第19話 「会社の末路その2」
国法において火薬類取扱いについては、保安責任者を選任し業務にあたらせることになっている。
発破作業は必ず発破技士に行わせるのだが、資格者が足りず。
適当に人材派遣したら、発破作業の時に不足していたことが露呈したようだ。
これらの人工の管理は、マノワールやベテランが行っていたが、すべてここにはいない。
「応援待ってたら、今日の作業進まねぇじゃねぇか! ったくめんどくせぇな! 誰だよこんな工程表作った間抜けは! 俺以外マジで使えねぇわ」
猫のような顔をした男は言うだけのことはあり、爆破装置を手順通り組み立てていく。
時折説明書を見入り眉間に深い皴を作るが、その手腕は鮮やかとしか言いようがない。
これは爆破対象物に発破孔を穿ってその孔に装薬し、対象物の隙間に装薬して爆発力を利用して破砕する行為。
今回のように構造物や岩石の破砕などの発破に利用される。
火薬類取扱保安責任者または発破技士資格は、発破に関する国家資格の1つ。
この資格者は、発破業務に従事可能な者として扱われる。
つまり本来、無資格者は絶対にやってはいけないことだ。
「天才様が一丁やってやりますかぁ! 俺はマノワールとは違うんだよ!!!!!」
火薬が過剰であれば、破片の遠方飛散から人的被害が生じる。
対して足りなければ爆破解体できない。
必要最低限の装薬量で爆破対象物が、内側に崩れるようにするべきなのだ。
爆破による衝撃波により、対象物全体を崩壊させるのではない。
または一箇所に爆薬を大量に装填し、一点集中した圧力で破壊させるより。
破壊物全体に装薬を細かく分布させ、爆破ポイントそれぞれの火薬量を抑え。
複数の装薬を多点において起爆する。
構造物の強度上の弱点を発破により破壊して、自重崩壊させれば。
徐々に崩れていくので、周囲への破片の飛散が小さくなる。
この巨岩を跡形もなく吹き飛ばすのではなく。爆発力を利用して小さく分解するのだ。
この男には確かに才覚がある。
マノワールがやっていた作業を見ただけで覚え、大体その通りにある程度やってのけたのだ。
そうして彼は導火線に着火した。
「んだよっ! 全然起爆しねぇじゃねか!?」
肩透かしを受けたように怒る、猫を想起させる顔をした作業員。
もしかしたら爆薬などに不備があったのかもしれない。
定期的な保守点検を怠ると、性能が落ちる物は多々あるからだ。
「んじゃもう一発! 大は小を兼ねるって言うし、多めに行くかぁ! 俺って頭いいー♪」
改めて削孔し始める作業員。
そこに薬品を充填し、再点火の準備をする。
魔法薬は無料ではない。
点検などの維持費も含めれば、膨大な費用を要する。
費用対効果どころか、安全性も考えず。
この男はしてしまったのだ。
そういった費用問題は、マノワールが一手に引き受けていた弊害が、この行動を産んでしまった。
「これでヨシ! そんじゃいっきまーす! ポチッとな!」
明らかな過装薬。
不発のまま放置されていた大量の魔法薬火薬が誘爆し、大爆発が引き起こされた。
衝撃波から周辺にまで及ぶ飛石が発生し、距離を取って避難していたはずの現場作業員たちへと襲来した。
飛来物は切り刻むように、現場にいた人々を巻き込んだ。
「ゲンバニャッ――――――」
爆発と共に吹き飛んだ石は、散弾銃のように降り注ぎ。
おかしな悲鳴と共に、多くの身体が爆散した。
20人ほどが死亡した大事故。
怪我人は事故現場にいたほとんどであり、ショワジ組は爆発オチで崩壊した。
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