第162話 「次の追放先へ」
オッサツイホ領から出て数日、僕たちは行き先と旅の目的をどうするかについて。
思い悩みながら相談していた。
まさか実家からも出なくてはならないとは思わなかった。
どうしたものかと何度目になるのかわからない、同じ話ばかりをしてしまう。
「さて。これからどうするか」
「ボクの資産があるのだから、ゆっくり考えようじゃないか。元手はあるのだから、商売すれば理論上は天井知らずに増やせるよ! もう領主業務はないし、時間さえくれればお手の物さ!」
国家最高レベルの天才である彼女がいれば、お金の心配はないだろう。
オッサツイホ領はあれだけ豊かになっていたのだし、従妹の手腕には疑いはない。
これだけの規模の武装勢力など、もはや軍隊のようなものだ。
老人や子供も多いので移動手段として、すでに馬車は大量に買った。
陽キャたちの中に馬を飼っていた者もいたので、御者をさせている。
足りない分は雇っているが、いずれ器用な陽キャたちも馬を操ることが液るようになるだろう。
「考えていたのだが、私に提案がある」
「ほほう! エルマージ君の腹案とやらを聞こうじゃないか!」
「呼び捨てでいい。仲間となるのだからな」
「これは性分みたいなものさ。皆も気にせず平民となったボクのことは、敬語とか使わなくていいからね! それでどうするんだい?」
平民になったとは言うが、実際そんな簡単にできるのかな?
僕とコックロは出てきちゃったけど……
まぁアクレイが言うのだから、間違いはないのだろう。
早速親交を深めつつ、これからの計画について議論する。
そして思いがけない単語が、エルマージの口から発せられた。
「私の里に赴く。交易品などの商売はできるだろう」
「エルマージくんの故郷である、エルフの里という事かな?」
「でもエルフの里って閉鎖的と聞いたことがあるんですが」
オーエラがエルマージの提案に、疑問を呈した。
子どもでも知っているようなことだ。
時折エルフの手による高度技術魔道具などが流れてくると聞くが。
そんな簡単に取引をしてもらえるものだろうか?
「あぁ事実だ。だが私がいれば歓迎してくれるだろう。小さな里だから、全員を中に入れることはできないが……代わる代わる里に滞在すればいい。陽キャたちがキャンプの準備をしてくれるだろうから、その間に入れない方々も問題ないだろう」
「陽キャさんたちは本当に器用ニャ。マノワールさんの方が素敵だけどニャ!」
「あれは尊敬しますよね~わたしもマノワールさんの方が大好きです!」
「二人とも!?」
ニンメイちゃんとミーニャは僕の腕に抱き着いてくる。
褒めてくれるのは嬉しいけど、過剰にスキンシップを取られるのは男として困る。
「子どもたちの面倒も見てくれますし、陽キャさんたちはいいパパになりそうですね~マノワールさんの方がいいパパになってくれそうですが~」
「体力もあるのはいい点だな! お兄ちゃんの方が凄いけど!」
「根性もありますからね。マノワールさんの方が素敵な性格ですが!」
僕の胸にはオーエラさんとオキャルンさんが。
背中にコックロが抱き着いてくる。
身動きが取れない。
「みんなズルいぞ! ボクも! ……抱き着く場所がない!? 脚しか空いてない!? うぅ……他の女たちに負けた……もう寝取られに目覚めるしかないのか……」
従妹の女性も駈け寄って来るが、アワアワとしながら慌てている。
僕の足にコアラのようにしがみついて、泣いているアクレイ。
大きくなって性格も変わったのだろうが、なんだか最近おかしいような……
よくわからないことを言っているし、若い子の考えることは難しいな。
「仕方ないな。私は身長が高いから、お兄ちゃんの下半身を分けてやろう」
「ワーイ!!! お兄様のお尻~♡ むぎゅ~♡」
「ちょっ汚いからやめなさい!? みんなも離れて!」
僕の尻に顔を押し付けるアクレイ。
昔から変なことをしてくる子だったが、テンションがおかしいよ。
やっぱり養子の子がなくなったことが堪えているのか……
余程にストレスが溜まっていたんだろう。
当主としての重圧も、それほどのものだ。
ここで怒るのも大人気ないからな。
優しくしてあげよう。
でも流石に尻に頬擦りされるのは嫌だ……
まったく僕を揶揄って……
女の子たちは増えれば増える程に、姦しくなるな。
「……エルマージさん珍しいですね。いつもなら我先にマノワールさんに向かっているのに」
「……ん? あぁすまなかった私もマノワールが大好きだぞ! ちょっと心配事があってな。久々の里帰りだから」
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