第190話 「葬儀と聖女認定」
葬儀が執り行われると、王国中が悲しみと不安に包まれた。
第二王子が暗殺されたのだ。
この期に及んで王は姿を現さないし、後ろ盾がない庶民としては気が気ではない。
僕も参列したが、献花をしたくらいだ。
王女殿下は弔問客への対応などで忙しそうにしていた。
王太子はというと、不気味な沈黙を保っていた。
表面上は沈痛な表情を浮かべ、粛々と喪主を務めている。
しかし葬儀にも姿を現さない王には、嫌な予感が脳裏によぎる。
重病とのことだが、本当なのだろうか?
「皆様。お手伝いをして下さり、感謝申し上げます」
「当然のことです。改めましてこの度は謹んでお悔やみ申し上げます」
「ありがとうございます。亡き兄も喜んでいることでしょう」
空虚な笑みを浮かべる王女殿下。
本当に気の毒で、胸が締め付けられる。
まだ立ち直っていないはずだ。
「それと無事教会に聖女認定を取り付けられました」
「おめでとうございますセインセス様!」
久しぶりのいいニュースだ。
これでセインセス様のお立場も強まることだろう。
「教会を私たちの派閥に協力を取り付けさせることもできました」
「セインセス様にとって喜ばしき事かと存じます」
「ええ本当に。五日後にパレードをしてくださるようです」
「なるほど。強かですね教会は。ここまで早く手を打って来るとは」
意味深にアクレイは悪い表情を浮かべる。
お辛いだろうにもかかわらず、セインセス様は優雅な笑みを深めた。
どういう事だろう?
パレードすることで何かあるのかな?
「王家の失点を教会が回復したという事を、ひけらかしたい気持ちの表れが露骨です。私にとっては都合がいいのですが」
「第二王子が暗殺されてすら、王家は何も対策を打てていない。現在王族の代表であるゲースリンス王太子は、統率力がないと喧伝できます」
ピンクの髪をした僕の従妹は、悪だくみの算段をつけている。
魑魅魍魎が跋扈する政治の世界で、お互いに利用しあえる関係を形成できるセインセス様たち。
肉親の死すら利用できる強靭な精神力は、次の謀略を練る準備を始めている。
「この状況下で求心力を奪われることとなる、王太子の顔が楽しみですわ。その対策に奔走している間に、我々は次の策略を練りましょう」
悪い顔を浮かべているアクレイ。
悪戯好きだった彼女は、年を経て狡猾なる策謀家となっていた。
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