第231話 「ニンメイたちの本心」
やっぱハーレムってどう考えても荷が重い。
相当コミュ力あって、女性の扱いに手慣れてないと無理だな。
「私はドMなので大丈夫です!」
「私もどっちもイケるらしいからな。人間と過ごす時間が少ないのは元より覚悟の上だ」
「これが僕の罪か……選択したのは僕……僕が君たちを生涯をかけて愛そう……」
頬を赤らめて、上気した表情で息を荒げている二人。
オーエラさんとエルマージは業の深すぎる発言をしながら、喘いでいた。
僕が彼女たちをこうしてしまったんだ。
自責の念が堪えない。
一生をかけて責任を取らねば。
「私は……こんな女ですから……少しでも構って下されば……それだけで幸せです……」
「私も苦しんでいた頃のお兄ちゃんの気持ちを想うと、死にたくなるからな。自分が情けなさ過ぎて、お兄ちゃんに幸せでいてもらえるだけで嬉しい。もう夜に自死を願う事もないから、全然マシだ」
「わたしは一番に成れないのも、子どもたちに先立たれるのも慣れているので~」
「重すぎるぅぅぅ~~~!?!?!?」
セインセスとコックロが目を伏せ、曇った表情で自虐している、
オキャルンさんすら悲しげな笑みを浮かべて、己の境遇を吐露していた。
そんなことを思わせちゃいけない。
僕達は家族となった。
傷ついているなら、悲しんでいるなら、どんな形でも支え合うべきなんだ。
「限りある生で限りある時間しか、僕達は過ごせない。でもその中で誰よりも充実したと信じられる時間を送れるように、僕は全力を尽くしていくと誓うよ。君たちを幸せにして見せる」
誠心誠意、僕は彼女たちに想いを伝える。
そうでないと誠実ではないし、それが悲しませてしまった当事者としての責任だから。
はぁ……こんなことを言わせてしまうのは……
それは皆を寂しがらせてしまっているからだ。
絶対に死ねない。
今まで見たいな不摂生はできないな。
みんな揃って長生きできるように、色々な意味で頑張らねば。
「わたしも……本当はマノワールさん、わたしのお母さんのことが好きだったんじゃないかって思うと、胸が苦しくなります」
「ニンメイちゃん」
「昔聞いたんです。わたしがマノワールさんのことが好きだって、お母さんに打ち明けた時に。お母さんはマノワールさんのことが好きだったけど、逃げちゃったって。昔の頃のマノワールさんのことを想って、悔やんでました」
「…………」
彼女の母が、僕に結婚を申し込んでくれた人。
ニンメイちゃんのように、どうしようもない僕を慕ってくれていた。
素敵な人だから突き放した。
彼女に負担をかけるだけの関係になることが見えていたから。
僕は自宅い警備員の真価に気づくまで、本当に余裕がない男だったんだ。
「今はお父さんと幸せに暮らしてますけど、マノワールさんの話をすると辛そうな顔をしてて。それからマノワールさんの話はしないようにして……お母さんのあれはきっと後悔していたんです。マノワールさんと一緒に成れなかったことではなく、マノワールさんを救えなかったことに」
ニンメイちゃんの母親。
若き頃のマノワールという分を弁えない無能のクズなんかに、優しくしてくれた人。
あの人は今も僕を気遣っていてくれたのか。
嬉しさ、虚しさ、悲しみ、情けなさ、絡み合う複雑な感情。
過去の所業は今でも僕を掴んで引き離さない。
己の罪科はいつまでも追い続けてくるから、人は後悔するのだろう。
「だけどわたしはマノワールさんを、本当の意味で分かってあげたい。あなたの弱さを知っているから、過去の傷に寄り添ってあげたい。わたしのことを一番好きになってもらいたい。本当は他の女性といるのは嫌です。憎たらしくすらなります。多分これからもそう思います。それでも一緒に居たいんです。あなたの弱さごと、丸ごと受け入れたい」
当たり前の感情。
誰もが誰かの一番になりたがる。
きっと僕は悲しげな顔をしているだろう。
なぜなら僕は両親の一番になりたいがべく、必死に幼少期を過ごしていたのだから。
それは今も同じで、愛情に飢えている子ども染みた男。
だけど誰からも嫌われたくないから、誰かを選べない優柔不断な男。
多分ニンメイちゃんも僕の気持ちをわかっていた。
彼女は至らない僕に、彼女だけを一番にできない僕の弱さに、本当の意味で寄り添ってくれているのだ。
「だって好きだから」
どこか悲し気に笑うニンメイちゃん。
僕はずっと彼女にこんな表情をさせてしまうのか。
そして皆にも。
沢山言いたいことがあった。
泣きそうになるくらい感情が入り乱れた。
彼女の心は、過去の僕と同じだった。
申し訳なさ過ぎて、惨めすぎて、それでも皆に嫌われたくない醜い自分。
嗚咽が漏れそうになる。
何とか言葉を絞り出した。
僕も彼女と同じ気持ちだからだ。
この言葉を伝えたいんだ。
「愛しているよ」
僕は彼女を抱きしめて、本心を告げた。
そして彼女は――――――――
そんな平和な日々も、つかの間のひと時で。
運命は濁流のように僕たちを引きずり込んでいったんだ。
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