第216話 「カース王国の末路」
セインセスとマノワールの結婚。
そして王太子と謎の聖女の結婚。
荒れに荒れた先日の一件から、貴族たちは王国の治世そのものに懸念を抱くようになる。
途端、魔物の暗躍が明るみになった。
「まさかアクレイ侯爵まで魔物に与していたとは」
「ヴェンリノーブル侯爵も怪しすぎる。大臣クラスにすら魔物が紛れていたのだから、もう何を信じたらいいのやら」
「この国の大貴族や王族まで信用ならないとは、どうすればいいのだ」
貴族たちは苦心する。
自分と家族の身の安全を図るため、手段を選んではいられないと。
「もうこの国はダメだ。私達で政権を狙うしかない。少なくとも今よりは王権は制限するべきだ」
「反逆という事ですか!? 流石に今の言葉は捨て置けませんぞ!」
「そうして魔物に無抵抗で侵略されると? バカバカしい。我ら貴族を取りまとめるために、王族は都合がよかっただけ。それが魔物に与したとなれば、他国や教会も黙ってはいまい」
喧々諤々の議論。
だが貴族たちの意見は終息し始める。
もはや取ることができる手段は、他に残されていないからだ。
「新たに王を戴くので?」
「そう簡単には決まらないだろう。他国に靡く貴族たちも出る事だろうしな。すべての貴族が裏切れば、攻め取る旨味も無くなり、他国もそう簡単には許さないだろう。しばらくは貴族政でいくしかないと思われる」
「それも王女とマノワールがどうでるかですが……あの武力がどこへ向くか」
マノワールのあまりの力に脅威を感じた貴族たちから、王権を制限しようと同調される。
そしてゲースリンスも信用できないので、貴族政にしたい。
希望的観測であることは彼らも理解している。
しかし行動しなければ食われるだけ。
彼らは生き残るために、そう選択するほかなかった。
「――――――――大変です!?!?!?」
「何事だ!? 今は最重要事項を議論しているのだぞ!」
「お聞きください!!! 教会がカース王国討滅令を発しました!!! 隣国全てが国境線を侵犯し、領地を奪い取っております!!!!!」
泡を食って伝令が会議室に飛び込んでくる。
貴族たちの大半は硬直し、未来を見据えられる少数は諦めたように項垂れた。
「教会は王太子を魔物を引き入れた大罪人、さらに聖女セインセスは偽りの聖女であったとして。全く動かなかった王は統治能力に欠け、民及び人類の生存を著しく脅かしているとして、神敵認定をされました! それに与したとされる貴族も同罪であると!?」
説明を聞くにつれ、貴族たちの顔は青くなる。
そして次の言葉を聞く前にはその内容を直感し、絶望していた。
「我々は人類社会全てから追放されたのです!?!?!?!?!?」
しんと静まり返った部屋。
大貴族たちは項垂れ、肩を落として己の行く末を案じていた。
宮中政治を泳いできた彼らも予想していたのだ。
この最悪の事態が起こることを。
「恐れていたことが……遅かったか」
「この国は終わりだーーー!?」
「我々の首だけで済めばいいが、そうはならないだろうな」
余りの絶望に取り乱す者も現れる。
彼らは降伏すら許されないだろう。
「我々が何をしたというのだ。一部のバカどもが魔物など引き入れおって」
家族の安否を想ってか、涙を流す老貴族。
亡国の民の悲哀が、ここにあった。
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