表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/241

第17話 「後悔する追放者達」




「帰ってこいマノワール。ここがお前の居場所だ」


「今さら帰ってこいと言われても、もう遅いです」


「皆辞めちまって、仕事が立ちいかないんだ! 経営が振るわなくて借金まで作っちまって、雇っていられない! 女房にも愛想尽かされて出ていかれちまって、娘には絶縁されちまった!?」


 昔から知っている娘さんと、お袋さん。

 若い頃に拾ってもらった僕もかなり世話になった。


 でももう昔の話だ。

 恩義は働いて返したつもりだし、最後は仇まで貰った。






「男の情ってやつを見せちゃあくれねぇか!!! この通りだ!!!」




 深く頭を下げるショワジ親方。

 一度言ったことを撤回しないこの人ができる、最大の譲歩だ。




「親方は謝ってくださいましたが、他の人はどうなんですか! それに嘘つき呼ばわりして、その分のお金も耳を揃えて返すのが筋でしょう!」


「もちろんだ。筋は通さなくちゃならねぇ」


「あぁ!? なんで俺らがそいつに謝らなくちゃなんねーのよ!」


 親方の言葉を遮って、若い奴らは不満を露わにしている。

 自身が見下していた人物に頭を下げれない、幼稚さがあるのだ。






「よさねぇかっ! こっちは頼んでるんだ」


「それとこれとは話が別でしょう!? こいつに頭下げたら俺らが嘘つき呼ばわりされるってことでしょう! そんなところで働いていられるかってんだ!」


「まさか親方は俺らを詐欺師呼ばわりするってんですかい!? 昔からの仲間を!」


「だったら本当かどうか、証明しろってんだ!」


「うむむ」


 ショワジ親方はこれらの追求に丸め込まれてしまう。

 義理人情を重んじるこの人は、矛盾したことが言えない。

 嘘が言えないのは時として欠点となり、僕は謝罪回りに奔走することも多かった。




「証拠があったとして、あなたたちは揉み消すでしょうし。もうあなたたちに証拠を見せる事すらしたくありませんっ! あなたたちみたいな性格の悪い人なんて、死んでもお断りですっ! 」



 僕の腕に抱き着きながらニンメイちゃんは断固として拒絶する。

 こいつらが本当に嫌なのだろう。

 だから僕をダシにしてでも、断りたいのだろうな。


 たとえ僕たちを引き入れたとしても、人員がいなくてはまわらない。

 親方は否が応でもある程度の人員を確保しなければ、仕事ができないことは痛感している。

 もういい人たちは出て行ってしまったんだ。




 だがステータスが上がった今の僕が一人いれば、もうある程度まわるだろうけど。

 そんなことは戻る気のない僕には、もう関係ない話だ。






「これ以上嫌がるニンメイちゃんに関わらないで欲しい。話が終わりなら、帰らせてもらう」



「このジジイがっ! 黙って従えっつってんだよ!」



 なんと殴り掛かってきた。

 俺の腕に抱き着いている小さなニンメイちゃんがいるのに、本当に救えないやつだ。




「やめろ。近くに女の子がいるのに、何を考えている」



「ガァッ!? 拳が割れっ」



 喧嘩自慢のようだが、数々の命のやり取りで強くなった僕には効かない。

 子どものパンチくらいにしか感じられない拳を、片手で制した。


 そして壊れない程度に、握りつぶしてやる。

 この最低な男に、僕は低い声で忠告した。





「わからないようだから、言葉にしてやる。二度とニンメイちゃんに近づくな」



 拳を押さえながら、僕に恐怖している元同僚。

 そして目的の退職証明書を取って、僕達は去った。










面白い、または続きが読みたいと思った方は、


広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価


またはレビュー、ブックマークしていただけると、モチベーションに繋がりますので執筆の励みになります!!!!!!!!!!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『異世界神様チート貴族転生したら、女装して女学園に通って悪役令嬢を誑かして婚約破棄させるように言われた。クラス転生していた悪役令嬢に男バレして追放されたがもう遅い。聖女(?)として復讐だざまぁ!』

テンプレ末期戦異世界チート転生女学園潜入もの書いてます。
こんなタイトルですが、神々の争いに主人公が巻き込まれるシリアス戦記です
 

 『追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感』

初エッセイです。本作品を基に書きました。
また初創作論です。
追放ザマぁジャンルを執筆する作者として、自分なりに反省点を交えた考察。
追放ザマぁの構造的問題への解決につながるかもしれないアプローチ。
新追放ザマぁシステム『連続追放』を通して分析することで、違和感なく楽しみながら完読できる小説を目指すという、ジャンル全体における質の向上を目標とする文章です。
皆さんの目で、お確かめ頂ければともいます。


一日一回投票いただけると励みになります!(クリックだけでOK)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] おぉ。ここで、「もう遅い」がでましたね(#^.^#) 今更帰ってこいなんて言われても、そんな気は起きませんねぇ。 しかもみんな反省してるなら良いですけど、いい人はやめてしまって、残念な…
[良い点]  気持ちのいいざまあ! 最高です!  でも彼らはまだまだ落ちていきそうですね(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ