第167話 「水着回」
次の日の朝、エルマージたちと予定していた観光に赴いた。
昨夜は疲れる話をしていたから、気分転換には丁度いい。
エルマージは誇らしそうに故郷の見どころを紹介する。
「水資源は非常に豊富だ。ここの湖は美しいだろう、我々の誇りである」
「はぁーこれは素敵です……幻想的で、夜に来たらロマンチックそう」
本当に雄大な景色。
水面が日光に反射して煌めいて、周りは森であるのに非常に清浄な水だ。
かつ美しい。
自然の原初の形を留めながら、不純物は徹底的に取り除かれている。
この絶景はエルフたちが守り、受け継いできた種族の象徴なのだ。
「さて、水浴びでもしようか」
「いいですねー! だから来る前に水着買ったんですね!」
「新たな仲間との親睦を深めたかったという狙いでな」
「心遣いを嬉しく思うよエルマージくん。これはとても楽しめる一生の思い出になりそうだ!」
女性陣は各々が選んだ水着を手にして、着替えようとする。
僕はそそくさとその場を離れ、姦しい声での揶揄いから事前に脱出した。
早々に着替えた僕は、手持ち無沙汰から昼食の用意や拠点設営をする。
そして時間が経過すると、最初の仲間である黒髪の少女が現れた。
「マノワールさん。あの……」
「とてもかわいいよニンメイちゃん。凄く素敵だ」
「えへへ……頑張って選んだんです! 余り着る機会がないから、いっぱい楽しんじゃいます!」
ワンピースタイプの女の子らしい水着。
とても可憐だ。
触れれば折れそうなほど細い体型は、清楚な衣装にて彩られていた。
でもボディラインは非常に均整がとれている。
細くとも丸みのある、女の子らしい体つき。
食い入るように見入ってしまう。
そしてあるものを発見してしまった。
「マノワールさん……どうされましたか? そんなにわたしの身体を…….♡」
「……ゴクリ」
「はぅ……恥ずかしいですぅ♡ …………ってやだ!? わたしったらニプレス付けるの忘れて!? この水着可愛いけど、凄く薄かったから気を付けないといけないかったのに!?!?!?」
ニンメイちゃんのおへその形がわかる程に、薄い水着。
ならば当然その上も……
男の視線は、女の身体に情欲を向ける。
煮えたぎるような何かが脳内に充満するような錯覚を覚えた。
僕の身体は止まっていたのだろう。
それを怪訝に思ったのか、彼女は自分の身体に視線を落とす。
そして慌てて胸元を覆い隠した。
まだ誰にも見せたことのない肌を、今この時は僕が独占しているのだ。
「あっ……マノワールさん……♡」
「…………」
僕がガン見していたからか、ニンメイちゃんは茹蛸のように顔を染め固まってしまっている。
そして彼女の視線は僕の瞳でなく、なぜかそのずっと下へ。
僕のパンツのあたりををチラチラと、視線を向けていた。
いつしか上部の水着を隠すことを、彼女は失念していたのか。
可愛らしい小さな口元を、手で抑えていた。
瞳は潤んでおり、目を見開いて熱い視線が贈られている。
するとさっきよりも何故か部分的に盛り上がった彼女の水着には、先ほどよりも目立った二つの……
この瞬間、僕とニンメイちゃんは本能を共有していた。
彼女の瞳はハート型になっている気がする。
熱い息を荒げた普段メイド服の女の子は、僕に足を踏み出して―――――――
「―――――――もう泳ごう!!!!!」
「あっ……マノワールさん待って……」
残念そうなニンメイちゃんの声を背に、水中へ赴く。
間違いが起きかねない雰囲気だった。
心頭滅却心頭滅却。
僕は飛び込んで、激しくクロールする。
まるでマグロのような速度で、身体ごと頭を冷やした。
ダメだ。僕は今、二つの意味でマグロにならなければならない。
そうせねば仲間との信頼関係が、もっと崩れてしまう。
若い子に見られて……もう死にたい。
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