第22話 「エルフの魔法使い」
「まったく嫌な人がいたものですね!」
「う、うん」
いつも通りの様子に戻ったが、ニンメイちゃんが怖い。
それほどに女性としては許せない事だったのだろう。
「でも危ないことをしてほしくはないよ! 君が心配なんだ。本当に気を付けてほしい。ニンメイちゃんの身に何かあったら、僕は平静ではいられないよ」
「そんな……ポっ♡」
僕が本心からニンメイちゃんの身を案じていると、照れたのか頬を赤らめていた。
ちゃんと聞いてくれているのかな……
「あの! 助けて頂いてありがとうございました!」
「いえ。ニンメイちゃんのおかげです」
「わたしが突っ走っちゃっただけなので……お礼ならマノワールさんに!」
「お二人ともいなければ、どうなっていたことか。本当にありがとうございました。あの! このお礼にお食事でも―――――」
律儀に何回も謝るオーエラさん。
僕はほとんど何もできなかったから、恥ずかしい限りだ。
ニンメイちゃんがいなければ、本当に危なかった。
そんな折に、また背後から声が聞こえてきた。
だが女性の声だ。清涼感のある、人を惹きつけるような力強さがある。
「―――――さっきの隠形、見事だった」
エルフだ。
美麗なる身のこなしと、細身の体つき。
人間とは思えないほどに優れたスタイル。
辛うじて身長は僕の方が高いが、並んだら足の長さの差が一目瞭然だろう。
何より特徴的なのが、その長い耳。
明るい黄緑のロングヘアから、人間という種族とは違う特徴が覗いている。
「そちらの御仁も、中々の身体能力だ。パーティなのかな」
「わたしなどは大したことはありませんが、二人でやってます」
ニンメイちゃんは少し緊張しながら返答する。
エルフなんてめったに見ないからな。
気難しい種族だと誰もが知る存在だし。
謎のエルフ女性は、何事かを思案して頷いている。
そして僕たちの査定をするような言葉を投げかけてきた。
「君たちはDランク並は少なくともあると思う。私たちラグニアが言うのだから、間違いはない」
「ラグニア!?」
「ラグニア? なんでしょうか?」
ニンメイちゃんは知らないみたいだ。
僕の驚きようを見て、そちらに気を取られている。
「この町で一番強いパーティだよ! こんなところで会えるなんて! まさかあなたはエルフの魔法使いとして有名な、エルマージさん!?」
「そのように言われると照れるな。私がエルマージだ」
興奮しながら問いかける、マノワールという名前の冴えないオッサン。
エルマージさんは照れながら答えてくれた。
この町の冒険者ならみんな憧れている。
何を隠そう僕も二十年前、彼女に憧れて冒険者になろうとしたのだから。
結果は惨憺たるものだったが。
「今、斥候がいなくてね。よければ君たちと仕事を一緒にしたいのだが」
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