第160話 「別れの挨拶と我が子への誓い」
そんなこんなでオッサツイホ領から、また出ていくことになった。
これもアクレイに追放されたようなものなのかな?
でも彼女があそこに居たくないというなら、僕がどうこう言える事じゃない。
こうして傍から見ていても、開放感溢れて満足しているみたいだし。
「いや~! 当主辞めると清々しい気分だね! 若返った気分さ!」
スキップしながら、ご機嫌に話すアクレイ。
ジャラジャラと音が鳴っているのは、彼女が悪趣味な程にアクセサリーを装着しているからだ。
「置き土産にアイツらの家に宝石の領収書も送っておいたし、今頃は財政が酷いことになっているんだろうなぁ! そこはちょっと見たかったかも! アハハ! ほらみんなもこれを! 仲間の印さ! 受け取ってくれたまえ!」
「あ、ありがとうございますニャ」
「金貨だと嵩張るからね。全部国宝級の代物ばかりさ! 夜逃げするプランも考えておいたのだよボクは。政争で負けた時くらいだと思っていたが、人生わからないものだ。褒めていいんだからねお兄様!」
渾身のどや顔をする妙齢の淑女。
いつまでも子どもみたいなことするな。
巨大な宝石の付いた指輪やネックレスを、これでもかという風に装着している。
合理的ではあるんだろうけれども……
「魔物の女の子まで仲間とは……数々の追放のことからも、お兄様は奇妙な運命に翻弄されているね……改めて是非よろしく頼むよオキャルンさん」
「こちらこそよろしくお願いします~こんなに素敵な宝石までありがとうございます~」
「親睦の証としてどうぞ受け取ってくれたまえ! って小さいのにおっぱいデッカ!? これ下手したらボクよりも巨乳なんじゃないか?」
「は、恥ずかしいのでそんなに見ないでください~」
オキャルンさんは胸を両手で抑えて、視線から逸らそうとする。
彼女の豊かな胸部は全く隠せておらず、手で覆われて大きく形を変えていた。
僕は思わず前屈みになり、腰が引けてしまう。
まったく男がいることを考えて話してほしいものだ。
それだけ信用されているのは嬉しいが、でもそれを裏切らないようにするのは鋼の精神力がいるんだ。
「アクレイ様って、凄いお方ですね」
「これが素なんだ……極少ない親しい人にしか見せないけど。昔から変わってないな。アクレイは」
「ノリはガキのままだぞ。悪役令嬢仮面とか、魔法学園にいた時もクッソ寒い事言ってたからな」
コックロの衝撃の一言。
思わず僕は思考をすべて口にしてしまった。
「えっ!? あの痛い巨乳女アクレイだったの!?!?!? あの頭の緩そうな、絶対10代じゃないのに、無理やり若い格好している変人が!? その年でそれはヤバいよ!? 10代前半で卒業しておくべき黒歴史だよ! あんなにおっぱい丸出しにして自分の世界に浸るとか、もう子どもがいてもおかしくない年齢なんだよ!?!?!? うわーーーー!? マジ!?!?!?!?!?」
「ぶっ飛ばずぞお兄様!?!?!? なんだよカッコイイじゃんか!?!?!?」
顔を真っ赤にさせてアクレイは抗議する。
激しく胸を揺らしながら、子どものように腕を振って涙目で。
みんなは生暖かい目で見ており、どう反応すればいいのかわからない様子。
それを自覚したのかアクレイは半泣きで視線を落とした。
「グスッ……ボクはおかしいのかな……」
「あっ! あのっ! カッコよかったですよ! 近所の子が遊んでる……なんだっけ。なんかカッコいい美人の悪役に似てました!」
「ニンメイちゃんの言う通りです! ギルドだって、そういう冒険者の方いますから! 受付嬢時代に、自分は英雄だって言って口説いてくる方多かったんですよ!」
「学園の冒険者志望にもいました! ナルシオ……じゃニャくて! 冒険者志望の子とか、オーエラの言う通り多かったニャ!」
「子どもならみんな通る道ですよ~わたしが育ててきた子にもたくさんいました~成長は人それぞれですので~」
「うわぁぁぁぁぁん!?!?!? そんな奴らと一緒にするなぁぁぁぁ!?!?!?」
惨い……
心優しい敬語勢が、殊更に心を抉っている。
もういい年した女性が他聞を憚らず、大泣きしているのを見ると居心地が悪すぎる。
しかも僕の従妹なんだ。
身内の恥を見ると、僕は居た堪れなくて仕方ない。
「面倒臭いな……アクレイの癇癪は置いておいて、先に進むぞ」
「コックロ手慣れすぎでしょ」
そうして歩いているうちに、アクレイも機嫌を直す。
オキャルンさんが哀れに思ったのか手渡したお菓子を食べて、頭を撫でていたら泣き止んだ。
子どもかよ。
「ヨシ! 着いたぞ! みんな最後にこの場所に付き合ってくれてありがとう」
僕達が向かっていたのは墓地。
新品の石碑が安置されている。
養子だった子の墓。
「ボクは行ってくる。また帰って来るよ。君の分まで幸せになって見せる。駄目なお母さんだったけど、ボクは―――――――」
守ってあげられなかったことへの悔恨。
やけに気分が浮ついていたように見えたのは、気丈に振る舞っていたからだろう。
彼女が可愛がっていたのだろう養子の彼に。
僕の親戚であろう、会ったこともない甥っ子。
彼に向かって宣言する。
「君の子どもなら、僕の子ども同然だ。彼女は僕が幸せにするから、見守っていて欲しい」
「お、お兄様のバカ」
照れてしまったのか、憎まれ口をたたくアクレイ。
僕は彼女の身体を抱き寄せ、震える体に寄り添った。
今度こそ幸せにして見せる。
それが僕の償いであり、願いだから。
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