第237話 「停戦」
タフモンオスたちと背を向け合う僕達4人。
どっと体力が消耗したことを実感した。
重怠い体を何とか動かして、歩を進める。
あれだけの激戦は初めてだった。
年齢的にも、もうしたくはない。
魔王様は僕に肩を課し、玉座へと向かう。
セインセスが僕らを回復しながら付き添う。
聖女としての彼女の癒しの力は、僕達の身体を瞬時に大きく回復させた。
「トータルマスヒール。体調は大丈夫ですか?」
「うん。ありがとうセインセス。お姉さん。よかったんですか」
「守れるものだけしか守れない。本当は戦争なんてしてほしくないけれど、やりたいという奴は止められない」
お姉さんはどこか落ち込んだような雰囲気で、声を落として語る。
この城には思い出が残っているはずだ。
単なる権威としての象徴ではなく、前魔王である父の形見でもあるのだから。
魔王の地位を失い、戦争を止めるという目標も頓挫した。
本当は同族に情が深い彼女。
タフモンオスたちとすら、戦いたくはなかったのだろう。
あれだけ強い彼女。
最初から一匹ずつ粛清していれば済む話だったのだから。
「結局多くを取り溢した。お前がいなければどうなっていたことか」
「それでも守れたものはあります。僕もその一人ですよ」
「そうだな」
彼女の瞳は覇気を失っていない。
ここからでも再起を図る気でいたのだろう。
お姉さんは意を決したように、歩調を速くして進んだ。
「行こう。私達にはまだできることがある」
「魔王様」
「苦労を掛けたオキャルン。ゆっくり暮らそう。私たちの新しい楽園で」
おそらく長年の付き合いだったマオお姉さんとオキャルンさん。
僕には踏み入れられない何かがあるのだろう。
でも僕だって深い付き合いだ。
手伝いくらいしかできないかもしれないが、それでもやれることを全力でやりたい。
「お姉さん。僕と共に弱き魔物たちを守りましょう。人間もエルフも獣人も関係なく幸せになれる、そんな理想郷を作りましょう」
「うん。お前とならできる気がする。きっとできるよ」
記憶のお姉さんとは違う、青い肌と大きな角。
でも笑い方はあの頃と同じで。
僕は彼女の夢を守るんだ。
それが恩の返し方で、今一番やりたいことだから。
「私と共にいてくれてありがとうマノワール」
今週日曜日に完結予定となります。
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