第21話 「襲われるオーエラ」
「今日も稼いだね」
「はい! マノワールさんのおかげです!」
それからも俺たちはあの作戦で、信じられないくらい魔物を狩った。
ニンメイちゃんと帰り道で喜び合う。
本当の冒険者パーティみたいだ。
大冒険をした後の話みたいで、なんかいいな。
「レベルもすごい上がりましたし! わたしも戦闘に参加できるのでは!?」
「君に危ないことはさせたくない。ただでさえ職を失わせて危険な目に合わせているのに、親御さんに申し訳が立たない」
「でも」
「あと少しで目標資金に到達するんだ。これからも僕が守る。だから信じてくれ」
「はぁう……かっこいい……♡ ふぁい……♡」
トロンとした目つきで僕を見つめるメイド服の女の子。
もう眠くなっちゃったか。
僕がカッコイイなんて、意味わかんない事言ってるし。
こんなに小さい子なんだから、当然だ。
「でも護身術は習わせたいな。ここは荒くれが多いし、最近はどこも物騒だ」
「そうですね。わたしもそれは考えていました」
「明日は休みだけど、ちょっと相談してくれないか? 今日はもう遅いし、嫌じゃなければ早めに相談したくて」
「そっ……それはまさかデート!? わたしこそ是非―――――――」
「―――――――やめてくださいっ!?!?!?」
絹を裂いたような女性の悲鳴が聞こえた。
何事かと視線を向ければオーエラさんが絡まれている。
助けを求めるような眼で見てきた。
その瞬間には、すでに悪漢の腕を掴んでいた。
「その手を離すんだ」
「ぐぉおぉ!? 痛ぇ……!」
腕を捩じり回し、組み伏せて床に押し付ける。
不意を突いたから制圧できた。
「Fランク野郎が、何調子くれてんだ? 潰すぞ」
背後からドスの効いた声が聞こえた。
まずい。コイツのパーティーメンバーがいたんだ。
スキンヘッドとドレッドヘアの男二人。
僕一人では三人は相手にはできない。
ここで魔法を使うのも間に合わなそうだ。
「Fラン冒険者くんの冒険はここで終わりだ。逝っとけ―――――」
「―――――今、良いところだったのよ」
どこかからか女性の声が聞こえた。
音もなく男たちの背後に忍び寄って、首筋にナイフを突きつけていた。
それがニンメイちゃんのモノと気づいたのは、その行動が終わってから。
そうか。彼女の気配察知スキルはかなり上がっていたはず。
「デートを取り付けて、あと少しで行けるところだったのに。わたし、捌くのは巧いのよ」
首筋、そして腹に次々と得物を添える。
どれも寸止め。
皮を少し剥ぐ匠の技だ。
「ゆ、許してくれ」
「屑。謝罪の仕方も知らないか」
「申し訳ございませんでした」
土下座する荒くれたち。
その筋肉質なはずの背中は、ひどく震えていた。
彼女のレベルは確か今、35になっている。
これは冒険者の階位で言うと、大体Cランクに値する。
余談だが、少女に絡んで返り討ちにされたことで、彼らは散々小馬鹿にされたらしい。
だから違う街にいったようだ。
しかしそこそこ名のあるはずのCランクである彼らの、その後を聞いた者はいない。
冒険が出来なくなってしまったのだろうか?
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