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第178話 「エルフ同士の激論 追放されるエルリフォム」




 怒涛の一日が終わり、夜明けを迎える。

 夜を徹していたのか、それとも先ほどから始まったのかはわからないが。

 怒鳴り声の応酬によって目が覚める。






「夢物語だ!!! 反撃しようなど、どうかしている!!!」



「敗北主義者の発想だ!!! 七生報里の意気を貫けば、自ずと勝利への道は開かれる!!!」



 激論を交わしているエルリフォムさんと長老。

 僕が建設した要塞の中、長テーブルを囲んで言葉を投げかけ合う。




「ここまで圧倒されているのですよ!? 私達だけでは絶対に対応できなかった! 勝てたのは偶然の産物だ! あそこで魔王たちが退く理由などない! 我らを引き潰せるという確信があるからこそ、一時退却したまでのことです!!!」



「力は示した。マノワール殿の御助力によって建てて頂いたこの要塞には、簡単には攻めて来れまい。それに防衛を強めればいい。我らが製作した魔道具は、まだまだ山ほどある。陣地にて敵戦力を拘束し、魔法火力による遠距離攻撃をもって敵の組織的行動を妨害できれば勝機は見える」



 楽観的観測だと追求する、エルリフォムさん。

 それに対して防御側の有利を生かせばいいと主張する、長老。


 しかし戦争の素人である僕の目から見ても、敵の戦力と戦略目標が見えないことがネックだ。

 どの程度の損害を敵は許容し、このエルフの森を取りに来るのか。

 当然エルフ側にも犠牲があり、こちらの戦力にも不安がある中でどこまで対抗できるのか。






「あれだけ倒しても、敵の総戦力はほとんど削れていない!? 次はもっと大戦力で来るかもしれないのですよ! 独力で防衛力を強化したところで、何とするのです! 今度こそ物量差で我らは皆殺しにされる!?!?!?」



「愚か者が!!! 里から出てどう生きろと言うのだ!? エルフが里以外で生きていける者か! 一人ならまだいい! 珍獣として見られるだけだ! だが種族として国家に移住して見ろ! 他を超越した優秀な血族を己の近くに置いた人間どもたちは、我らを危険視して迫害し攻め滅ぼすぞ!!!」



 頑迷に見える長老にも理がある。

 おそらくは長い歴史の中で、実際に起こった事件なのかもしれない。


 だが魔王の尋常でない程の強さは、目に見えている。

 おそらく僕くらいしか対抗できないだろう。

 そして勝てるかどうかは、怪しいどころか……






「その先例主義が、エルフを滅ぼす!!! 今こそ変わる時です! 人間たちと同盟を組むべきです!!!!!」




「その驕りと自己過信こそが、エルフを滅ぼす!!! 若いお前の言う事は、この際は罪に問わぬ! 里への恩義と忠誠心を思い出して、今すぐ考え直せ!!!!!」




 双方の意見は妥協点がかけ離れていた。

 すり合わせる前提が条件が、対極に位置しているのだから。


 エルリフォムさんは音を立てて席を立つ。

 若いエルフたちも同調し、この場を去ろうとした。




 長老は苦汁を飲み干したような表情で、唇を噛みしめた。

 エルリフォムさんの言葉に、彼は何を感じたのだろうか。






「もういい!!! 我々若い世代は移民する! 先がない老人たちは、代わり映えのない毎日を滅ぶまで送ればいい!!!」




「お前たちはエルフの里から追放する!!! 二度とこの地に足を踏み入れることは許さん!!!」










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 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  エルリフォムさんが追放! マノワール達はどうするんでしょうか。見捨てるわけにはいかないから……戦力倍増ですね(笑)  しかし、ますます領地が必要になって……つまりは王女の誘いに乗るしか…
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