第209話 「世界一情けないプロポーズ」
惨めで情けなさすぎるプロポーズ。
きっと誰からも笑われ、呆れられ、貶されること間違いなしの。
「いくらマノワールさんでも、皆まとめて結婚を申し込むのは、ね」
「一人だけに言うのでしたら嬉しいですが、みんな同時にとはこれ以下の求婚はないかもしれません」
「うぅ」
頬がアツくなるが、耐えなければ。
一度言ってしまったことは覆せない。
それに覆すつもりもない。
僕は全員と結婚したい。
誰か一人だけなんて選べない。
嫌われたくないんだ。
だから選べない。
優柔不断な僕。
「一生に一度の大舞台であるはずなのに、ロマンチックさがない」
「色んな女性と結婚するなら、特別感を演出しないとならないのは大前提かと」
「恋愛赤ちゃんすぎます~樹の中に引きずり込んじゃいますからね~」
「女性の憧れを裏切るような真似、他の人にはできないかもしれません」
ニンメイちゃんにまで呆れられた。
僕の半分も生きていない子に、失望されてしまった。
今までがおかしかったんだ。
こんないい子に慕われていることが、僕は全てを望み、すべてを失う定めなのかもしれない。
でも悔いはない。
こうすることが一番誠実だと思った。
一人ずつ真摯にプロポーズしたら、それは恐らく受け入れられてしまうとわかっていた。
それは卑怯だと思ったんだ。
どれだけ綺麗に表面を塗り固めても、僕は女たらしであることに変わりはないのだから。
「でも、好きになってしまったんですから、許してあげますよ」
「え?」
笑って許してくれたメイド服の女の子。
周囲を見渡せば、笑顔が7つ。
皆も困ったように、僕に微笑みかけている。
「わたしはダメダメになっても、養ってあげると最初から言っていたではありませんか。本当は嫌だけど、皆さん仲間でお友達です。お互いによく話しあって、そう決めました」
「まさかこうなるとは思いませんでしたが、それでも望んでいたことです。全員を愛してくださるなら……よろしくお願いいたします」
弱ったな。まさか予測されていたとは。
でも嬉しい。
こんな僕を受け入れてくれるつもりだったんだ。
情けなくて涙が出たけど、幸せすぎても涙が出た。
改めてプロポーズする。
一番最悪な、一番記憶に残る言葉で。
「みんな……ありがとう。僕と結婚してほしい」
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