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第18話 「会社の末路」




「図に乗りやがってマノワールが!」



「あんな生意気なオッサン追放してよかったじゃねぇか!」



 マノワールが去った後から、愚痴を言い出す。

 バカにしていた男に、言葉でも力でも丸め込まれた屈辱。


 腕っぷし自慢の肉体労働者にとっては、耐えがたい苦痛なのだろう。

 だがやり返そうとしても敵わないという不満が、陰口しかできない現状を生み出していた。




 マノワールが出ていって、労災が多数発生していた。

 外注先などとのトラブルも頻発。

 部品の調達がうまくいかず、多量に不具合発生したからだ。


 退職者が退職者を呼ぶように人は少なくなったのに、納期は変わらない。

 元より休日が少ない業界なのだから不安定な雇用形態で、さらに休みはなくなって集中力は散漫になる。

 それによりストレスが溜まっており、適当な仕事を増大させた。




「もういい! さっさと仕事に戻るぞ」


「マノワールのオッサンが出来ることが、俺にできないわけぇだろ!」


「小難しい蘊蓄たれやがって。仕事できねぇくせに、うるせぇんだよアイツ」


 そして現場に戻り、作業を始める。

 手際はいい。

 口で言うだけのことはある。






「安全確認、ヨシ!」




 指さし確認という、見落としの無いように心がけるための行動。

 ヒューマンエラーを防ぐための、命を守るためのものである。

 マノワールは口を酸っぱくして、毎日のように注意喚起をしていた。




「なんつってこんな意味ねぇことさせてよぉ! ギャハハ!」



「バカみてぇ!!!」



 だがその利点を解さず、無駄なことだと断じる作業員たち。

 慣れてきた仕事に対する、自分への過信がそれをさせてしまった。


 本人たちの気質が一番大きいところではあろうが。

 それを放置したのはショワジ親方の怠慢だろう。






「ご安全にィっ!?」



「おっとと玉掛けミスったわ!」



 その瞬間、何かが千切れる音がした。

 魔導建設機械にて高所に運んでいた重量物が落下してきたのだ。

 荷崩れを引き起こし、下にいた作業員の近くへと雪崩れこんできた。




「ふざけんなお前! ったく無能だな死ねよ!」


「んだと殺すぞコラ! お前だってくだらねぇミスやってただろうが!」


「お前よかマシだこのマノワール野郎!」


 お互いの胸ぐらをつかみ合い、相手をマノワール呼ばわりして喧嘩を始めた。

 誰も止めようとせず、もはややる気がなくなっている。

 こんなことは日常茶飯事なのだろう。


 結束ワイヤーの耐荷重以内の重量を、大きく超過していたこと。

 そして老朽化が進んでいたことが原因だろう。

 マノワールが担当していた保守点検を怠っていたことが、事故発生の決め手となった。






「ったくゴミどもが。俺は失敗なんてしねぇんだよ」




 その滑稽な光景を眺めて、猫のような顔をした作業員が嘲笑していた。

 巨石の前で見下しながら、ある物を口に咥えて火をつけた。

 彼の手元には取り扱い注意と書かれた、薬品が幾つもある。


 火薬類の取り扱い場所付近では、当然火種となり得る喫煙は禁止されている。

 にもかかわらず彼らはタバコを燻らせて、愛煙していたのだ。






「えーと何々……発破技士資格者ぁ? めんどくせぇな。全員出払ってるか、辞めちまった」










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 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] うんちくは、難読漢字ですねぇ。 [一言] おいおいおい。 こりゃ死んだわ(;゜Д゜)
[良い点] なめ切っていたマノワールさんに力で負けたのは悔しいでしょうね。でも嘘をついてマノワールさんを陥れた彼らには当然の報いです(# ゜Д゜) 職場環境もさらに悪化しているようで、残された人たち…
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