第203話 「仲間たちの奮闘」
全速力で駆けだした4人。
風景が次々と後ろへと遠ざかって、目まぐるしく景色が変わってゆく。
その先には王都の中でも一際大きな建物が見えてきた。
「辿り着きましたね! ここからでもわかるくらい油臭い……」
「私とニンメイは裏口から行く! 二人は表側から制圧してくれ!」
エルマージたちは狭い裏口から攻める。
挟み撃ちの構図でセイリムリを追いつめるのだ。
「行きましょうミーニャさん~!」
「みんなを助けるニャ!」
獣人とドリアードの二人は、表口から入っていく。
そこには異様な光景が広がっていた。
「何あれ気持ち悪い」
そこには縛られた民間人。
そして多くのセイリムリが存在していた。
しかしどの個体もまだ子どもサイズで、不幸中の幸いといったところか。
相変わらずの汚らしい食べ方。
あんなに音を立てながら食事をしていては、同席していたいものなど皆無だろう。
そしてどんどん個体数も増大している。
このままではマノワールと戦っていた個体と、同等の大きさまで至ってしまうだろう。
「オキャルンさんは民間人を! 私が素早く殲滅しますニャ!」
「子どもたちは守りますぅ~!」
オキャルンは植物の蔓を伸ばし、民間人を保護する。
長命である彼女からしたら幼い人間の命を守るため、慈愛深く全力を尽くすのだ。
「「「「「「「「「「でしゅかぁ~~~?」」」」」」」」」
そこにいた大量のセイリムリ。
異常を察知したのか、一斉に振り向いた。
だが大小さまざまで、一番大きな個体でもオキャルンよりも小さい。
大体が子犬サイズのセイリムリばかりだ。
小さくてもキモいので、女性陣は全員表情を嫌悪に歪めている。
小さい物なら何でも可愛いというなら、女性は虫をも愛することだろう。
「ニャッ! はぁっ! これで終わりニャ!」
食べ粕を零しながら、腹に蓄えられた醜い脂肪を揺らして応戦を試みる。
だがミーニャの身体能力を生かした猛攻にはついていけない。
「「「「「怖いお姉さんたちから逃げるのでしゅぅ~~~!?」」」」」
「セイリムリが裏口から逃げてしまうニャ!?」
「大丈夫です~! お二人が来てくださいます~!」
焦ったミーニャは気を取られるが、年長者のオキャルンが注意する。
その言葉通り、援軍が来た。
厨房の方からメイド服の少女と、エルフの女性。
二人がセイリムリを薙ぎ倒しながら、こちらへと向かってきた。
「厨房くっっっっっさ!?!?!? セイリムリくっっっっっさ!? 鼻が曲がります!!! このストレスはセイリムリにぶつけてやりますからね!!!」
「ハンバーガーばっかり食ってんじゃねえょブタが!!! だから太るし臭いんだよ!!!」
「ブッッッッヒィィィイィッッッッッ!?!?!? ぼくたんをバカにしゅるなぁぁぁっっっ!?!?!?」
悪臭に表情を歪めた二人が、奥から飛び出してきた。
厨房にもセイリムリがいたのだろう。
そして醜悪な魔物たちを蹴飛ばしながら、駆除してゆく。
彼女たちは健康推進の言葉と共に、気色悪い生命体を撃破していった。
「エルフのように野菜や果実を摂取しろ! 健康にも美容にも良い! そういうところからお前たちと私たちとでは差があるんだよ!!!」
「肉と炭水化物だけは捨てられないでしゅ~~~!!!」
草食文化が根強いエルフの一員である、エルマージは相当に気が立っている。
油の強い臭いは彼女に吐き気を催させたようで、ひどく不快感を示していた。
「砂糖や油ばっかり摂取するな! まったく摂取するなとまでは否定しないが、そればかりを偏食していては健全な人生にはならない!!! それがお前たちの敗因だ」
「ヴィーガンのクソ癌細胞共がよぉぉぉぉぉぉ!?!?!? おまけにルッキズム拗らせやがってぇぇぇ!? お前たちが真の邪悪でしゅぅぅぅぅぅっっっ!!!!!」
「黙れデブ。不摂生は甘えだ」
最後のセイリムリを、エルマージは短剣で切り裂くと。
その悪手で女性陣を苦しめた魔物は、ドロドロの液体に溶けていった。
「セイリムリ……成敗っ!!!!!」
「やったニャアっ!!!」
「流石エルマージさんです!!!」
勝利を喜び合う美女たち。
民間人たちも安堵の涙を流し、彼女たちを称える。
しかしオキャルンだけは人生経験から、冷静に戦場を俯瞰していた。
まだ戦いは全て終わっていないと思っていたのだから。
そしてエルマージも続いて異変に察知する。
「待ってください~!?」
悲鳴をあげた褐色肌のドリアード。
彼女の視線の方向には、異常が始まっていた。
「なっ……セイリムリたちが合体していく!?」
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