕を押し倒して、腕を掴んで跨ってきた。
物凄い力と気迫で怖い。
「力つよっ!? お姉さん痛いよ!!!」
「おねえさん……ゴクリ♡ 興奮させてくれる♡ 捕食してやる♡」
「いやぁぁぁぁぁっっっ!?!?!? 僕には妻がいるのにぃぃぃ!?!?!?」
「人間の王と魔物の王が結婚すれば、統治を一元化できる。なぜ気が付かなかったのか。42歳の子どもを犯すのは背徳感がある♡ あの時のショタを食い散らかしてやる♡」
舌なめずりをする捕食者。
ニンメイちゃんと同じくらいの年頃に見える彼女がすると、ひどく淫靡で倒錯感がある。
僕は食べられてしまうのだと想起した。
「そんな表情をされるとますます疼く。他の女からお前を奪って、私を一番にさせてやる」
彼女と話している時に自宅を作るべきだった。
僕はマオにのしかかられて、無理やり―――――
「―――――妻たちに顔向けができない。今更だけどさぁ……」
「こうなるのではと前から思っておりましたし、なんなら私から提案しておりましたよ」
「諦めろマノワール。セインセスもこう言っている」
「お姉さんがそれ言います!?!?!?」
それからしばらく時が経ち、妻の一人であるセインセスが自宅にて語り出す。
彼女はそんなことを考えていたのか。
わかっていたなら言ってくれればいいのに……
マオお姉さんは僕の身体に猫のようにしがみつきながら、僕の顔を見上げて笑った。
なんて女性だ。台風みたいに人を無理やり巻き込んでくるな。
あれから時が経ち、素敵な変化が我が家にはいくつも訪れた。
家族が増えるのだ。
妻である彼女は愛おしそうに微笑みながら、腹部を撫でていた。
「時間の問題だって思ってましたからね」
「でもこれで最後ですよ!!! もう週に一人で割当もできなくなっちゃったんですから!」
妻は9人となった。
僕なんかでは1人の妻でも捨てられてもおかしくないのに、夫婦関係を築けているのは皆が素敵な女性だからだ。
我慢を強いてしまっている事には、申し訳ない限りだが。
「でもようやくゆっくり過ごせますね」
「ああ。これが夢見ていたスローライフだ」
明日完結いたします。
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