第163話 「エルフの森へ」
「エルフにとっての二十年くらいか。どんなものなんだろうな」
エルマージは神妙な顔で腕を組んでいた。
何か懸念がある様子。
だが想像もつかない。
彼女は僕と同時期に、ザマーバッカー街に移住したらしいから。
そういえば彼女はどうしてエルフの里から出てきたのだろう?
「隊商を組んで交易によって、金銭を稼ぐという事でいいんじゃないでしょうか? これだけ人数がいるんですし、多くの物品を運べますニャ!」
「うん。ミーニャくんの指摘通り、加えて老人に旅はキツイ。だから定住するならば並行して居住地を決めるといいと思うよ。住む場所はまだ見つかっていないのだし、当面は行商プランでいいだろう」
「エルフは卓越した魔法使いと、薬師が多数いる。私も多少の心得はあるしな。そこまでたどり着けば、医療に関しては何も問題はない。オキャルンさんも手伝ってくれると言ってくださったしな」
アクレイは的確にこれからの計画を立てる。
どこに住むかという問題を解決しなければ。
この数で旅をし続けるのは非現実的だ。
医者の心得があるもオキャルンさんしかいないし、彼女は長生きであるから多少の心得があるので専門家ではない。
一万人はいるこの集団の医療はとても賄いきれないだろう。
エルマージの献策は一時的には正しいが、これからのことも考えなければ。
どこかで医療を定期的に受けられる場所が欲しいものだ。
「馬車はたくさん買えたからね! 商売は任せてくれたまえ! 帳簿はオーエラ君よろしく」
「得意分野です! 我ら事務畑にお任せください!」
「オーエラさん教えるのも上手いから、事務を覚えられた方も多くなりましたからね」
「ミーニャも少しは教えられるニャ! 教師として事務もできなくちゃ仕事にならないからニャ」
オーエラとミーニャは専門家だったからな。
彼女たちに頼めば間違いはないだろう。
学園での経験は確かに生きている。
本当にみんな多彩な才能が揃っている。
「さて、辿り着いたか。何十年ぶりだろうか。二十年近くだったかな?」
「前に自分で言ったばかりなのに、忘れてるとはエルフは凄いですねぇ」
呆れとも感嘆ともつかないニンメイちゃんの言葉と共に、森にたどり着く。
その入り口にはエルフの男性が弓をもって、立哨していた。
彼は既に僕たちの存在に気が付いていたようで、親し気に挨拶をしに来る。
エルマージの存在を遠方からでも捉えていたからであろう。
彼女も優れた斥候兼弓使いだから、とても目がいい。
「エルマージ! 久しぶりだな」
「エルリフォムさん。お久しぶりです」
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