第23話 「ラグニアへの勧誘」
エルマージさんは表情を引き締めて、仕事の顔になった。
先ほどの一件から、僕達の実力と人格についてアタリをつけたようだ。
「私は結末を見ただけだが、先ほどの一件の大筋は大体読めている。アイツらは実力はあるが、粗暴で問題のある男たちだったからな。能力だけではなく、人格に優れた君たちを是非スカウトしたい」
「お褒め頂きありがとうございます。私たちは冒険者としては、日が浅く、それにある事情があるのですが」
「冒険者として日が浅い? 年期が長い戦士のように見えたが。それに事情とは?」
「はい。それは―――――――」
僕たちは自分たちの置かれた状況について説明した。
エルマージさんは少し難しい顔をして、顎に片手を添えて黙って聞いていた。
「――――――なるほど。次の仕事までのつなぎという訳か。その能力は惜しいが、こんな商売だ。あんな暴力沙汰もあるし、やりたくない仕事ならば離れた方がいいだろう」
「ええ。それでも私たちをスカウトしたいのでしょうか?」
「そうだとしても短期でも入ってほしい。その間に新規メンバーを探せばいいからな。君たちとしても悪くない話だと思うが、どうだろうか?」
彼女の提案について考え込む。
有名パーティに加入するならば実入りもいいだろう。
それに話のネタになるかもしれないし、次の就職にも好影響があるかもしれない。
単純にコネもできるから、いい話なのかも。
「足を引っ張ってしまうかもしれませんが、それでもいいなら。ニンメイちゃんはどう思う?」
「契約内容次第でしょうか。利益は山分けなのですか? それとどのくらいの難易度の依頼をするかにもよりますね」
そうだな。
利益になるかどうかが、まず第一だ。
僕たちも危険が伴う事は避けたい。
「我々のレベルとなると貴族や商人の護衛依頼。難度の高い討伐依頼の二つが主眼となる。利益だが、パーティメンバーで均等に割っても、一人で数か月は暮らせる分にはなるだろう」
「そこまで儲かりますか!」
流石は天下のラグニア。
儲かり方も半端ない。
護衛ならば危険は少なそうだ。
このパーティにケンカを売る盗賊などはいないだろうし。
だが魔物との戦いはネックだな。
強そうな魔物と戦うことになるだろう。
俺なんて土魔法で作った自宅がなければ、避けられもしないだろうし。
「依頼内容によるとしか申し上げられませんね。魔物との戦いで。昔聞いたワイバーンとの闘いなんて、とても私には務まりそうにはありません」
「ははは! Bランク相当の魔物なんて、そうそういないさ! 私の長い人生でも単独Bランク認定、それもAランクに近いような魔物が出現されるのは、こんな街の近くじゃそうはいない」
「確かにそんなお話は聞きますが、お断りできる権限は頂けるのでしょうか? 最近は魔物が多いと聞きますし」
「私たちのパーティは緊急事態の際には、強制召集されるからな。国軍がくるまでの足止めに使われるだろう。その時は申し訳ないが、犯罪者とされないためにも着いて来てもらうしかない。負担は極力少なくさせるように、私の名に誓うが」
「それは……」
俺とニンメイちゃんは顔を見合わせる。
ちょっと雲行きが怪しくなってきた。
簡単に抜けられるものなのかな?
離脱を防ぐために金を積まれても断ったら、恨まれるかもしれないし。
それほどに斥候は重要なんだ。
それを考えれば、僕達は……
「申し訳ないですが、お断り―――――――」
「―――――――おい! 何やってんだ遅いじゃねぇか! カス依頼取って来るのに何分かかってんだ!」
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