表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

231/241

第231話 「ニンメイたちの本心」




 やっぱハーレムってどう考えても荷が重い。

 相当コミュ力あって、女性の扱いに手慣れてないと無理だな。






「私はドMなので大丈夫です!」


「私もどっちもイケるらしいからな。人間と過ごす時間が少ないのは元より覚悟の上だ」


「これが僕の罪か……選択したのは僕……僕が君たちを生涯をかけて愛そう……」


 頬を赤らめて、上気した表情で息を荒げている二人。

 オーエラさんとエルマージは業の深すぎる発言をしながら、喘いでいた。

 僕が彼女たちをこうしてしまったんだ。


 自責の念が堪えない。

 一生をかけて責任を取らねば。






「私は……こんな女ですから……少しでも構って下されば……それだけで幸せです……」


「私も苦しんでいた頃のお兄ちゃんの気持ちを想うと、死にたくなるからな。自分が情けなさ過ぎて、お兄ちゃんに幸せでいてもらえるだけで嬉しい。もう夜に自死を願う事もないから、全然マシだ」


「わたしは一番に成れないのも、子どもたちに先立たれるのも慣れているので~」


「重すぎるぅぅぅ~~~!?!?!?」


 セインセスとコックロが目を伏せ、曇った表情で自虐している、

 オキャルンさんすら悲しげな笑みを浮かべて、己の境遇を吐露していた。


 そんなことを思わせちゃいけない。

 僕達は家族となった。

 傷ついているなら、悲しんでいるなら、どんな形でも支え合うべきなんだ。






「限りある生で限りある時間しか、僕達は過ごせない。でもその中で誰よりも充実したと信じられる時間を送れるように、僕は全力を尽くしていくと誓うよ。君たちを幸せにして見せる」




 誠心誠意、僕は彼女たちに想いを伝える。

 そうでないと誠実ではないし、それが悲しませてしまった当事者としての責任だから。


 はぁ……こんなことを言わせてしまうのは……

 それは皆を寂しがらせてしまっているからだ。




 絶対に死ねない。

 今まで見たいな不摂生はできないな。

 みんな揃って長生きできるように、色々な意味で頑張らねば。






「わたしも……本当はマノワールさん、わたしのお母さんのことが好きだったんじゃないかって思うと、胸が苦しくなります」



「ニンメイちゃん」



「昔聞いたんです。わたしがマノワールさんのことが好きだって、お母さんに打ち明けた時に。お母さんはマノワールさんのことが好きだったけど、逃げちゃったって。昔の頃のマノワールさんのことを想って、悔やんでました」



「…………」



 彼女の母が、僕に結婚を申し込んでくれた人。

 ニンメイちゃんのように、どうしようもない僕を慕ってくれていた。


 素敵な人だから突き放した。

 彼女に負担をかけるだけの関係になることが見えていたから。

 僕は自宅い警備員の真価に気づくまで、本当に余裕がない男だったんだ。




「今はお父さんと幸せに暮らしてますけど、マノワールさんの話をすると辛そうな顔をしてて。それからマノワールさんの話はしないようにして……お母さんのあれはきっと後悔していたんです。マノワールさんと一緒に成れなかったことではなく、マノワールさんを救えなかったことに」


 ニンメイちゃんの母親。

 若き頃のマノワールという分を弁えない無能のクズなんかに、優しくしてくれた人。

 あの人は今も僕を気遣っていてくれたのか。


 嬉しさ、虚しさ、悲しみ、情けなさ、絡み合う複雑な感情。

 過去の所業は今でも僕を掴んで引き離さない。

 己の罪科はいつまでも追い続けてくるから、人は後悔するのだろう。






「だけどわたしはマノワールさんを、本当の意味で分かってあげたい。あなたの弱さを知っているから、過去の傷に寄り添ってあげたい。わたしのことを一番好きになってもらいたい。本当は他の女性といるのは嫌です。憎たらしくすらなります。多分これからもそう思います。それでも一緒に居たいんです。あなたの弱さごと、丸ごと受け入れたい」




 当たり前の感情。

 誰もが誰かの一番になりたがる。


 きっと僕は悲しげな顔をしているだろう。

 なぜなら僕は両親の一番になりたいがべく、必死に幼少期を過ごしていたのだから。


 それは今も同じで、愛情に飢えている子ども染みた男。

 だけど誰からも嫌われたくないから、誰かを選べない優柔不断な男。




 多分ニンメイちゃんも僕の気持ちをわかっていた。

 彼女は至らない僕に、彼女だけを一番にできない僕の弱さに、本当の意味で寄り添ってくれているのだ。






「だって好きだから」




 どこか悲し気に笑うニンメイちゃん。

 僕はずっと彼女にこんな表情をさせてしまうのか。

 そして皆にも。


 沢山言いたいことがあった。

 泣きそうになるくらい感情が入り乱れた。

 彼女の心は、過去の僕と同じだった。




 申し訳なさ過ぎて、惨めすぎて、それでも皆に嫌われたくない醜い自分。

 嗚咽が漏れそうになる。

 何とか言葉を絞り出した。


 僕も彼女と同じ気持ちだからだ。

 この言葉を伝えたいんだ。






「愛しているよ」




 僕は彼女を抱きしめて、本心を告げた。

 そして彼女は――――――――




 そんな平和な日々も、つかの間のひと時で。

 運命は濁流のように僕たちを引きずり込んでいったんだ。










面白い、または続きが読みたいと思った方は、


広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価


またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


一日一回投票いただけると励みになります!(クリックだけでOK)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点]  マノワールのとことんまで不器用で誠実さが克明に描かれていて、彼の覚悟のほとがうかがわれます。  つまり、次にはマノワール一家が一丸となるような試練が……次話が楽しみです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ